性感染症に関する予防、治療の体系化に関する研究

文献情報

文献番号
201028019A
報告書区分
総括
研究課題名
性感染症に関する予防、治療の体系化に関する研究
課題番号
H21-新興・一般-001
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
小野寺 昭一(東京慈恵会医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 荒川 創一(神戸大学 医学部)
  • 川名 尚(帝京大学医学部溝口病院)
  • 本田 まりこ(東京慈恵会医科大学附属青戸病院)
  • 松本 哲朗(産業医科大学)
  • 大西 真(国立感染症研究所)
  • 岡部 信彦(国立感染症研究所感染症情報センター)
  • 大日 康史(国立感染症研究所感染症情報センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
16,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1,性感染症患者の実態把握のため7モデル県における性感染症の全数調査を行って発生動向調査を検証し、若者における性感染症の無症候感染者についても実態を調査する。
2,STD患者、耳鼻咽喉科受診者などを対象として咽頭の性感染症病原体保有状況について実態把握を行う。梅毒の届出基準を見直し新たな届出基準を提言する。
3,性器ヘルペスについてはウィルス型の血清疫学調査を、HPVについては型別蔓延状況調査を、薬剤耐性淋菌については分子型別方により疫学調査を行う。
以上より、疾患毎の対策を明らかにし、総合的な性感染症の蔓延予防策を構築する。
研究方法
1,7モデル県における性感染症の全数調査を継続して行い定点調査を検証する。無症候の若者を対象に性器クラミジアの郵送による検査を行い検査結果を受診に結びつける体制を構築する。
2,早期梅毒患者の血清を収集し、血清の自動化法と倍数希釈法と相関性を調べる。
3,STD患者や耳鼻咽喉科患者を対象に性感染症病原体の咽頭における保有状況をS調査する。
4,性器ヘルペスについてはHSV-1型とHSV-2型の動向を調べ、尖圭コンジローマではHPV-DNA検出により実態を把握する。淋菌については、分子タイピングなど新しい微生物学的は解析を行う。
結果と考察
1,定点調査と全数調査の動向には大きな乖離はないように思えたが女性の性器クラミジア感染症などでは相関がなかった。定点基準を定めるため定点の質に関する提案を行った。若者の無症候のクラミジア陽性率に変化はなかったが、受診する医療機関に対する要望として男性はハード面を女性はソフト面を重視する傾向があった。
2.無症候梅毒の届出基準は現状では自動化法の16単位以上とすることが望ましい。
3,耳鼻咽喉科受診者における咽頭淋菌の陽性率は5.9%であった。
4,女性性器ヘルペスのHSV1とHSV2の分布に著変はなかった。また、HPV11は男性の尖圭コンジローマから有意に検出された。
3,淋菌に対するセフェム系薬の耐性化は進行していた。また、分子タイピングは高解像度の疫学解析に有用と思われた。
結論
性感染症の定点調査を検証するための全数調査の実施により、定点設定の基準に関する提言が可能と思われた。
無症候を含む性感染症の若者が受診しやすい医療機関の協力を得ることにより蔓延防止のための対策が構築できる可能性がある。
梅毒の届出基準の制定、性感染症病原体の咽頭における保有状況の把握、性器ヘルペスの型別分布の把握とHPV6/11の感染の実態把握、薬剤耐性淋菌対策を明確にすることにより、わが国のきめ細かい性感染症対策の立案に資する。

公開日・更新日

公開日
2011-09-20
更新日
-

収支報告書

文献番号
201028019Z