輸入感染症としての多剤耐性結核の対策・制御に関する研究

文献情報

文献番号
201028014A
報告書区分
総括
研究課題名
輸入感染症としての多剤耐性結核の対策・制御に関する研究
課題番号
H20-新興・一般-014
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
岡田 全司(独立行政法人国立病院機構近畿中央胸部疾患センター 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 野内英樹(公益財団法人結核予防会健康管理センター)
  • 加藤誠也(公益財団法人結核予防会結核研究所)
  • 小林信之(国立国際医療研究センター呼吸器科)
  • 豊田恵美子(国立病院機構東京病院呼吸器科)
  • 服部俊夫(東北大学大学院医学系研究科内科病態学講座)
  • 高鳥毛敏雄(関西大学社会安全学部)
  • 慶長直人(国立国際医療研究センター研究所・呼吸器疾患研究部)
  • 櫻田紳策(国立国際医療研究センター研究所・呼吸器疾患研究部細菌性呼吸器疾患研究室)
  • 下内昭(公益財団法人結核予防会結核研究所)
  • 竹田潔(大阪大学大学院医学系研究科・感染免疫医学講座)
  • 鈴木克洋(国立病院機構近畿中央胸部疾患センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
18,810,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1.近年、輸入感染症としての多剤耐性結核が問題(特にアジア)。①日本国内への流入・蔓延防止 ②日本の外国人結核は年々増加 ③多剤耐性結核は a莫大な費用 b治療困難。
2.日本における外国人結核の実態把握及び対策・制御。
3.アジア地域との研究ネットワークを活用し、多剤耐性結核制御。
4.新しい結核治療ワクチン、治療法を開発。
研究方法
1.日本の外国人結核。国立病院機構・国際医療センター・保健所の全国研究。
2.日本への移民が多い中国・韓国・台湾・タイ等の多剤耐性結核の分子疫学解析。
3.迅速診断、迅速隔離、サルの系で結核ワクチン・治療。
結果と考察
Ⅰ.日本における外国人結核
1.日本全国:調査票(外国人結核)で全保健所・結核病院より回答の2136例解析。20代、中国、フィリピン、韓国多し。多剤耐性結核3.8%と高率。HIV合併結核1.3%。学生多し。年度別登録者解析し、年々増加、フィリピン籍増加。東京、愛知、広島が増加。
2.東日本:分子疫学で特定菌株蔓延。(北京型モダンタイプと非北京型の2種類)
3.西日本:大阪市外国人結核、学生の集団感染。日本語学校の定期健診必要。
Ⅱ.アジア諸国の結核菌分子疫学
1.4カ国(日、中、韓、台)分子疫学共同研究。(1)MST解析で、日本・韓国の結核菌は“祖先型”。中国は “蔓延型”で、遺伝的背景は異なる発見。(2)韓国はRD181陽性株で日本の結核菌と区別の発見。台湾は非北京型。
2.タイ、HIV合併結核は結核再発率高し。
Ⅲ.迅速診断・隔離法と新結核ワクチン・治療
1.サルを用い、HSP65+IL-12DNAワクチンの結核治療効果。①前臨床試験(毒性・安全性 1年以上安定性あり)②GMP製造。
2.Graはサルで長期間治療効果。上記ワクチンとGraで1年以上50%生存。
3.多剤耐性結核患者の迅速入院システム構築。当院のみでなく他の2施設にこの方法を普及した。
Ⅳ.先進国米国の外国人結核75%。
結論
1.日本の外国人結核
20代、中国、韓国籍。学生が多い。多剤耐性結核は3.8%。
日本語学校の定期健診必要。
2.アジアでの感染伝播状況の解析。日本・韓国の結核菌は“祖先型”。中国は “蔓延型”。RD181で韓国株と日本株の区別可。
3.HSP65+IL-12DNAワクチンの結核治療効果。

公開日・更新日

公開日
2011-09-05
更新日
-

文献情報

文献番号
201028014B
報告書区分
総合
研究課題名
輸入感染症としての多剤耐性結核の対策・制御に関する研究
課題番号
H20-新興・一般-014
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
岡田 全司(独立行政法人国立病院機構近畿中央胸部疾患センター 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 野内英樹(公益財団法人結核予防会健康管理センター)
  • 加藤誠也(公益財団法人結核予防会結核研究所)
  • 小林信之(国立国際医療研究センター呼吸器科)
  • 豊田恵美子(国立病院機構東京病院呼吸器科)
  • 服部俊夫(東北大学大学院医学系研究科内科病態学講座)
  • 高鳥毛敏雄(関西大学社会安全学部)
  • 慶長直人(国立国際医療研究センター研究所・呼吸器疾患研究部)
  • 櫻田紳策(国立国際医療研究センター研究所・呼吸器疾患研究部)
  • 下内昭(公益財団法人結核予防会結核研究所)
  • 竹田潔(大阪大学大学院医学系研究科・感染免疫医学講座)
  • 鈴木克洋(国立病院機構近畿中央胸部疾患センター)
  • 坂谷光則(国立病院機構近畿中央胸部疾患センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1.近年、輸入感染症としての多剤耐性結核が問題(特にアジア)。①日本国内への流入・蔓延防止 ②日本の外国人結核は年々増加 ③多剤耐性結核は a莫大な費用 b治療困難。新結核ワクチン、治療薬が必要。
2.日本における外国人結核の実態把握及び対策・制御。
3.アジア地域との研究ネットワークを活用し、多剤耐性結核制御。
4.新しい結核予防・治療ワクチン、治療法を開発。
研究方法
1.日本の外国人結核。国立病院機構呼吸器疾患研究ネットワーク・国際医療センター・保健所・結研の全国研究。
2.日本への移民が多い中国・韓国・台湾・タイ等の多剤耐性結核の分子疫学解析。
3.迅速診断、迅速隔離、サルの系で結核ワクチン・治療。
結果と考察
Ⅰ.日本における外国人結核
1.日本全国:調査票(外国人結核)を全保健所・結核病院800施設に送付。2136例解析。20代、中国、フィリピン、韓国多し。多剤耐性結核3.8%と高率。HIV合併結核1.3%。学生、常勤者多し。言語や治療途中の帰国が問題。
2.東日本:分子疫学で特定菌株蔓延(北京型モダンタイプ)。
3.西日本:大阪市外国人結核、学生の集団感染。日本語学校の定期健診必要。
Ⅱ.アジア諸国の結核菌分子疫学
1.4カ国(日、中、韓、台)分子疫学共同研究。(1)MST解析で、日本・韓国の結核菌は“祖先型”。中国は “蔓延型”で、遺伝的背景は異なる発見。(2)韓国はRD181陽性株で日本の結核菌と区別の発見。台湾は非北京型。
2.タイ、難治性結核でGranulysin(Gra)産生異常。
Ⅲ.迅速診断・隔離法と新結核ワクチン・治療
1.ヒト結核に酷似のサルを用い、HSP65+IL-12DNAワクチンの結核治療効果。XDR-TBにも効果。①前臨床試験(毒性・安全性)②GMP製造。
2.Graはサルで長期間治療効果。リポカリン2やSLPIの結核菌殺傷解明。
3.多剤耐性結核患者の迅速入院システム構築。
Ⅳ.先進国 英・米国の外国人結核75%。米国でツ反をQFT診断に変え外国人結核減少。
結論
1.日本の外国人結核
20代、中国、韓国籍。学生が多い。多剤耐性結核は3.8%。日本語学校の定期健診必要。
2.アジアでの感染伝播状況の解析。日本・韓国の結核菌は“祖先型”。中国は “蔓延型”。RD181で韓国株と日本株の区別可。
3.HSP65+IL-12DNAワクチンの結核治療効果。

公開日・更新日

公開日
2011-09-05
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201028014C

成果

専門的・学術的観点からの成果
a.アジアでの感染伝播状況の解析、4か国(日本、中国、韓国、台湾)の分子疫学共同研究。結核菌の中国株、韓国株、日本株、台湾株は分子遺伝子学的解析で分離可能の発見。
b.日本の外国人結核の結核菌(東京)はRFLPやVNTR、SNP解析より、特定の菌株蔓延を初めて発見した。
c.HVJ-エンベロープ/HSP65DNA+IL-12DNAワクチンはサルで結核治療ワクチン効果。安定性、GMPレベル。
臨床的観点からの成果
a.多剤耐性結核患者迅速発見法(rpoB変異)を用いて迅速入院(隔離)法を確立。
b.調査票(外国人結核)全保健所・病院800施設2136例解析。20代、中国・フィリピン・韓国多い。多剤耐性結核3.8%で日本人結核より多い。HIV合併結核も多い。学生、常勤者多い。言語の壁や治療途中の帰国が問題。
c.ロンドン・米国の外国人結核75%。外国人結核減少にQFT有用。
ガイドライン等の開発
外国人結核対策マニュアルを作成した。(1)大阪市における外国人結核対策マニュアルを大阪市保健所と共同で作成。(2)東京都における外国人結核診療マニュアルを作成した。
これらのマニュアル作成(第1版)は平成25年度の厚労科研(岡田全司班)外国人結核診療マニュアル(診療施設用)(第二版)と、大阪市における外国人結核対策マニュアル(保健所用)(第二版)につながった。平27年の外国人結核対策マニュアル(当班を引き継いだ服部班)の第三版策定に繋がった。
その他行政的観点からの成果
a.アジア各国共通利用のVNTRシステム構築。結核菌が由来した国の同定法を確立。
b.多剤耐性結核患者迅速診断法・迅速入院法(隔離)法の確立及びスーパー・スプレッダー多剤耐性結核の発見は結核病室の個室化等、重要な厚生行政施策にすでに寄与している。
c.多剤耐性結核菌に有効な新しい治療薬カプラザマイシン(CPZEN-45)で特許を取ったこと。
その他のインパクト
a.WHOの委員会(WGND:Working Group on New TB Drugs)でHVJ-エンベロープ/HSP65DNA+IL-12DNAワクチンがヒトの結核感染に最も近いカニクイザルで治療効果が高い評価(早く臨床応用への依頼)。
b.2010年9月13日有名な米国ICAAC(微生物学会の一つ)より招へい特別講演。
c.新聞(Medical Tribune)2009年8月27日。
d.ラジオNIKKEI2008年2月6日。マスコミに取り上げられた。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
9件
その他論文(和文)
9件
その他論文(英文等)
1件
学会発表(国内学会)
33件
学会発表(国際学会等)
17件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
2件
1.大阪市における外国人結核マニュアル 2.東京都における外国人結核(診療)マニュアル
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Okada M, Kita Y,Sakatani M, et al.
Novel vaccine against tuberculosis using prime-boost method
Clin. Develop Immunol.  (2011)
原著論文2
Okada M, Kita Y,Sakatani M, et al.
Novel therapeutic vaccine: granulysin vaccine against tuberculosis
Human Vaccine  (2011)
原著論文3
Okada M, Kita Y,Sakatani M, et al.
Development of therapeutic and prophylactic vaccine against tuberculosis using monkey and granulysin transgenic mice models
Human Vaccine  (2011)
原著論文4
Yoshida S, Suzuki K,Okada M, et al.
Comparison of rifabutin susceptibility and rpoB mutations in multi-drug-resistant Mycobacterium tuberculosis strains by DNA sequencing and the line probe assay
J. Infect. Chemother. , 16 (5) , 360-363  (2010)
原著論文5
Okada M, Kita Y,Sakatani M, et al.
A Novel Therapeutic and Prophylactic Vaccine (HVJ-Envelope/Hsp65 DNA+IL-12 DNA) against Tuberculosis Using The Cynomolgus Monkey Models
Procedia in Vaccinology , 2 (1) , 34-39  (2010)
原著論文6
Okada M, Kita Y,Sakatani M, et al.
Novel prophylactic and therapeutic vaccine against Tuberculosis
Vaccine , 27 , 3267-3270  (2009)
原著論文7
Saiga H, Nishimura,Takeda K, et al.
Prophylactic and therapeutic Lipocalin 2-dependent inhibition of mycobacterial growth in alveolar epithelium
J. Immunol. , 181 , 8251-8257  (2008)
原著論文8
Nishimura,Saiga H, Takeda K, et al.
Potent antimycobacterial activity of mouse secretory leukocyte protease inhibitor
J. Immunol. , 180 , 4032-4039  (2008)
原著論文9
Wang Juan, Hattori T, Hong L, et al.
Genotypes and characteristics of clustering and drug-susceptibility of Mycobacterium tuberculosis isolates in Heilongjiang Province, China
J Clin Microbiol , 49 (4) , 1354-1362  (2011)

公開日・更新日

公開日
2014-06-02
更新日
2016-05-26

収支報告書

文献番号
201028014Z