筋骨格系の慢性疼痛に係わる調査研究

文献情報

文献番号
201027110A
報告書区分
総括
研究課題名
筋骨格系の慢性疼痛に係わる調査研究
課題番号
H22-神経・筋・指定-023
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
戸山 芳昭(慶應義塾大学 医学部 整形外科)
研究分担者(所属機関)
  • 中村 雅也(慶應義塾大学 医学部 整形外科)
  • 西脇 祐司(慶應義塾大学 医学部 衛生学公衆衛生学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
17,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
国民生活基礎調査によると、頻度の高い自覚症状として腰痛、肩こり、関節痛など筋骨格系の慢性疼痛が上位を占めるにもかかわらず、日本では筋骨格系の慢性疼痛に関する全国レベルの調査はほとんどなされてなかった。本研究の目的は、我が国における筋骨格系における慢性疼痛に関する疫学調査を行い、その実態と問題点を明らかにすることである。
研究方法
対象は日本の人口構成にあわせて全国から無作為に抽出した18歳以上の1万1507人である。基礎情報、筋骨格系の慢性疼痛に関する設問、日常生活・QOL・社会的損失に関する設問、SF-36を含む質問票を作成し、調査は郵送により施行した。
結果と考察
筋骨格系の慢性疼痛の有症率は15.4%で、男性より女性に有意に多かった。有症率は30歳代から50歳代が他の年齢層より高かった。疼痛部位は、腰、頚、肩、膝とその周囲が高頻度にみられた。有症者の42%が治療をうけており、その内訳は医療機関が19%、民間療法が20%、その両方が3%で、治療期間は1年以上が70%と長期化していた。症状の改善は69%に得られたが、残る3割は不変・悪化しており、治療に対する満足度は低かった。有症者では失業・退学、休職・休学、転職の割合(男女)が高く、また基本ADLが障害され(男性)、IADLスコアが低かった(女性)。SF-36の各スコアを慢性疼痛の有無で比較すると、男女ともすべてのスコアで有症者が統計学的に有意に低かった。
筋骨格系の慢性疼痛は長期の治療にもかかわらず、その改善は必ずしも得られず、患者自身の身体及び精神的健康、さらには社会生活に悪影響を与え、日常生活において介助を要する機会が増加するために周囲に与える影響も少なくない実態が明らかになった。筋骨格系の慢性疼痛に対する治療法と治療体系の早急な見直しが必要である。
結論
我が国における筋骨格系における慢性疼痛の有症率は15.4%であった。これら有症者の7割が1年以上の治療歴を有しているにもかかわらず、十分な治療効果が得られず、身体及び精神的健康、さらには社会生活に悪影響を与えている実態が明らかとなった。

公開日・更新日

公開日
2011-06-09
更新日
-

収支報告書

文献番号
201027110Z