文献情報
文献番号
201027007A
報告書区分
総括
研究課題名
小児行動の二次元尺度化に基づく発達支援策の有効性定量評価に関する研究
課題番号
H20-障害・一般-009
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
稲垣 真澄(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 知的障害研究部)
研究分担者(所属機関)
- 加我 牧子(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所)
- 軍司 敦子(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 知的障害研究部)
- 小池 敏英(東京学芸大学教育学部)
- 杉江 秀夫(自治医科大学小児科)
- 林 隆(山口県立大学看護栄養学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
14,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
一定空間での小児行動を二次元平面の座標点移動に置きかえるという手法を取り入れて,子ども同士における時間毎の接近行動,共同注視行動や保護者や監督者への愛着行動,あるいは非言語的コミュニケーションを客観的に定量化するシステムを開発することを第一の目的とし,最終的には,研究分担者が開発・適応している障害別の各支援方策の有効性,そして優越性を明らかにすることを狙った.
研究方法
ソーシャルスキルトレーニング(SST)による援助行動学習の客観的評価および事象関連電位の検討では児童期PDDの2名にSSTを行い,指導員に対する援助行動生起に関して行動学的解析および二次元評価尺度による解析を加えた.また,SST前後の顔刺激に対する事象関連電位検査を併せて行った.
そして,高機能PDD児における適応困難の自己認知と面接場面での対面行動との関連を検討した.
さらに,幼児期発達障害に対する療育の及ぼす効果を二次元評価系を用いて検討した.自閉症児への応用行動分析やADHDの行動支援法開発と療育法の有効性評価のため二次元評価系を用いた客観的基礎データを集積した.
そして,高機能PDD児における適応困難の自己認知と面接場面での対面行動との関連を検討した.
さらに,幼児期発達障害に対する療育の及ぼす効果を二次元評価系を用いて検討した.自閉症児への応用行動分析やADHDの行動支援法開発と療育法の有効性評価のため二次元評価系を用いた客観的基礎データを集積した.
結果と考察
SST介入後,広汎性発達障害児は,社会的手がかりの少ない段階で援助行動が出現することが行動観察によって確認され,事象関連電位振幅がSST終了後に未知顔よりも指導員の顔を見ているときに振幅増加する知見が得られた.高機能PDDにおける表情の情動的認知および面接場面での質問者と対象児の対面行動と関係するか二次元評価尺度を用いて検討し,ネガティブな表情の情動認知が良好な場合,質問に対して長い対面注視を伴って回答した場合には、対象児の気づきは適切であり,その不適切行動は教諭によって把握されている可能性が高いことが見出された.さらに,知的障害は,全般的コミュニケーションの開発に,ADHDでは感覚統合療法の有効性について,自閉症幼児では応用行動分析の有効性について二次元評価尺度の有用性が示された.
結論
個人の行動変化並びに対人間の距離,あるいは向き合いの時間などを把握することができて,ソーシャルスキルトレーニングや応用行動分析,感覚統合訓練の前後での行動評価を行えることが判明した.本研究により,高機能広汎性発達障害,知的障害,ADHD児の療育指導の効果をみるための指標として二次元評価尺度の有用性が示された.
公開日・更新日
公開日
2011-05-27
更新日
-