認知症の実態把握に向けた総合的研究

文献情報

文献番号
201026016A
報告書区分
総括
研究課題名
認知症の実態把握に向けた総合的研究
課題番号
H21-認知症・指定-006
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
朝田 隆(筑波大学 大学院人間総合科学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 目黒 謙一(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 下方 浩史(国立長寿医療研究センター 予防開発部)
  • 角間 辰之(久留米大学 バイオ統計センター)
  • 松原 三郎(医療法人財団松原愛育会松原病院)
  • 木之下 徹(医療法人社団こだま会こだまクリニック)
  • 中島 健二(鳥取大学 医学部)
  • 山田 達夫(福岡大学 医学部)
  • 山田 茂人(佐賀大学 医学部)
  • 永田 久美子(認知症介護研究・研修東京センター)
  • 桑野 良三(新潟大学 脳研究所附属生命科学リソース研究センター)
  • 川室 優(医療法人高田西城会高田西城病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 認知症対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
85,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1)わが国の認知症の有病率を調査する。2)認知症専門医の診療の現状を調査する。3)認知症の医療・福祉機関の機能実態を調査する。
研究方法
1)有病率
7ヶ所(宮城県大崎市、茨城県利根町、新潟県上越市、愛知県大府市、島根県海士町、佐賀県伊万里市、大分県杵築市)で合計5,000名程度を住民基本台帳から抽出して調査候補とし、65歳以上、100歳まで住民を5歳幅の7階層に分けて、現在の階層別人口に応じて各年齢送別に調査人数を定めた。これを調査対象の候補として招き調査する。全国各地で、統一された方法で認知症とその前駆状態の有病率を調査すること、用いられるテストは現在世界的に進行中のADNIで使われているものに準拠する。

2)専門医調査
調査対象は、認知症関連2学会の会員。その専門性レベルを評価する。具体的には、①診療の基本機能、②高度な診断能力、③高度な臨床実践である。

3)医療・福祉機関の機能実態調査
4病協(日本病院会日本医療法人協会日本精神科病院協会全日本院協会)に対して、施設概要、認知症対応の基本的事項を質問する。また個々の患者について詳しく評価する。
結果と考察
1)全国の認知症高齢者数の推計、認知症に関する医療サービス資源の現状調査を実施した。まだ完了していなかったが、全国有病率調査についての進捗状況は、ほぼ予定通りであった。

2)認知症に対応する医療機関調査(認知症関連2学会の会員)については、55%という比較的高い回答率を得た。注目した7つの要素について、いずれも高い実施率であることがわかった。認知症関連2学会の会員においては質の高い医療を提供しているものと考えられた。

3)回答率は21年度末時点では10%と低かった。中規模、亜急性から慢性期の患者さんが主体の病院が主たる回答元であった。医療の連携については、一般病院と精神科病院との間で少なかった。また対応の比較的難しい身体症状の合併が介護保険系施設による受け取りのネックになっていた。
結論
全国有病率調査の現時点の進捗は予定通りであった。認知症関連2学会の会員においては質の高い医療を提供している。一般病院と精神科病院の連携は十分とは思えなかった。

公開日・更新日

公開日
2011-07-11
更新日
-

文献情報

文献番号
201026016B
報告書区分
総合
研究課題名
認知症の実態把握に向けた総合的研究
課題番号
H21-認知症・指定-006
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
朝田 隆(筑波大学 大学院人間総合科学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 目黒 謙一(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 下方 浩史(国立長寿医療研究センター 予防開発部)
  • 角間 辰之(久留米大学 バイオ統計センター)
  • 松原 三郎(医療法人財団松原愛育会松原病院)
  • 木之下 徹(医療法人社団こだま会こだまクリニック)
  • 中島 健二(鳥取大学 医学部)
  • 山田 達夫(福岡大学 医学部)
  • 山田 茂人(佐賀大学 医学部)
  • 永田 久美子(認知症介護研究・研修東京センター)
  • 桑野 良三(新潟大学 脳研究所附属生命科学リソース研究センター)
  • 川室 優(医療法人高田西城会高田西城病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 認知症対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
認知症と軽度認知障害(MCI)の有病率を調査する。次に認知症の医療と介護機関における現状を調査する。
研究方法
 7ヶ所(宮城県栗原市、茨城県利根町、新潟県上越市、愛知県大府市、島根県海士町、佐賀県伊万里市、大分県杵築市)で合計5,000名程度を住民基本台帳から抽出して調査候補とし、現在の階層別人口に応じて各年齢送別に調査人数を定め、有病率調査を進めた。評価・調査は3段階で行った。第1段階は調査員の訪問による予備的調査と家族からの聞き取り、第2段は心理士と医師による面接調査、第3段階はMRI撮像と血液検査等である。用いたテストは今日の世界的スタンダードADNIで用いられているテスト、またMMSEに準拠した。
 6,071病院と約20,000の介護施設から無作為抽出した2,200病院と5,000施設に調査票を送付し、平成21年9月時点の施設概況と、平成20年度の認知症患者の実態を尋ね、施設種毎の患者特性、施設機能、医療と介護の連携状況等について分析した。
結果と考察
 認知症と軽度認知障害(MCI)の有病率を調査した。全国7ヵ所で、65歳以上住民約5,000名を対象とした。認知症有病率は、平均で14.4%、MCIは15.6%であった。高齢化進行とともに、認知症の有病率が高まると予想はされていた。実際にはとくに75歳以上の高齢者人口の増加と予想以上に高いこの世代の有病率により、従来の予測値以上の率が示された。
 認知症の医療と介護を調査した結果。①精神病床がBPSDの激しい重度認知症患者の対応機関として機能している。②急性期治療の終了後、他施設で受け入れ困難、医療処置を要する患者が療養病床に入院している。③老健が、他施設入所の待機の場になっている。④介護施設の入所者の医療依存度が低い。⑤医療サービスと介護サービスとに狭間がある。認知症対応では「地域で支える」という観点が強調される。今回のデータは、医療と介護の連携を進めてゆく上での具体的な問題点が示されているという点で意義深い。
結論
認知症有病率は、平均で14.4%、MCIは15.6%であった。いずれも従来の予測値以上の値であった。認知症患者に対応する医療と介護においては、相互連携上の課題が多い。認知症を「地域で支える」ために両者の連携が望まれる。

公開日・更新日

公開日
2011-07-11
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201026016C

成果

専門的・学術的観点からの成果
 認知症と軽度認知障害(MCI)の有病率を調査した。全国7ヵ所で、65歳以上住民約5,000名を対象とした。認知症有病率は、平均で14.4%、MCIは15.6%であった。
 認知症の医療と介護を調査した結果、①精神病床がBPSDの激しい重度認知症患者の対応機関として機能している。②急性期治療の終了後、他施設で受け入れ困難、医療処置を要する患者が療養病床に入院している。③老健が、他施設入所の待機の場になっている。④介護施設の入所者の医療依存度が低い。⑤医療サービスと介護サービスとに狭間がある。
臨床的観点からの成果
 わが国の認知症疫学研究として最大規模であり、MCIについては最初のものである。高齢化進行とともに、認知症の有病率が高まると予想はされていた。実際にはとくに75歳以上の高齢者人口の増加と予想以上に高いこの世代の有病率により、従来の予測値以上の率が示された。これは今後の認知症対応の基盤となる。
 認知症対応では「地域で支える」という観点が強調される。今回のデータは、医療と介護の連携を進めてゆく上での問題点が示されているという点で意義深い。
ガイドライン等の開発
 認知症、またその前駆状態に関する疫学データは政策医療の出発点となる。それだけに今後の認知症有病率、また新規患者の発症率を精緻に予測してゆくためには、この種のデータ蓄積が望まれる。
その他行政的観点からの成果
認知症に関わる各種の医療政策の基本データとして利用されつつある。
その他のインパクト
特記なし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
3件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-10
更新日
-

収支報告書

文献番号
201026016Z