文献情報
文献番号
202527019A
報告書区分
総括
研究課題名
児童福祉施設における栄養管理の充実に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
25DA0201
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
多田 由紀(東京農業大学 応用生物科学部栄養科学科)
研究分担者(所属機関)
- 石塚 一枝(国立研究開発法人国立成育医療研究センター 女性のライフコース疫学研究室)
- 清野 富久江(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
- 野原 健吾(帝京平成大学 健康メディカル学部 健康栄養学科)
- 小林 知未(武庫川女子大学 食物栄養科学部)
研究区分
こども家庭科学研究費補助金 分野なし 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
令和7(2025)年度
研究終了予定年度
令和8(2026)年度
研究費
6,369,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
乳幼児期は、生涯にわたる健康および生活習慣の基盤が形成される重要な時期である。近年、共働き世帯の増加等を背景として、保育所および幼保連携型認定こども園(以下、保育所等)の社会的役割は拡大しており、施設における食事提供および食育の重要性は一層高まっている。一方、保育所等では管理栄養士・栄養士の配置状況や栄養管理体制、食育の評価方法などに施設間差が存在し、質の確保および均てん化が課題となっている。さらに、家庭と施設の双方を含めた幼児の食生活の実態把握や、今後の大規模調査に活用可能な食事調査方法の確立も求められている。本研究では、①保育所等における栄養管理体制および食育の実施状況の把握、②幼児および保護者の食生活や支援ニーズの把握、③幼児を対象とした食事調査方法の実施可能性の検討、を目的として研究を実施した。加えて、施設と家庭の双方から幼児期の食環境を把握することにより、児童福祉施設における栄養管理および食育の質向上に向けた基礎資料を得ることを目指した。
研究方法
研究は「施設調査」「個別調査(保護者調査)」「食事調査方法の検討」の3課題から構成した。
施設調査では、全国の保育所等29,355施設を対象に地域区分別に層化無作為抽出を行い、175市区町村の2,825施設に質問紙調査を実施した。回答は562施設から得た(回収率19.9%)。調査項目は、施設属性、給食・栄養管理体制、食事摂取基準および食品成分表の活用状況、食育の実施内容・評価、保護者支援、ICT活用状況等とした。
個別調査では、施設調査協力施設のうち206施設を対象に保護者調査を実施し、130施設から回答を得た(施設回収率63.1%)。調査票は1,948人に配付し、1,224人から回答を得た(回収率62.8%)。調査項目は、幼児の生活習慣・食生活、家庭の食環境、保護者の認識・行動、食育経験、支援ニーズ等とした。
食事調査方法の検討では、半秤量式食事記録法を基盤とし、食事写真、ICTを用いたデータ送信、施設職員による喫食量記録を組み合わせた調査モデルを構築し、幼児11名を対象にパイロット調査を実施した。
施設調査では、全国の保育所等29,355施設を対象に地域区分別に層化無作為抽出を行い、175市区町村の2,825施設に質問紙調査を実施した。回答は562施設から得た(回収率19.9%)。調査項目は、施設属性、給食・栄養管理体制、食事摂取基準および食品成分表の活用状況、食育の実施内容・評価、保護者支援、ICT活用状況等とした。
個別調査では、施設調査協力施設のうち206施設を対象に保護者調査を実施し、130施設から回答を得た(施設回収率63.1%)。調査票は1,948人に配付し、1,224人から回答を得た(回収率62.8%)。調査項目は、幼児の生活習慣・食生活、家庭の食環境、保護者の認識・行動、食育経験、支援ニーズ等とした。
食事調査方法の検討では、半秤量式食事記録法を基盤とし、食事写真、ICTを用いたデータ送信、施設職員による喫食量記録を組み合わせた調査モデルを構築し、幼児11名を対象にパイロット調査を実施した。
結果と考察
施設調査の結果、食事提供および食育は多くの施設で実施されていたが、栄養管理体制、給与栄養目標量の設定、食事摂取基準や食品成分表の活用状況には施設間差が認められた。食育はクッキング保育や栽培活動など多様な内容が実施されていた一方、実施頻度は「年数回」や「2~3か月に1回」が多く、必ずしも計画的・継続的に展開されているとは限らなかった。さらに、食育の目標設定項目に対する評価の実施は、各項目で2割程度にとどまり、保育計画や評価との連動、保護者との連携に課題がある可能性が示された。保護者支援は献立表や食育だより等による情報提供が中心で、双方向的支援は少なかった。また、ICTは連絡業務では導入が進んでいたが、栄養管理や食育評価への活用は十分ではなかった。
個別調査では、幼児の生活リズムは概ね良好であった一方、食事内容、間食、スクリーンタイム等には家庭間差がみられた。保護者は食の重要性を認識していたが、時間的制約や負担感から実践には差が認められた。施設での食育経験は、こどもの食への関心や食行動の変化につながる傾向がみられたが、家庭への波及には個人差が存在した。
食事調査方法の検討では、秤量や記録に伴う保護者負担、写真取得率のばらつき、欠測データへの対応などが課題として示されたものの、調査モデルの実施可能性は確認された。
個別調査では、幼児の生活リズムは概ね良好であった一方、食事内容、間食、スクリーンタイム等には家庭間差がみられた。保護者は食の重要性を認識していたが、時間的制約や負担感から実践には差が認められた。施設での食育経験は、こどもの食への関心や食行動の変化につながる傾向がみられたが、家庭への波及には個人差が存在した。
食事調査方法の検討では、秤量や記録に伴う保護者負担、写真取得率のばらつき、欠測データへの対応などが課題として示されたものの、調査モデルの実施可能性は確認された。
結論
本研究により、保育所等における栄養管理および食育は広く実施されている一方で、その質の確保および均てん化には課題が存在することが明らかとなった。特に、食事摂取基準の活用状況、見直しや評価の実施状況、専門職の関与、保護者支援体制には施設間差が認められた。また、食育は体験的活動として広く実施されているものの、その実施頻度や内容にはばらつきがあり、必ずしも計画的・継続的に展開されているとは限らず、計画や評価との連動、保護者との連携に課題がある可能性が示された。さらに、保護者支援は情報提供中心であり、個別的・継続的支援の必要性が示唆された。以上より、保育所等における栄養管理および食育の充実に向けては、①栄養管理および食育に関する評価指標の整備とPDCAサイクルの確立、②食事摂取基準等の実務への適用を促進する具体的運用指針の提示、③施設特性(設置主体・調理方式・人員配置)に応じた運営体制および多職種連携体制の整備、④ICTを活用した記録・評価の可視化および情報共有の推進、⑤保護者の状況に応じた個別的・継続的支援を通じた家庭と施設の連携強化、⑥大規模調査に活用可能な食事調査方法の改善と標準化によるエビデンス基盤の整備が重要であると考えられる。
公開日・更新日
公開日
2026-08-31
更新日
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