文献情報
文献番号
201024132A
報告書区分
総括
研究課題名
ダウン症候群でみられる一過性骨髄異常増殖症の重症度分類のための診断基準と治療指針の作成に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H22-難治・一般-077
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
林 泰秀(群馬県立小児医療センター 血液腫瘍科)
研究分担者(所属機関)
- 伊藤 悦朗(弘前大学医学部 小児科)
- 滝 智彦(京都府立医科大学大学院医学研究科 分子診断・治療医学)
- 大喜多 肇(国立成育医療研究センター研究所 小児血液・腫瘍研究部 分子病理研究室)
- 小川 誠司(東京大学医学部附属病院 Cancer Board )
- 菊地 陽(帝京大学医学部 小児科)
- 村松 秀城(名古屋大学医学部附属病院 小児科)
- 田村 正徳(埼玉医科大学総合医療センター 小児科)
- 塚本 桂子(国立成育医療研究センター 周産期診療部 新生児科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
13,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
ダウン症候群でみられる一過性骨髄異常増殖症(transient abnormal myelopoiesis, TAM)の登録システムを立ち上げて全数把握を試み、観察研究により標準的治療の確立を目指し、予後の改善と生存の質を向上させることが研究の目的である。また、網羅的遺伝子解析等を含めた研究により重症例の診断基準を確立する。
研究方法
1)疾患登録システムの確立
日本小児血液学会の疾患登録システムの中でTAMの登録システムを立ち上げ、これを用いて新生児科医師も小児血液学会員を通してオンラインによる登録ができるようにする。また日本小児白血病リンパ腫研究グループ(JPLSG)のTAM委員会が主体となり、TAMの観察研究を行う。疾患登録のみでは把握できない症例に対しては日本未熟児新生児学会の稀有疾患サーベイランスで症例を把握し、同時にサーベイランス非参加施設のアンケート調査を行う。
2) 重症例の抽出と病態解析
重症例の抽出のために遺伝子解析や網羅的ゲノム解析を行い、精度の高い診断と病態解明を行う。これにより重症のTAMでみられる高サイトカイン血症や肝線維症の有無とこれらの解析結果との関係を明らかにする。また今後の研究のために登録例の細胞保存を行う。
日本小児血液学会の疾患登録システムの中でTAMの登録システムを立ち上げ、これを用いて新生児科医師も小児血液学会員を通してオンラインによる登録ができるようにする。また日本小児白血病リンパ腫研究グループ(JPLSG)のTAM委員会が主体となり、TAMの観察研究を行う。疾患登録のみでは把握できない症例に対しては日本未熟児新生児学会の稀有疾患サーベイランスで症例を把握し、同時にサーベイランス非参加施設のアンケート調査を行う。
2) 重症例の抽出と病態解析
重症例の抽出のために遺伝子解析や網羅的ゲノム解析を行い、精度の高い診断と病態解明を行う。これにより重症のTAMでみられる高サイトカイン血症や肝線維症の有無とこれらの解析結果との関係を明らかにする。また今後の研究のために登録例の細胞保存を行う。
結果と考察
1) 疾患登録システムの確立
過去のTAM例の解析から白血球数10万以上かつ在胎週数37週未満の症例が著しく予後不良であり、重症度分類で最も重要であることが明らかになった。昨年度は2回のTAM委員会と3回の班会議を開催して討議をし、登録システムを立ち上げ、稀有サーベイランスを開始し、非参加施設に対するアンケート調査を実施した。さらに、シタラビン少量療法などを推奨治療として呈示して、各施設判断で治療を行う観察研究を開始した。今後登録例の保存される検体の解析が期待される。
2) 重症例の抽出と病態解析
これまでのTAM 78例のGATA1遺伝子の解析で、GATA1低発現変異群に白血病化が有意に多いことが明らかになった。TAM細胞の網羅的ゲノム解析と次世代シークエンサーによる解析および白血病化にかかわる染色体転座点の解析が進められている。
過去のTAM例の解析から白血球数10万以上かつ在胎週数37週未満の症例が著しく予後不良であり、重症度分類で最も重要であることが明らかになった。昨年度は2回のTAM委員会と3回の班会議を開催して討議をし、登録システムを立ち上げ、稀有サーベイランスを開始し、非参加施設に対するアンケート調査を実施した。さらに、シタラビン少量療法などを推奨治療として呈示して、各施設判断で治療を行う観察研究を開始した。今後登録例の保存される検体の解析が期待される。
2) 重症例の抽出と病態解析
これまでのTAM 78例のGATA1遺伝子の解析で、GATA1低発現変異群に白血病化が有意に多いことが明らかになった。TAM細胞の網羅的ゲノム解析と次世代シークエンサーによる解析および白血病化にかかわる染色体転座点の解析が進められている。
結論
登録システムが一本化され、これによりTAMの全体像の把握が可能となりTAMの診断と治療が統一されることになった。今後は重症例の病態解明の解析と開始された観察研究の結果が待たれる。
公開日・更新日
公開日
2011-12-27
更新日
-