急性高度難聴に関する調査研究

文献情報

文献番号
201024021A
報告書区分
総括
研究課題名
急性高度難聴に関する調査研究
課題番号
H20-難治・一般-021
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
小川 郁(慶應義塾大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 喜多村 健(東京医科歯科大学 医学部)
  • 中島 務(名古屋大学 医学部)
  • 宇佐美 真一(信州大学 医学部)
  • 岡本 牧人(北里大学 医学部)
  • 暁 清文(愛媛大学 医学部)
  • 福田 諭(北海道大学 医学部)
  • 佐藤 宏昭(岩手医科医科大学 医学部)
  • 山岨 達也(東京大学 医学部)
  • 水田 邦博(浜松医科大学 医学部)
  • 福島 邦博(岡山大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
13,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1)急性高度感音難聴(突発性難聴、外リンパ瘻、ムンプス難聴、急性低音障害型感音難聴、急性音響性感音難聴)と2)進行性または慢性高度感音難聴(遺伝性難聴、特発性進行性感音難聴、加齢性感音難聴、騒音性感音難聴)の高度感音難聴の難聴発症メカニズムを解明して、各々の標準的な治療方針を定めて、治療・予防法を確立することが研究の目的である。
研究方法
特に今年度は診断基準の改定(案)と英文版(案)の作成、および高度感音難聴の遺伝子バンクの構築を目指した。
結果と考察
急性高度難聴調査研究班で作成した診断の手引き、診断基準に関する見直し作業を引き続き行い、突発性難聴、外リンパ瘻、ムンプス難聴、急性低音障害型感音難聴、特発性進行性感音難聴の診断基準の改定(案)と英文版(案)を作成した。また、難治性内耳疾患の遺伝子バンク構築〜突発性難聴の遺伝子バンクプロジェクト~として突発性難聴の発症における遺伝的な背景を同定するための予備的な解析を実施した。昨年度の宇佐美研究班を引き継いだ遺伝子バンク構築で目標は1000件の登録であるが、今年度で約200例の登録を行った。遺伝子バンクプロジェクトのパイロットスタディで酸化ストレス関連遺伝子であるGST遺伝子やSOD遺伝子など複数の遺伝子の遺伝子多型において、統計学的な有意差を認めた。また、7年間行って来た急性低音障害型感音難聴に対する単剤治療における共同研究を終了した。引き続き、結果の解析を行う予定である。突発性難聴における酸化ストレスに関する多施設共同研究も3年間の研究を終了した。突発性難聴のQOLの検討について多施設でアンケート調査を行った。次年度まで継続の予定である。その他、突発性難聴、特発性進行性感音難聴、老人性難聴、急性低音障害型感音難聴、外リンパ瘻などについての臨床研究を行った。基礎研究としては各施設での各種急性高度難聴モデルによる研究、内耳局所への各種ドラッグデリバリー法(DDS)の研究などを各施設におけるロードマップに従って遂行したが、今後、高度感音難聴の克服に向けて、各施設の知見を統合して新規治療法の樹立をめざす。
結論
今後、改訂した診断基準(案)については1年間、パブリックオピニオンを得て最終案として発表する予定である。改訂した診断基準に基づいて新たな疫学調査や標準治療の提供、広報・啓蒙活動を行う予定である。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

文献情報

文献番号
201024021B
報告書区分
総合
研究課題名
急性高度難聴に関する調査研究
課題番号
H20-難治・一般-021
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
小川 郁(慶應義塾大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 喜多村 健(東京医科歯科大学 医学部 )
  • 中島 務(名古屋大学 医学部)
  • 宇佐美 真一(信州大学 医学部)
  • 岡本 牧人(北里大学 医学部)
  • 暁 清文(愛媛大学 医学部)
  • 福田 諭(北海道大学 医学部)
  • 佐藤 宏昭(岩手医科大学 医学部)
  • 山岨 達也(東京大学 医学部)
  • 水田 邦博(浜松医科大学 医学部)
  • 福島 邦博(岡山医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
対象疾患を1)急性高度感音難聴(突発性難聴、外リンパ瘻、ムンプス難聴、急性低音障害型感音難聴、急性音響性感音難聴)と2)進行性または慢性高度感音難聴(遺伝性難聴、特発性進行性感音難聴、加齢性感音難聴、騒音性感音難聴)の高度感音難聴として、難聴発症メカニズムを解明し各標準的な治療方針を定め、治療・予防法を確立する。
研究方法
平成20?22年度は特に各疾患の診断基準を見直し、また高度感音難聴発症に関与する遺伝子または遺伝子変異を検出し、難聴発症機構の分子細胞レベルでの解明をした。突発性難聴は年間人ロ100万人対275人の罹患率で、急性低音障害型感音難聴も突発性難聴の3倍程度の罹患率であり疾患の難聴発症メカニズムの解明は重要である。また、ムンプス難聴や他のウイルス性難聴ではワクチン接種による予防の可能性について検討すべきだ。外リンパ瘻も突発性難聴との鑑別上重要な疾患でありこれらの診断および治療法の確立も待たれている。一方、遺伝性難聴や加齢性難聴も遺伝子または遺伝子の変異がその発症にどのように関与するのかを明らかにすることは、その予防上極めて重要だ。本研究の特徴は多施設での横断的研究であり、この特徴を利用して突発性難聴の疫学調査、QOLの調査、新しい治療法の確立などを検討した。
結果と考察
高度難聴は重篤なコミュニケーション障害をきたすが、ハンディキャップが適切に克服されれば通常の社会生活に復帰でき、国民の健康増進という厚生労働行政上の観点からもその病態解明および治療法・予防法の確立は重要だ。本研究では3年間に多施設横断的研究で各高度感音難聴を来す疾患の1)疫学調査2)発症に関連する遺伝子または遺伝子異常の検出3)QOLへの影響4)発症と予後に関わるバイオマーカーの検索5)単剤治療効果の検証6)新しい治療法としての鼓室内局所療法の有効性の検証を行い、これらの所見から各疾患の診断基準の見直しを行った。一方で各施設での独創的なアプローチによる3T-MRIによる内耳画像診断法などの新しい診断法や各種実験動物モデルの検討による急性高度感音難聴の発症機序の解明と新しい治療法の確立を試みた。
結論
高度難聴は重篤なコミュニケーション障害を来たすが、ハンディキャップが適切に克服されれば通常の社会生活に復帰でき、国民の健康増進という厚生労働行政上の観点からも、その病態解明および治療法・予防法の確立は重要であり、引き続き研究を進める予定である

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201024021C

収支報告書

文献番号
201024021Z