強度行動障害者支援のための、広域的支援人材のネットワーク構築と広域的人材を活用した地域支援体制整備推進のための研究

文献情報

文献番号
202517034A
報告書区分
総括
研究課題名
強度行動障害者支援のための、広域的支援人材のネットワーク構築と広域的人材を活用した地域支援体制整備推進のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
25GC1008
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
日詰 正文(独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園 総務企画局研究・人材養成部)
研究分担者(所属機関)
  • 井上 雅彦(鳥取大学 大学院医学系研究科)
  • 會田 千重(国立病院機構 肥前精神医療センター 統括診療部)
  • 倉光 晃子(西南学院大学 人間科学部)
  • 縄岡 好晴(明星大学 人文学部)
  • 村浦 新之助(上越教育大学 大学院学校教育研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和7(2025)年度
研究終了予定年度
令和9(2027)年度
研究費
8,050,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、強度行動障害に関する地域支援体制整備を推進するため、①都道府県等における地域支援体制整備事例を収集・分析し、体制整備のプロセスや取り組みのポイントを明らかにすること、②地域支援体制整備に関わる広域的支援人材等が情報発信や相互の情報交換を行うための全国ネットワークの構築を目的とした。
研究方法
目的①について⑴から⑺、目的②について⑻の研究を行った。
⑴先進的に地域支援体制整備に取り組む13自治体を対象に、体制整備図の10項目を用い、自治体担当者と支援現場関係者による事前評価を踏まえたヒアリングを実施した。
⑵群馬県・山梨県を対象に、地域支援体制整備に関する文献、ヒアリング記録、コンサルテーション記録を分析し、体制整備の構造化とチェックリスト試案の作成を行った。
⑶令和5・6年度の中核的人材養成研修修了者を対象に、標準的な支援の継続・普及状況、地域での活用、フォローアップニーズ等に関するWeb調査を実施した。
⑷都道府県・指定都市・中核市の担当者を対象に、広域的支援人材の名簿登録状況、選定要件、所属先、集中的支援の整備状況、活動課題等を把握するアンケート調査を実施した。
⑸機能的行動アセスメントと個別行動支援計画に基づく職員研修プログラムの開催方法(オンライン・対面)の違いによる、利用者の行動改善・参加職員のメンタルヘルス評価を比較した。
⑹医療従事者向け強度行動障害チーム医療研修の内容と令和7年度の実施結果を踏まえ、中核的人材・広域的支援人材を活用し、医療・福祉・教育・行政が連携するための具体的手法を検討した。
⑺全国の知的障害特別支援学校を対象に、強度行動障害支援者養成研修の受講・活用状況等のアンケート調査を実施した。
⑻「行動障害の状態にある人の支援者全国ネットワーク」を設立し、会員登録、広報誌の発行、情報アップデートDayの開催および参加者アンケートを行った。

結果と考察
⑴体制整備の初期段階において、検討会議、受入事業、強度行動障害支援者養成研修、事業所コンサルテーション、実態調査等が主な取り組みであった。一方、広域相談体制やトレーニングセミナーは未実施の自治体が多かった。この結果は自治体担当者等による自己評価であるため、当事者・家族等からの評価の視点が必要だと考えられる。
⑵分析結果から、コンサルテーション、人材養成、ネットワーク、協議体が地域支援体制整備の中核構造として抽出された。加えて、実態把握、受入・支援資源、広域支援・相談体制、行政マネジメントを含む8領域23項目のチェックリスト試案を作成した。
⑶修了者は、研修内容の継続・普及に取り組む一方、支援の統一の難しさや職員の理解不足等の課題を抱えていた。都道府県等によるフォローアップは一部にとどまり、修了者が孤立せず活動を継続できるよう、継続的な学習機会と情報交換の場を整備する必要があると考えられる。
⑷回答89自治体中22自治体が名簿登録済みであった。広域的支援人材は、集中的支援以外の自治体事業にも関わっており、業務負担、人材不足、マネジメント組織の不在等が課題としてあげられた。広域的支援人材を有効に活用するための地域ネットワーク整備が必要だと考えられる。
⑸両形式とも利用者の問題行動は小~中程度に減少し、効果は概ね同程度であった。一方、オンライン群では職員メンタルヘルスの悪化傾向がみられ、遠隔研修では職員支援への配慮が重要と考えられた。
⑹医療従事者向け強度行動障害チーム医療研修の実施結果を踏まえ、福祉・教育・医療・行政との連携の方法および地域の協議会等を活用したシステム作りを提言した。
⑺回答校165校中104校に強度行動障害の状態にある児童生徒が在籍していたが、所属教員が研修を受講した学校は19校にとどまった。受講教員からは支援の統一に困難を抱えていること、外部専門家や福祉との連携ニーズが示された。
⑻広報誌の発行、情報アップデートDayの開催を通じて、関係者が情報共有し、つながる基盤を整備した。情報アップデートDay参加者アンケートより、地域ネットワーク構築、広域的支援人材の活動、他自治体事業等への関心が示され、継続的な情報発信と交流機会の確保が必要だと考えられる。
結論
本研究により、地域支援体制整備マニュアル作成に向けた基礎情報として、先進自治体の整備プロセスと取り組み状況、中核的人材・広域的支援人材の活動実態と課題、医療・教育との連携、体制整備を評価する枠組みを整理できた。今後は、当事者や家族、新たな自治体への調査を行いつつ、地域支援体制整備のプロセスとポイントをさらに整理し、地域支援体制整備マニュアル(事例集)の作成につなげる必要がある。あわせて、広域的支援人材および中核的人材が継続的に学び合い、地域での実践を支え合うため、全国ネットワークの取り組みを充実させていくことが必要である。

公開日・更新日

公開日
2026-06-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

その他
その他
研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2026-06-01
更新日
-

収支報告書

文献番号
202517034Z