重症・難治性喘息の病因・病態の解明に関する研究

文献情報

文献番号
201023027A
報告書区分
総括
研究課題名
重症・難治性喘息の病因・病態の解明に関する研究
課題番号
H21-免疫・一般-004
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
森 晶夫(独立行政法人国立病院機構相模原病院 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 谷本 安(岡山大学病院 呼吸器・アレルギー内科)
  • 相澤 久道(久留米大学医学部 呼吸器内科)
  • 藤澤 隆夫(独立行政法人国立病院機構三重病院 臨床研究部)
  • 庄司 俊輔(独立行政法人国立病院機構東京病院)
  • 田中 宏幸(岐阜薬科大学 機能分子学大講座)
  • 大田 健(帝京大学医学部 内科学講座)
  • 烏帽子田 彰(広島大学大学院 医歯薬総合研究科)
  • 中村 裕之(金沢大学大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
10,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
喘息治療の進歩の結果、軽症~中等症患者のQOLは大いに向上したものの、約1~2割を占める重症喘息患者の治療には依然大きな限界がある。われわれの調査で明らかになった重症喘息の特徴である、成人発症、非アトピー型、ステロイド抵抗性、各々のメカニズムを解明することにより、早期診断、予知、回避、治療を実現する。
研究方法
ステロイド抵抗性喘息の前臨床試験モデルを確立する目的に、ステロイド感受性・抵抗性のヘルパーT細胞クローン移入による喘息モデルをはじめて樹立した。非アトピー機序による喘息反応の解明をめざし、ヒト培養気管支平滑筋細胞ゲルを用いた気管支平滑筋収縮アッセイ系を樹立し、T細胞由来の気流閉塞因子の解析、精製を行った。増悪因子としての、細菌、ウィルスによる好酸球活性化メカニズム、好塩基球の機能修飾をin vitroで、加えてアジュバントフリーモデルでの増悪効果をin vivoで解析した。喘息死におけるIL-18産生T細胞の動態を病理組織学的に解析した。早期診断に向け、重症化臨床マーカーを、炎症指標、器質化指標の観点から分類し、予知の観点からは、難治、重症化に関連する遺伝子多型を見出した。非晶鉄、活性炭を成分とする新規環境フィルターの開発を進めた。
結果と考察
ステロイド感受性クローンの移入によりステロイド感受性喘息モデルが、ステロイド抵抗性クローンの移入によりステロイド抵抗性喘息モデルが樹立でき、ステロイド抵抗性改善薬の効果を検証した。T細胞由来の気流閉塞物質の精製を進めた。重症化抑制指標としてのEBC中ECP、IL-8の位置づけ、喘息死には、気道リモデリング、好酸球、IL-18産生CD8陽性T細胞が関与すること、PAF受容体が好酸球ー細菌の相互作用に関わること、ヒト好塩基球に抗原提示細胞機能があること、AGEが好塩基球の機能を調節すること、フィブロネクチンが気管支平滑筋細胞の遊走に関与すること、ウィルス感染は、CD8 T細胞、LTB4、IL-13を介して喘息モデル増悪に関与すること、アルギナーゼ1、2の遺伝子多型は喫煙と喘息重症化に関与すること、等を明らかにした。
結論
重症化要因である環境因子、抗原、免疫細胞、炎症細胞、リモデリング、遺伝子多型の諸要因を複合的に解析し、重症・難治性喘息の新規治療法、診断、予防法開発に向けきわめて有意義な知見が得られた。

公開日・更新日

公開日
2011-09-30
更新日
-

収支報告書

文献番号
201023027Z