慢性腎臓病(CKD)患者に特有の健康課題に適合した多職種連携による生活・食事指導等の実証研究

文献情報

文献番号
202511001A
報告書区分
総括
研究課題名
慢性腎臓病(CKD)患者に特有の健康課題に適合した多職種連携による生活・食事指導等の実証研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23FD1001
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
要 伸也(学校法人杏林学園 杏林大学 医学部 腎臓・リウマチ膠原病内科)
研究分担者(所属機関)
  • 柏原 直樹(学校法人川崎学園 川崎医科大学 医学部)
  • 岡田 浩一(埼玉医科大学 医学部)
  • 猪阪 善隆(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科 腎臓内科学)
  • 阿部 雅紀(日本大学 医学部)
  • 金崎 啓造(島根大学医学部)
  • 内田 明子(医療法人社団クレド さとうクリニック)
  • 石川 祐一(茨城キリスト教大学 生活科学部)
  • 竹内 裕紀(東京医科大学病院 薬剤部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 腎疾患政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
6,154,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国の慢性腎臓病(CKD)患者は約2000万人と推定され、ハイリスク群を形成している。重症化予防の基本は生活習慣適正化と治療目標遵守であるが、これらは腎臓専門医だけでは対処が難しく、かかりつけ医との医療連携、看護師・管理栄養士・薬剤師等との多職種連携が必須となる。現在、腎臓病療養指導士等の人材育成が進みつつあるが、多職種による効果的な介入方法は不明である。
本研究の目的は、前班で得られた多職種連携の実証研究を踏まえ、追加解析や教育資材の収集・分析により有効な教育プログラムを開発することである。分担者には、進行中の厚生労働省研究班(柏原・岡田班)や日本腎臓病協会、コメディカルの関連3団体、日本糖尿病学会の主要メンバーが参加し、CKD対策に係る職種横断的なオールジャパン体制を構築している。
研究方法
CKD の予防・重症化予防のためには、医師だけでなく、コメディカルとの多職種連携によるチーム医療を通じて標準化されたCKD療養指導を確実かつ継続的に実施してゆくことが必要である。前班での研究で多職種連携に関する一定のエビデンスが得られたが、どのような患者にどのように介入するのが効果的かは明らかになっていない。多職種連携によるCKD療養指導の実態調査や有効性に関する実証研究を発展させ、エビデンスの強化を図り、追加検討と二次研究を行うこととする。また、参加した施設等から得られた教育資材を分析することにより、標準的な教育プログラムを開発し、チーム医療の実践方法をまとめた「CKDにおける多職種教育指導の手引き」を作成、これを普及してゆく。
(方法論)
1) 多職種連携のエビデンス構築と実態把握:多職種連携による生活指導・食事指導等がCKDの予防・重症化予防に有効かどうかを検証するための実証研究の成果(R2~4年度)を踏まえ、追加解析を行う。どのようなアプローチがどのアウトカム、どの職種あるいはどの患者群(糖尿病性腎症及びそれ以外)に特に有効かも明らかにする。
2) 多職種人材の教育プログラムの開発:多職種介入の方法・資材は施設により様々であるため、R2~4年度の実証研究の実施施設を中心に情報収集を行う。結果の分析により標準化プログラムを開発し、「CKDにおける多職種教育指導の手引き」を作成し、これを普及する。
3) ホームページ等による成果の公表:研究班の成果やコンテンツを公表することにより周知と普及を進める。
結果と考察
1)多職種介入研究の継続と追加解析:追加解析・追加研究案を策定し実施した。
2)多職種による教育プログラムの開発:実証研究の参加施設から介入方法と教育資材を収集し、これを基に、標準的な教育プログラムを作成した。さらにリスク評価と達成度評価票、指導計画書を含む実用的なチーム医療の実践方法について詳述した「CKDにおける多職種教育指導の手引き」を作成した。今後は、これらをの成果やコンテンツを研究班のホームページ等で公表することにより、全国的な周知と普及を目指す。

≪考察≫CKD診療における多職種連携の実態調査及び多職種介入研究により、多職種連携の有効性が示され、追加解析によりどのような多職種連携のアプローチが有効かの一端が明らかになった。以上の取組みは、CKD多職種療養指導の診療報酬獲得及び普及、標準的な教育指導プログラム開発に向けた基盤となった。チーム医療とその活用法について取りまとめた「CKDにおける多職種教育指導の手引き」が、今後のCKDチーム医療の普及とCKD診療の質向上に寄与することが期待される。更には、腎臓病療養指導士をはじめCKDの療養指導に取り組むメディカルスタッフのモチベーション向上にも役立つことが期待される。
結論
我が国のCKD診療における多職種連携の実態と課題が明らかになり、経済効果を含めた多職種介入の有効性を示すことができた。今後は、標準的な教育プログラムと多職種教育指導の手引きを普及することにより、CKDチーム医療の普及と質向上、ひいてはCKD重症化予防と患者のQOL改善、医療費節減に繋げることができると期待される。

公開日・更新日

公開日
2026-10-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2026-10-27
更新日
-

文献情報

文献番号
202511001B
報告書区分
総合
研究課題名
慢性腎臓病(CKD)患者に特有の健康課題に適合した多職種連携による生活・食事指導等の実証研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23FD1001
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
要 伸也(学校法人杏林学園 杏林大学 医学部 腎臓・リウマチ膠原病内科)
研究分担者(所属機関)
  • 柏原 直樹(学校法人川崎学園 川崎医科大学 医学部)
  • 岡田 浩一(埼玉医科大学 医学部)
  • 猪阪 善隆(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科 腎臓内科学)
  • 阿部 雅紀(日本大学 医学部)
  • 金崎 啓造(島根大学医学部)
  • 内田 明子(医療法人社団クレド さとうクリニック)
  • 石川 祐一(茨城キリスト教大学 生活科学部)
  • 竹内 裕紀(東京医科大学病院 薬剤部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 腎疾患政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国の慢性腎臓病(CKD)患者は約2000 万人と推定され、ハイリスク群を形成している。CKD の重症化予防の基本は生活習慣の適正化と治療目標の遵守であるが、これらは腎臓専門医だけでは対処が難しく、かかりつけ医との医療連携、看護師・管理栄養士・薬剤師等との多職種連携が必須となる。現在、腎臓病療養指導士等の人材育成が進みつつあるが、多職種による効果的な介入方法は不明である。
本研究の目的は、前班で得られた多職種連携の実証研究を踏まえ、残された課題について追加解析を行うとともに、追加解析の結果および教育資材の収集・分析を踏まえ、標準的な多職種による教育プログラムを開発することである。分担者には、進行中の厚生労働省研究班(柏原・岡田班)や日本腎臓病協会、コメディカルの関連3団体、日本糖尿病学会の主要メンバーが参加し、CKD対策に係る職種横断的なオールジャパン体制を構築している。
研究方法
1) 多職種連携のエビデンス構築と実態把握:現研究班の実証研究の追加解析を行い、残された課題について追加研究の実施を検討する。多職種連携の実態把握や既存のエビデンス収集も継続する。
2) 多職種人材の教育プログラムの作成:実証研究の実施施設を中心に介入方法・資材の収集を行い、有効な介入方法の分析等より標準化された教育プログラムを開発する。
3) マニュアル作成と有効活用の推進: 前研究班で作成したCKD多職種連携マニュアルの有効活用と普及に努める。また、チーム医療の実践に資する新たな「CKDにおける多職種教育指導の手引き」を作成する。
4) ホームページ等による成果の公表:得られた成果・コンテンツをホームページ等で公表することにより、全国的な周知と普及を目指す。
≪各年度の目標≫
令和5年度: 実証研究の追加解析を行い、残された課題について二次研究の実施を検討する。同時に、介入方法や教育資材の収集を行う。
令和6年度: 1年目の課題を継続し、効果的な教育プログラムの開発を進める。
令和7年度: 教育プログラム、および多職種介入に必要な各種コンテンツを作成し、「CKDにおける多職種教育指導の手引き」を完成させるとともに、課題解決のための戦略案を策定する。
結果と考察
研究結果の概要:
① 追加解析の結果より、レッドゾーンの患者に加え、CKDステージG4A1の患者を加えたステージG4のすべての患者(eGFR 45ml/分/m2未満)に対して多職種介入が有効であることが示された。さらに、多職種介入は、介入時の尿蛋白量の多寡によらず期待できること、予後不良と予測される介入前の腎機能急速悪化群に対してより有効である可能性が示された。さらに、経済効果について2つの方法で解析を行い、マルコフモデルを用いた解析により、多職種介入が有意な経済効果をもたらすことを見出した。
② 実証研究の参加施設から介入方法と教育資材を収集した。上述の追加解析の結果も踏まえ、多職種による効果的な標準教育プログラムの開発を進めた。具体的には、まずリスク評価のためのチェックリストを作成、これに基つく指導計画書と具体的な教育指導プログラムを策定し、これらを取りまとめた「CKDにおける多職種教育指導の手引き」を作成した。

研究の実施経過:上述のように、前研究班で行った多施設による多職種介入試験の追加解析を行うとともに、リスク因子の初期評価と教育指導法、継続的かつ反復的な達成度評価とそれに基づく教育介入をベースにした多職種教育指導の手引きを作成した。
≪考察≫
CKD診療における多職種連携の実態調査および多職種介入研究により、多職種連携の有効性が示され、追加解析によりどのような多職種連携のアプローチが有効かの一端が明らかになった。以上の取組みは、CKD多職種療養指導の診療報酬獲得および普及、標準的な教育指導プログラム開発に向けた基盤となった。チーム医療とその活用法について取りまとめた「CKDにおける多職種教育指導の手引き」が、今後のCKDチーム医療の普及とCKD診療の質向上に寄与することが期待される。さらには、腎臓病療養指導士をはじめCKDの療養指導に取り組むメディカルスタッフのモチベーション向上にも役立つことが期待される。
結論
我が国のCKD診療における多職種連携の実態と課題が明らかになり、経済効果を含めた多職種介入の有効性を示すことができた。今後は、標準的な教育プログラムと多職種教育指導の手引きを普及することにより、CKDチーム医療の普及と質向上、ひいてはCKD重症化予防と患者のQOL改善、医療費節減に繋げることができると期待される。

公開日・更新日

公開日
2026-10-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2026-10-27
更新日
-

行政効果報告

文献番号
202511001C

成果

専門的・学術的観点からの成果
R2-4年度の本研究班第1期目に実施した全国多施設後ろ向き試験の結果、CKD患者に対する多職種介入の有効性が示されたため、本研究班では追加解析として、CKD G4A1、オレンジゾーンの患者についてサブ解析を行い、いずれの群でも有効性を確認した。一方、尿蛋白量は介入効果に影響を与えなかった。さらに、多職種介入の経済効果をマルコフモデルにより解析し、多職種介入がCKD遅延効果とともに、十分な経済効果をもたらすことを見出し、日本腎学会英文誌CENに報告した。
臨床的観点からの成果
今回の追加解析により、広範囲のCKD患者における多職種介入の有効性が実証された。さらに、多職種介入を行うべき対象が明らかとなり、具体的な介入方法が「CKDにおける多職種教育指導の手引き」で示されたことの臨床的意義は大きい。これによりチーム医療が促進され、本手引き書を普及することにより、チーム医療の普及と質向上、ひいてはCKD患者の重症化予防に繋がると期待される。
ガイドライン等の開発
前研究班で作成した多職種連携マニュアルを発展させた「CKDにおける多職種教育指導の手引き」(約80ページ)を作成した。CKD患者に対する多職種チーム医療の意義と実践方法が詳述されている。この手引きには、多施設研究に参加した施設の教育プログラムを反映させた標準的な教育プログラム、診療報酬算定の際に使用できる指導計画書のひな型、多職種で指導する際のリスク因子および達成度を評価表などが添付されており、これらを現場で利用可能な形で公表する予定である。今後、全国への普及とチーム医療の推進に繋げてゆく。
その他行政的観点からの成果
全国多施設実証研究の追加解析により、多職種介入が有効な対象患者が明らかとなり、さらに、チーム医療の経済効果(費用対効果)が示されたことは、行政的にも重要な結果と考えられる。慢性腎臓病透析予防加算の算定が普及・拡大すれば、より質の高いチーム医療の普及、ひいてはこればCKD患者の予後改善に結びつき、CKDの療養指導に携わる人材育成が促進される、という好循環に繋がると期待される。
その他のインパクト
情報公開用の研究班のホームページを作成した。成果物である手引き書やコンテンツを現場で利用できる形で公開する予定である。

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
8件
その他論文(和文)
19件
その他論文(英文等)
101件
学会発表(国内学会)
132件
学会発表(国際学会等)
20件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
本研究班の成果を踏まえ、2024年6月非糖尿病の慢性腎臓病へのチーム医療に対して「慢性腎臓病透析予防指導管理料」が新設された。
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Abe M, Hatta T, Imamura Y, et al
Examine the optimal multidisciplinary care teams for patients with chronic kidney disease from a nationwide cohort study.
Kidney Res Clin Pract. , 44 (2) , 249-264  (2025)
10.23876/j.krcp.23.026
原著論文2
Abe M, Hatta T, Imamura Y, et al
Inpatient multidisciplinary care can prevent deterioration of renal function in patients with chronic kidney disease: a nationwide cohort study.
Front Endocrinol (Lausanne). , 14 , 1180477-  (2023)
10.3389/fendo.2023.1180477
原著論文3
Abe M, Hatta T, Imamura Y, et al
Effectiveness and current status of multidisciplinary care for patients with chronic kidney disease in Japan: a nationwide multicenter cohort study.
Clin Exp Nephrol. , 27 (6) , 528-541  (2023)
10.1007/s10157-023-02338-w.
原著論文4
Tomishima H, Odawara M, Hatta T, et al
Cost-effectiveness of multidisciplinary care for patients with chronic kidney disease in Japan.
Clin Exp Nephrol. , 18 (Online )  (2026)
10.1007/s10157-026-02883-0.

公開日・更新日

公開日
2026-10-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
202511001Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,000,000円
(2)補助金確定額
7,751,609円
差引額 [(1)-(2)]
248,391円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,884,899円
人件費・謝金 1,338,554円
旅費 384,311円
その他 297,845円
間接経費 1,846,000円
合計 7,751,609円

備考

備考
要伸也・・和7年度に多施設研究のマニュアル作成やホームぺージ更新のために“外部委託”を、対面の班会議や説明会を予定したため会場費や交通費用に“その他”を計上しましたが、実際には年度内のマニュアルには至らず(令和8年度早々に完成予定で出版社と打ち合わせ中)、また会議はすべてWeb会議で対応いたしましたので、これらの費用が発生いたしませんでした。
使用しなかった分のうち、事務用品の追加購入に充当した金額以外の287,206円(その他間接経費等調整後324,000円)は返還させていただくことといたしました。
内田明子・・銀行の預金利息が213円ありました。
その他分担研究者自己負担額合計・・19,674円です。

公開日・更新日

公開日
2026-10-27
更新日
-