成人に達した先天性心疾患の診療体制の確立に向けた総合的研究

文献情報

文献番号
201021036A
報告書区分
総括
研究課題名
成人に達した先天性心疾患の診療体制の確立に向けた総合的研究
課題番号
H21-循環器等(生習)・一般-016
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
白石 公(国立循環器病研究センター 小児循環器部)
研究分担者(所属機関)
  • 友池仁暢(国立循環器病研究センター 院長)
  • 市川肇(国立循環器病研究センター 小児心臓外科)
  • 池田智明(国立循環器病研究センター 周産期・婦人科部)
  • 中西敏雄(東京女子医科大学 循環器小児科)
  • 丹羽公一郎(聖路加国際病院心血管センター 循環器内科)
  • 賀藤均(国立成育医療研究センター 器官病態系内科部)
  • 八尾厚史(東京大学医学部 循環器内科)
  • 赤木禎治(岡山大学付属病院 循環器疾患治療部)
  • 森崎隆幸(国立循環器病研究センター 分子生物学部)
  • 市田蕗子(富山大学医学部付属病院 小児循環器内科)
  • 松井三枝(富山大学大学院 医学薬学研究部 心理学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
11,330,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
成人に達した先天性心疾患(ACHD)患者は、疾患特有の遺残症や続発症だけでなく、高血圧、肥満、糖尿病などの生活習慣病に伴うリスク、また女性では妊娠や出産に際するリスクが加わり、診療に困難を極める。また患者の社会心理的問題も無視できない。しかしながら現在日本にはACHD専門施設はほとんどない。本研究では、今後さらに増加の一途をたどるACHDを専門とする診療体制を全国的に確立するとともに、ACHDを担当する医師を養成するための教育体制を構築し、ACHDの診療および病態研究が循環器学の一分野として確立されることを目指す。
研究方法
平成22年度
1. 平成21年度の患者実態調査に基づき、地域のACHD診療の中核施設を認定し、その開設に向けた計画を立案する。本研究班から中核施設の開設に向けた情報提供および指導を行う。
2. 研修医や専攻医に向けたACHD臨床研修プログラム、専門スタッフ養成のためのトレーニングプログラムを計画し、その客観的評価を行う。
3. ACHDの診療が、循環器病学の1部門として独立認識されるよう、学会や研究会での教育啓蒙活動、市民公開講座や公開講座などを全国的に展開する。
結果と考察
1. 循環器内科におけるACHD診療に関する全国調査
全国138施設の循環器内科に調査票を郵送し、109施設より回答を得た。現在ACHD診療を行っている施設は34、今後対応する可能性のある施設は39であった。研究班が準備した施設基準を満たした施設は14施設で、全国平均910万人に1つの中核施設が必要と考えられた。
2. ACHDに携わる医師の教育カリキュラムの策定
循環器内科医師が患者の初期対応ができ、専門施設に紹介できるレベル(ACC/AHA/AAPのコアカリキュラムLevel 1)は、学会の研修プログラムとほぼ同等であった。一方、ACHDの日常診療可能レベル(Level 2)、および専門的に診てゆくレベル(Level 3)は、学会研修プログラムに記載が無く、今後プログラムの作成が必要である。
結論
本年度の班研究にて、ACHD患者診療の将来の認定施設、医師の教育カリキュラム策定上の問題点、患者の抱える医学的、社会心理学的問題点が明らかになった。施設認定、教育プログラムを平成23年度中に提案するとともに、班研究の結果を関連する専門学会だけでなく、マスコミや市民公開講座を通じて広く一般社会にも広く訴える予定である。

公開日・更新日

公開日
2017-09-01
更新日
-

収支報告書

文献番号
201021036Z