進行頭頸部がんに対する化学放射線療法を中心とした集学的治療の開発に関する研究

文献情報

文献番号
201020058A
報告書区分
総括
研究課題名
進行頭頸部がんに対する化学放射線療法を中心とした集学的治療の開発に関する研究
課題番号
H22-がん臨床・一般-017
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
藤井 正人(独立行政法人国立病院機構東京医療センター 臨床研究センター 聴覚平衡覚研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 田原 信(独立行政法人国立がん研究センター東病院 頭頸部腫瘍科・形成外科)
  • 清田 尚臣(神戸大学大学院 医学系研究科内科学講座腫瘍内科)
  • 全田 貞幹(独立行政法人国立がん研究センター東病院 臨床開発センター 粒子線医学開発部 照射技術開発室)
  • 本間 明宏(北海道大学大学院医学研究科 耳鼻咽喉科頭頸部外科)
  • 松浦 一登(地方独立行政法人宮城県立病院機構 宮城県立がんセンター 頭頸科)
  • 岩江 信法(兵庫県立がんセンター 頭頸部外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
12,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
進行頭頸部がんを対象に、S-1とCisplatin(CDDP)および放射線同時併用療法の有効性と安全性を第II相試験にて確認し、第Ⅲ相試験にて標準治療であるCDDP単独化学放射線療法に対する優越性を検証して新たな標準治療を確立する。第II相試験終了後、CDDP+S-1併用化学放射線療法の、CDDP併用化学放射線療法に対する優越性を検証するランダム化比較第Ⅲ相試験をおこない標準治療の確立を目指す。
研究方法
根治切除不能な局所進行頭頸部がんに対するCDDP+S-1を同時併用する化学放射線療法の第Ⅱ相試験(JCOG0706)を行う。さらにその結果に基づきCDDP単剤と放射線治療併用とのランダム化比較試験を行う。登録期間:2年、追跡期間:登録終了後3年、総研究期間:5年 追跡期間終了後にすべてのエンドポイントについての最終解析を行う。さらにJCOG0706の奏効率に基づいてCDDP単剤併用の化学放射線療法をとのランダム化比較試験の実施を目指す。
結果と考察
2010年7月2日で予定症例数45例が達成された。今後2013年まで追跡される。2010年前期のモニタリングレポートで治療を完了した症例は21例、無効中止2例、有害事象中止が6例であり治療の完遂に関しては想定内であった。症例の内訳は、年齢が45歳から75歳で平均63歳であり男性43例女性2例であった。登録時のPSは0が36例で1が9例であった。原発部位では中咽頭が24例ももっとも多く、下咽頭が14例、喉頭が4例であった。32例で胃瘻が増設された。救済手術は6例に施行されたが原発部位の切除は2例のみで4例は頸部に残存したリンパ節の摘出にとどまった。有害事象ではgrade3-4の粘膜炎が約44%、食欲不振が約38%と高率であった。毒性に関しては予想を超えるものはなかった。今後、追跡調査を行いprimary endpointであるCR割合を求め、主たる解析終了後も、secondary endpointsである全生存期間や晩期有害事象を評価する予定である。考察;JCOG0706は順調に症例が集積され今後追跡調査により効果、生存率、有害事象などが解析されわが国初のJCOGデータとしてエビデンスが証明されると考えられる。さらに、平成23年度からJCOG頭頸部がんグループが組織されJCOG0706に続くプロトコールが検討される見込みである。
結論
JCOG0706プロトコール作成と症例登録は順調に経過ししており今後、追跡調査を行って治療成績を確定することができる。さらに第III相試験に向けて準備を行うことができる。

公開日・更新日

公開日
2015-05-18
更新日
-

収支報告書

文献番号
201020058Z