文献情報
文献番号
202505006A
報告書区分
総括
研究課題名
アジアをはじめとした発展途上国における高齢化対応も含めたUHC達成を推進する施策や制度の提言に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
25BA1001
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
五十嵐 久美子(国立保健医療科学院)
研究分担者(所属機関)
- 林 玲子(国立社会保障・人口問題研究所)
- 曽根 智史(国立保健医療科学院 )
- 小島 克久(城西国際大学 福祉総合学部)
- 増田 研(長崎大学 熱帯医学・グローバルヘルス研究科)
- 大西 丈二(国立長寿医療研究センター 老年内科)
- 小野 太一(国立大学法人政策研究大学院大学 政策研究科)
- 菖蒲川 由郷(新潟大学医歯学系 十日町いきいきエイジング講座)
- 藤並 祐馬(日本老年学的評価研究機構)
- 児玉 知子(国立保健医療科学院 公衆衛生政策研究部)
- 山口 佳小里(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
- 佐々木 由理(国立保健医療科学院 公衆衛生政策研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題解決推進のための行政施策に関する研究
研究開始年度
令和7(2025)年度
研究終了予定年度
令和8(2026)年度
研究費
3,938,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、アジアをはじめとした国々における高齢化対応とUHC達成の推進に資するため、日本および高齢化が進む国々の施策形成過程、制度設計、実装経験を収集・分析し、各国の制度構築・改訂に活用可能な考え方やプロセスを提示することを目的とした。特に、日本の国民皆保険制度、介護保険制度、地域包括ケアシステム等の経験を、制度そのものとして移転するのではなく、各制度が果たしてきた「機能」、形成過程、実装条件、残された課題として整理し、各国の財政、文化、法制度、行政体制、家族介護の位置づけ、人材資源、データ基盤等に応じて適応可能な知見として提示することを重視した。
研究方法
本研究は、①調査票開発と各国調査、②日本の高齢化対応の知見整理、③国際機関の動向把握の3つの柱に沿って実施した。第一に、国際的枠組み、国際機関報告書、学術論文、改訂版ASEAN-JAPAN Healthy & Active Ageing Index等を参照し、高齢化施策を構成する主要領域を抽出した上で、6領域61項目からなる標準化調査票を開発した。令和7年度は、東アジア、中国・韓国・台湾、タイ、マレーシア、インドネシア、スリランカを対象に、文献調査、政策資料・統計資料の二次分析、政府公表資料・法令・国際機関報告書のレビュー、一部の国でのキーインフォーマント・インタビューを実施した。第二に、日本の介護保険制度、地域包括ケアシステム、認知症政策、介護人材育成、予防・自立支援、データ基盤、権利保障・公平性等について、既存文献や制度資料をもとに形成過程、制度的特徴、実施上の工夫点、課題を整理した。第三に、WHO、ACAI等の国際機関の動向を把握し、AAAI等の高齢化指標、健康的高齢化、長期ケア、ミニマムサービスカバレッジに関する枠組みを整理した。
結果と考察
その結果、アジア諸国では、介護制度の未整備または整備途上、家族介護への依存、介護人材不足、保健・医療・福祉の縦割り、地域差、所得格差、統計・データ基盤の不足が共通課題として明らかとなった。一方で、台湾やタイのように、税方式を用いた普遍的制度、地域密着型長期ケア、統計指標体系の整備が進む国・地域もあり、日本とは異なる制度設計の選択肢が存在することも確認された。また、日本の経験整理からは、高齢化速度、生産年齢人口の縮小、都市化・過疎化、家族介護の変化、価値規範の変容、女性高齢者の経済的脆弱性等を踏まえ、制度整備を前倒しで進める必要性が示された。さらに、慢性疾患、フレイル、認知症等への対応、PHCを基軸とした統合・包括ケア、多職種連携、地域単位のPDCA、人材確保、データ活用、本人中心ケア、権利保障・公平性が制度実装上の主要論点として整理された。
結論
本研究により、高齢化対応は医療保障制度の整備にとどまらず、介護、予防、生活支援、所得保障、住環境、社会参加、データ基盤、権利保障を含む包括的課題であることが示された。今後は、開発した調査票と各国調査結果を用いて国別・項目別比較を進め、必須項目・優先項目を明確化するとともに、日本の知見を制度名ではなく「機能」として再構成し、UHCナレッジハブ、国際会議、研修等で活用可能な教材・基礎資料・技術資料の作成につなげることが期待される。
公開日・更新日
公開日
2026-09-25
更新日
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