文献情報
文献番号
202501013A
報告書区分
総括
研究課題名
DPCデータを用いた入院医療の評価・検証及びDPCデータベースの利活用に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24AA2006
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
伏見 清秀(国立大学法人 東京科学大学 大学院医歯学総合研究科 医療政策情報学)
研究分担者(所属機関)
- 石川 ベンジャミン光一(学校法人 国際医療福祉大学 大学院医学研究科 赤坂心理・医療福祉マネジメント学部 医療マネジメント学科)
- 今中 雄一(京都大学 大学院医学研究科)
- 阿南 誠(川崎医療福祉大学・医療福祉マネジメント学部)
- 康永 秀生(国立大学法人東京大学 大学院医学系研究科公共健康医学専攻臨床疫学・経済学)
- たら澤 邦男(東北大学大学院 医学系研究科 医療管理学分野)
- 池田 俊也(国際医療福祉大学 医学部 公衆衛生学)
- 松田 晋哉(福岡国際医療福祉大学 看護学部)
- 堀口 裕正(独立行政法人国立病院機構 本部 総合研究センター 診療情報分析部)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
27,695,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、日本の急性期入院医療を支えるDPC/PDPS(診断群分類包括評価制度)の持続可能かつ高度な運用体制を構築するとともに、DPCデータの政策・研究利用を推進することを目的として実施された。DPC制度は令和4年時点で全国1,764病院、急性期病床の約85%を対象としており、提出病院は5,500施設を超え、回復期・慢性期領域にも活用が広がっている。さらに、DPCデータとNDB(レセプト情報・特定健診等情報データベース)、介護DBとの連結利用や、共通ハッシュID(ID5)による個人単位解析が可能となり、医療データ活用の高度化が進んでいる。これを背景に、本研究では①診断群分類の検証・見直しを含むDPC/PDPSの安定運用、②DPCデータを用いた入院医療評価体系の検証、③他データベースとの連結を含む適切なデータ運用・活用の3領域を重点課題とした。
研究方法
研究基盤として、約1,300病院と契約し、過去10年間にわたる延べ約8,000万人分の暗号化DPCデータをクラウド環境に統合・蓄積した。必要に応じ第三者提供データも活用し、多面的分析を実施した。研究成果は継続的に保険局と共有され、診療報酬制度や病院評価制度の改善に向けた検討材料として活用された。
結果と考察
第一の研究課題であるDPC制度運用研究では、令和6年度改定の検証と令和8年度診療報酬改定に向けた制度設計上の課題整理を行った。診断群分類やCCPマトリックス、医療機能評価手法について臨床専門家の知見を踏まえて分析し、分類精度や実務運用上の課題を抽出した。DPCコーディングテキストは表現を平易化するとともにDPC6桁分類を併記し、現場での理解と運用性向上を図った。また、AIによるコーディング支援やデータ検証も試行されたが、ICD分類やDPC分類のような専門的判断を要する領域では現時点で十分な精度には至らず、専門家による継続的な管理体制の必要性が示された。一方、クラウド上で分析可能な標準データセットを整備し、研究効率向上と運用コスト削減を両立する基盤を構築した。
第二の研究課題では、DPCデータを活用して医療の質・効率性・有効性を評価するとともに、臨床疫学研究を推進した。急性期医療では、破裂性腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術が開腹術より死亡率低下と在院日数短縮を示した。がん医療では、ロボット支援手術の安全性や費用対効果を検証し、直腸癌や頭頸部癌では有用性が示された一方、食道癌の一部薬物療法では費用対効果上の課題が確認された。
臨床疫学研究では2025年に44編の英文論文が公表された。高齢救急領域では、誤嚥性肺炎、心不全、尿路感染症、骨折が主要な搬送要因であり、今後急増することが予測された。特に95歳以上では誤嚥性肺炎と心不全が多く死亡率も高かった。在宅医療導入患者では誤嚥性肺炎時の早期入院と自宅退院率向上が示され、認知症に加えてがん、腎疾患、心不全などの多疾患併存を伴う患者では死亡リスク上昇が確認された。
そのほか、内視鏡治療後の抗凝固薬再開時期、超高齢者におけるESD後有害事象、成人RSウイルス感染症、高齢肺炎患者への短期抗菌薬投与、認知症ケア加算、治療と仕事の両立支援など、制度・臨床双方に関わる多様な課題が検討された。また、透析患者の妊娠・分娩や超・極早産児に関する国際比較研究も行われ、DPCデータが臨床研究のみならず国際的な医療比較研究にも活用可能であることが示された。
第三の研究課題では、DPCデータと他データベースとの連結基盤整備を進めた。ID5を活用したNDB等との連結解析における技術的課題、個人情報保護、安全管理方法を検討し、安全な解析基盤や探索的研究向けサンプリングデータセットを整備した。また、病院関係者向けセミナーを開催し、約300名に対してExcelやTableauを用いた分析手法を普及した。さらに、薬効分類や手術コードを含む分析用マスターを整備し、データ品質向上と地域医療計画支援に貢献した。
地域医療分析では、高齢者救急需要は2035~2040年頃に約14%増加し、特に90歳以上の増加が顕著と推計された。また、看護師配置不足は死亡率、再入院、在院日数延長、高齢患者の機能低下と関連し、適切な人的資源配置の重要性が示された。地域医療構想の観点からは、高度急性期医療は広域連携、高齢者医療は地域完結型で再編を進める必要性も示唆された。
第二の研究課題では、DPCデータを活用して医療の質・効率性・有効性を評価するとともに、臨床疫学研究を推進した。急性期医療では、破裂性腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術が開腹術より死亡率低下と在院日数短縮を示した。がん医療では、ロボット支援手術の安全性や費用対効果を検証し、直腸癌や頭頸部癌では有用性が示された一方、食道癌の一部薬物療法では費用対効果上の課題が確認された。
臨床疫学研究では2025年に44編の英文論文が公表された。高齢救急領域では、誤嚥性肺炎、心不全、尿路感染症、骨折が主要な搬送要因であり、今後急増することが予測された。特に95歳以上では誤嚥性肺炎と心不全が多く死亡率も高かった。在宅医療導入患者では誤嚥性肺炎時の早期入院と自宅退院率向上が示され、認知症に加えてがん、腎疾患、心不全などの多疾患併存を伴う患者では死亡リスク上昇が確認された。
そのほか、内視鏡治療後の抗凝固薬再開時期、超高齢者におけるESD後有害事象、成人RSウイルス感染症、高齢肺炎患者への短期抗菌薬投与、認知症ケア加算、治療と仕事の両立支援など、制度・臨床双方に関わる多様な課題が検討された。また、透析患者の妊娠・分娩や超・極早産児に関する国際比較研究も行われ、DPCデータが臨床研究のみならず国際的な医療比較研究にも活用可能であることが示された。
第三の研究課題では、DPCデータと他データベースとの連結基盤整備を進めた。ID5を活用したNDB等との連結解析における技術的課題、個人情報保護、安全管理方法を検討し、安全な解析基盤や探索的研究向けサンプリングデータセットを整備した。また、病院関係者向けセミナーを開催し、約300名に対してExcelやTableauを用いた分析手法を普及した。さらに、薬効分類や手術コードを含む分析用マスターを整備し、データ品質向上と地域医療計画支援に貢献した。
地域医療分析では、高齢者救急需要は2035~2040年頃に約14%増加し、特に90歳以上の増加が顕著と推計された。また、看護師配置不足は死亡率、再入院、在院日数延長、高齢患者の機能低下と関連し、適切な人的資源配置の重要性が示された。地域医療構想の観点からは、高度急性期医療は広域連携、高齢者医療は地域完結型で再編を進める必要性も示唆された。
結論
本研究は、DPC制度の精緻化、医療の質評価、診療報酬改定支援、地域医療政策およびデータ連結基盤整備を通じ、日本の医療データ活用基盤の強化と医療政策・臨床疫学研究の発展に寄与する成果を示し、令和8年度以降の制度改定や将来の医療提供体制の設計に重要な知見を提供した。
公開日・更新日
公開日
2026-06-22
更新日
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