高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施の推進及び効果検証のための研究

文献情報

文献番号
202501008A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施の推進及び効果検証のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23AA2006
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
津下 一代(丹羽 一代)(女子栄養大学 栄養学部)
研究分担者(所属機関)
  • 飯島 勝矢(国立大学法人 東京大学 高齢社会総合研究機構/未来ビジョン研究センター)
  • 渡邊 裕(北海道大学 大学院歯学研究院 口腔健康科学分野 高齢者歯科学教室)
  • 田中 和美(神奈川県立保健福祉大学 保健福祉学部 栄養学科)
  • 樺山 舞(大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻)
  • 平田 匠(地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター 研究所 福祉と生活ケア研究チーム)
  • 宇田 和晃( 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 老年社会科学研究部)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
12,105,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高齢期の健康保持・フレイル対策のため、令和(以下、R)2 年度より後期高齢者医療広域連合(以下、広域連合)と市町村が主体となり、「高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施」(以下、一体的実施)が開始された。
本研究班では、低栄養、口腔、服薬、身体的フレイル、生活習慣病等重症化予防、健康状態不明者に対する保健事業の実施方法や評価手法の確立と効果検証を目的としている。
研究方法
①後期高齢者の質問票や対象者抽出条件の妥当性を検証するため、JIHPOP(Japanese Integrated Healthcare Program for Older People;研究用データベース)の解析を進め、2 年後の要介護認定のリスクを高める要因分析や社会保障費との関連を分析した。
②広域連合のデータヘルス計画や市町村における実施状況も踏まえてワークショップを開催し、研究班の分析結果やより効果的・効率的な事業展開のアイデアについて情報提供した。アンケート調査、グループワークにより市区町村、広域連合の課題を把握し、一体的実施の改善策を提案した。
③自治体の課題や質問に応えるため、「一体的実施取組推進ガイド〜実証からの推進のヒント」にまとめた。
結果と考察
①JIHPOP 分析により、質問票項目や個別の抽出基準が2 年後の要介護認定リスクと関連があることを示した。低栄養・重症化予防・身体的フレイルなどが複合する場合に要介護認定のリスクが高まることが明らかとなり、包括的な支援の必要性が明らかとなった。
②研究班の成果を知ることで自治体担当者の意欲が高まることが確認された。PDCA サイクルを回して事業を発展させている自治体では丁寧な庁内連携・地域の関係者間での連携が図られていたが、多くの自治体ではそれが不十分な実態が明らかとなった。データヘルス計画により標準化やツールの利用が広がったが、事業評価や効率的な運営に向けてさらなる支援が必要と考えられた。
③Q&A 形式や事例、事業展開のヒントをまとめた。
結論
JIHPOP の分析により、質問票や抽出基準の妥当性を示すことができた。要介護のリスクを高める要因として、リスクの複合があげられた。自治体からは分析結果の情報提供を求める声が多く、ワークショップや研修の機会が必要と考えられた。

公開日・更新日

公開日
2026-06-22
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2026-06-22
更新日
-

文献情報

文献番号
202501008B
報告書区分
総合
研究課題名
高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施の推進及び効果検証のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23AA2006
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
津下 一代(丹羽 一代)(女子栄養大学 栄養学部)
研究分担者(所属機関)
  • 飯島 勝矢(国立大学法人 東京大学 高齢社会総合研究機構/未来ビジョン研究センター)
  • 樺山 舞(大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻)
  • 田中 和美(神奈川県立保健福祉大学 保健福祉学部 栄養学科)
  • 平田 匠(地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター 研究所 福祉と生活ケア研究チーム)
  • 渡邊 裕(北海道大学 大学院歯学研究院 口腔健康科学分野 高齢者歯科学教室)
  • 宇田 和晃( 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 老年社会科学研究部)
  • 斎藤 民(国立長寿医療研究センター 老年社会科学研究部)
  • 石崎 達郎(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 東京都健康長寿医療センター研究所)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国では超高齢社会の進行に伴い、高齢期の健康保持・フレイル対策の重要性が増している。そこで令和2年度より後期高齢者医療広域連合(以下、広域連合)と市町村が実施主体となる「高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施」事業(以下、本事業)が開始された。
全国の自治体における本事業の推進のため、本研究では推進方策や評価方法を検討・提案すること、現状分析や効果検証により一体的実施についてのエビデンスを確立することを目的とした。これにより広域連合ならびに市町村がPDCAサイクルを回して本事業を推進でき、後期高齢者の健康保持・介護予防に役立つことを目的とした。
研究方法
1)先行研究班(代表;津下一代)が令和4年度に開発した「一体的実施・実践支援ツール」の有用性と操作性について、広域連合、国保連合会、市町村を対象としてアンケート、ヒアリング調査を行い、再構築に向けた提案をおこなった。
2)事業実施市町村の実績報告書情報を用いたストラクチャー、プロセス評価方法を検討、評価表を作成した。2広域連合全市町村の3年間の事業評価を行った。
3)KDB情報、ツール情報を活用したアウトプット評価、アウトカム評価を試行実施し、データヘルス計画共通評価指標の提案を行った。
4) 抽出基準の妥当性ならびに介入の効果検証:2広域連合の後期高齢者のKDB情報(質問票、健診、医療、介護)の3年間分(R2〜4年からなる研究用データベース(JIHPOP:Japanese Integrated Health Program for older people)を作成し、横断的・縦断的分析を実施した。
5)広域連合、市町村を対象としたワークショップ、アンケートにて事業実施上の課題と工夫点を収集した。
6)「一体的実施取組推進ガイド〜実証からの推進のヒント」を作成し、解決策を提案した。
結果と考察
1)調査によりツールの有効性は認められたが、データ更新や操作性等の課題があったため、国保中央会による再構築の提案と社会実装に向けて助言した。
2)実績報告書報告項目からストラクチャー、プロセス評価のための評価指標と基準を作成し、2広域連合全市町村についてスコア化した。経年的な事業の進捗状況を確認したり、高スコア自治体における取組の工夫を把握することができた。
3)質問票、保健事業対象者抽出基準(ツール表示項目)を中心に評価指標案を提案した。データヘルス計画の共通評価指標として全国の広域連合で活用された。
4)JIHPOP分析により質問票項目の悪い回答が多い場合や各個別の抽出基準が後年の要介護認定と関連があることを示した。リスクが複合する場合に要介護認定のリスクが高まることが明らかとなり、包括的な支援の必要性が明らかとなった。低栄養、口腔、薬物(多剤、睡眠薬)、身体的フレイル、生活習慣病重症化予防、健康状態不明者に該当する場合に後年の要介護認定、医療費が増加することを示した。
5)研究班や自治体間の情報交換により担当者の意欲が高まり、工夫点が共有された。制度の改善につながる視点を得られた。
6)Q&A形式で事例紹介、事業展開のヒントをまとめた推進ガイドを作成、全国の広域連合、市町村等に配布した。
結論
JIHPOPの分析により質問票や抽出基準の妥当性を示すことができた。要介護のリスクを高める要因としてリスクの複合があげられた。国や国保中央会への情報提供、研修会、解説書、ツール開発などにより、研究の成果を社会実装につなげることができた。自治体からは研究班の分析結果について情報提供を求める声が多く、今後のさらなる研究の必要性が示された。

公開日・更新日

公開日
2026-06-22
更新日
-

行政効果報告

文献番号
202501008C

成果

専門的・学術的観点からの成果
後期高齢者の健診・医療/介護レセプト情報を3年間分連結した180万人のデータベース(JIHPOP)を構築、質問票の回答状況(項目数や組み合わせ)やレセプト情報と質問票を組み合わせた慢性疾患とフレイルの合併などの要因により2年の要介護リスクが高まることを示した。この成果は一体的実施の保健事業対象者抽出基準についての科学的エビデンスを提供するものであり、英文論文や国際学会において発表した。国の検討会や全国自治体を対象とした研修会で紹介、全国の自治体で活用されるようになった。
臨床的観点からの成果
研究班で検証した保健事業対象者抽出基準に基づいてKDBデータを分析・作表できるツールを開発し、全国の広域連合、市町村で活用できるようにした。現場の状況を踏まえたツールにより、保健事業の標準化と利用促進が確認された。この結果は「データヘルス計画」共通評価指標としても採用され、自治体間比較や経年比較が可能な状況となった。実績報告書をもとにしたストラクチャー、プロセス評価を2広域連合分について実施した。これらにより、PDCAサイクルを回した保健事業の構築に寄与できたと考えられる。
ガイドライン等の開発
「高齢者の保健事業のあり方検討ワーキンググループ」第16回(令和6年3月15日)で報告、「高齢者の特性を踏まえた保健事業 ガイドライン第3版(同3月29日)策定に貢献した。第17回(6年9月4日)、第18回(7年3月14日)、第19回(同9月3日)、第20回(同3月4日)にて研究成果を報告、政策形成に寄与した。「高齢者保健事業の実施計画(データヘルス計画)に係る有識者会議」にて共通評価指標に役立てた。国保中央会「高齢者の保健事業ワーキンググループ」では横展開事業に役立てた。
その他行政的観点からの成果
本研究は後期高齢者を対象とした保健事業について、自治体等がPDCAサイクルを回して実施できるよう、必要なエビデンス確立と具体的な展開手法を提供した。この方法は、新たな厚生労働行政の立ち上げ、自治体支援、評価スキームの検討などに活用可能と考えられる。令和7年度より社会・援護局にて「医療扶助・健康管理支援等に関する検討会」が開催され、福祉事務所がPDCAサイクルを回す保健事業について検討しているが、第5回検討会にて本研究の進め方が紹介され、応用版を作成することとなった。
その他のインパクト
本研究班が先行研究で開発した質問票は後期高齢者の全国の健診で広く活用され、自治体等の啓発資材も多く作成されている。国保中央会、広域連合、市町村が主催する講演においても本研究の成果が活用されている。

発表件数

原著論文(和文)
2件
原著論文(英文等)
3件
その他論文(和文)
8件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
20件
学会発表(国際学会等)
5件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
20件
厚生労働省検討会の資料7件、国保中央会の資料3件、研修事業6件、保健事業ツール作成1件 ガイドライン作成3件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Tanaka T,Tsushita K, Iijima K, et al
Frailty determined by the Questionnaire for Medical Checkup of Old-Old is correlated with increased healthcare cost: Using the Japanese health insurance database system.
Geriatr Gerontol Int. , 23 (12) , 973-974  (2023)
10.1111/ggi.14711. Epub 2023 Oct 19.
原著論文2
Li Y, Tsushita K, Kabayama M et al
Lifestyle factors associated with a rapid decline in the estimated glomerular filtration rate over two years in older adults with type 2 diabetes-Evidence from a large national database in Japan.
PLoS One , 18 (12)  (2023)
10.1371/journal.pone.0295235
原著論文3
Ishida Y, Tomata Y, Tanaka K et al
Are persons with unknown health status identified by the National Health Insurance (KDB) system at high-risk of requiring long-term care and death?
Geriatr Gerontol Int. , 23 (8) , 641-643  (2023)
10.1111/ggi.14635. Epub 2023 Jul 13.

公開日・更新日

公開日
2026-06-22
更新日
-

収支報告書

文献番号
202501008Z