がん化学予防剤の開発に関する基礎及び臨床研究

文献情報

文献番号
201019031A
報告書区分
総括
研究課題名
がん化学予防剤の開発に関する基礎及び臨床研究
課題番号
H22-3次がん・一般-014
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
武藤 倫弘(独立行政法人 国立がん研究センター研究所 発がん研究グループ発がんシステム研究分野)
研究分担者(所属機関)
  • 田中 卓二(岐阜大学医学部)
  • 塚本 徹哉(三重大学医学部)
  • 高山 哲治(徳島大学大学院消化器病学)
  • 石川 秀樹(京都府立医科大学分子標的癌予防医学大阪研究室)
  • 鈴木 貞夫(名古屋市立大学大学院公衆衛生学)
  • 今井 俊夫(国立がん研究センター研究所実験動物管理室)
  • 岩崎 基(国立がん研究センターがん予防検診研究センター予防部)
  • 鰐渕 英機(大阪市立大学大学院医学系研究科 都市環境病理学 )
  • 清水 雅仁(岐阜大学医学部付属病院消化器内科学)
  • 高橋 智(名古屋市立大学大学院医学系研究科実験病態病理学)
  • 窪田 直人(東京大学大学院医学系研究科糖尿病代謝内科統合的分子代謝疾患科学寄付講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
75,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
がんは、我が国において死亡原因の第1位を占め、今後もさらに増え続けるものと予測される。このようながんの増加を抑制することは極めて重要である。本研究においては医薬品及び食品素材を対象として新規がん予防剤を検索、開発する基礎研究を行うとともに、発がんの高危険度群と考えられる人々を対象とした臨床研究を行うことにより、安全性の高い有効ながん予防方法を確立することを目的とする。
研究方法
近年著しく増加している大腸がん、前立腺がん等の予防を目標とし、申請者等が開発した各々の動物発がん実験モデルを用いて肥満、高脂血症、糖尿病と発がんとの関連性の検討、がん化学予防剤候補の検索、及びそのメカニズム解析を行った。臨床応用を目的に、大腸がんのハイリスクグループである家族性大腸腺腫症(FAP)及び多発性大腸腺腫症患者におけるアスピリン等の臨床介入試験を行なっている。
結果と考察
アンジオテンシン II受容体拮抗薬は肥満モデルマウスの異型度の高い大腸前がん病変数を減少させた。肥満細胞の欠損したマウスは炎症関連大腸発がんに対して低感受性であった。アスピリン(100 mg/日)によるFAP患者に対する予防介入試験においては、2 mm以下の大腸ポリープが有意に縮小することを見い出した。多発性大腸腺腫症患者に対する低用量アスピリン腸溶錠の効果を評価する臨床試験が本年度で終了する。分岐鎖アミノ酸製剤(BCAA)は、インスリン抵抗性の改善を介してマウスの肥満関連肝腫瘍形成を抑制した。インスリン抵抗性は、肝細胞がんの初回根治治療後の再発予測因子であった。コーン油投与によるラット血清レプチン値の上昇は、BCAA投与により抑制傾向を示した。BCAAの有用性をこれまでのコホート研究結果を用いて検討する目的で、アミノ酸成分表データベースの構築を行った。
結論
本研究においては、医薬品及び食品素材を対象として検索を行い、新規がん化学予防剤の候補化合物を見い出すことができた。これらの基礎的研究を行なうとともに、発がんのハイリスクグループと考えられる人々を対象とした臨床研究を行なうことにより、安全性の高い有効ながん予防方法を確立することができると考えられる。得られる成果は、がん予防対策を講ずる上に有用な研究資料になるものと確信する。

公開日・更新日

公開日
2015-10-05
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2012-01-17
更新日
-

収支報告書

文献番号
201019031Z