ヒトがんにおけるエピジェネティックな異常の解明と応用に関する研究

文献情報

文献番号
201019019A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒトがんにおけるエピジェネティックな異常の解明と応用に関する研究
課題番号
H22-3次がん・一般-002
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
牛島 俊和(国立がん研究センター 研究所 エピゲノム解析分野)
研究分担者(所属機関)
  • 金井 弥栄(国立がん研究センター 研究所 病理部)
  • 豊田 実(札幌医科大学 医学部 生化学第二講座)
  • 伊東 文生(聖マリアンナ医科大学 消化器・肝臓内科)
  • 山田 泰広(京都大学 iPS細胞研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
59,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
DNAメチル化異常は、ヒト発がんに深く関与するが、その誘発要因や誘発の分子機構に関しては不明の点が多い。本研究では、(1) DNAメチル化異常誘発の要因や分子機構を明らかにすること、(2)ゲノム網羅的なDNAメチル化変化の解析により、がん抑制遺伝子のサイレンシングを含めて、がんでのエピジェネティック異常の全体像を明らかにすること、(3) 臨床的に有用な診断方法の開発を行うこと、を目的とした。
研究方法
ゲノム網羅的なDNAメチル化解析では、1) MeDIP-CGIマイクロアレイ法、2) ゲノムキャプチャーにより回収したCGI由来DNAを次世代シークエンサーによりバイサルファイトシークエンシングする方法、3) HumanMethylation27 BeadChipの、3通りの方法を使い分けた。ゲノム領域特異的なDNAメチル化解析としては、重亜硫酸処理の後、シークエンス法、MSP法、定量的MSP法、及び、pyrosequence法により解析した。
結果と考察
遺伝子のメチル化異常誘発の感受性に、ゲノムの構造であるSINEおよびLINEとの距離が関与していること、そしてエピジェネティックな機構と独立して感受性に関与していることを明らかにした。また、胃粘膜でのDNAメチル化異常誘発には、特定の慢性炎症が重要であることを明らかにし、DNAメチル化異常と発現が相関する炎症関連遺伝子を同定した。マウス大腸炎モデルにおいても、DNAメチル化異常と発現が相関する炎症関連遺伝子を同定した。マウス大腸腫瘍細胞に初期化因子を強制発現させることで、部分的にリプログラミングされた腫瘍細胞であるT-iPSC様細胞を樹立した。エピジェネティックにサイレンシングされるnon-coding RNAの網羅的な同定法を開発した。腎細胞がんの悪性度を反映するような臨床病理学的因子と相関してDNAメチル化異常を示すCpG部位を網羅的に同定した。胃洗浄廃液でのDNAメチル化解析により、優れた感度・特異度で胃がんの存在を診断できる可能性を示し、前向き多施設臨床試験を進めた。神経芽細胞腫の予後診断を継続して実施している。
結論
世界最高水準のゲノム網羅的解析により、診断的に有用性が高いDNAメチル化異常を潤沢に同定し、臨床的有用性が真に高いものについては臨床開発へとつなげている。また、DNAメチル化異常誘発の機構を解明することで、疾患予防を目指した基礎研究を展開している。今後も臨床的に重要な問題に関して、エピゲノム解析を行う必要がある。

公開日・更新日

公開日
2015-10-05
更新日
-

収支報告書

文献番号
201019019Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
75,939,000円
(2)補助金確定額
75,939,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 0円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 0円
間接経費 0円
合計 0円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2017-09-05
更新日
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