母子コホート研究による成育疾患等の病態解明に関する研究

文献情報

文献番号
201018022A
報告書区分
総括
研究課題名
母子コホート研究による成育疾患等の病態解明に関する研究
課題番号
H22-次世代・一般-008
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 達夫(独立行政法人国立成育医療研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 堀川 玲子(独立行政法人国立成育医療研究センター 内科系専門診療部 内分泌代謝科)
  • 久保田 雅也(独立行政法人国立成育医療研究センター 内科系専門診療部 神経内科)
  • 荒田 尚子(独立行政法人国立成育医療研究センター 母性医療診療部 内分泌内科)
  • 伊藤 裕司(独立行政法人国立成育医療研究センター 周産期診療部 新生児科)
  • 笠原 麻里(独立行政法人国立成育医療研究センター こころの診療部 育児新里科)
  • 松本 健治(独立行政法人国立成育医療研究センター研究所 免疫アレルギー研究部)
  • 坂本 なほ子(独立行政法人国立成育医療研究センター研究所 成育社会医学研究部)
  • 秦 健一郎(独立行政法人国立成育医療研究センター研究所 周産期病態研究部)
  • 田中 守(慶應義塾大学 医学部 産婦人科)
  • 柳原 格(大阪府立母子保健総合医療センター 免疫部門)
  • 齋藤 滋(富山大学大学院 医学薬学研究部 産婦人科)
  • 和氣 徳夫(九州大学大学院 生殖病態生理学)
  • 小川 佳宏(東京医科歯科大学 難治疾患研究所 )
  • 檜山 英三(広島大学 自然科学研究支援開発センター)
  • 橋本 圭司(独立行政法人国立成育医療研究センター 外科系専門診療部 リハビリテーション科)
  • 田嶋 敦(徳島大学大学院 ヘルスバイオサイエンス研究部)
  • 渡辺 典芳(独立行政法人国立成育医療研究センター 周産期診療部 産科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
34,336,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
母子を対象としたコホート研究と基礎研究を併せて実施することによって、母子の心身両面の健康や関係性に影響を与える要因とそのメカニズムを明らかにしライフサイクル長期にわたる成育医療に寄与することを目的とする。神経芽腫スクリーニングは、早期発見による治癒率の向上と晩期合併症軽減とにより、次世代育成支援を目的とする。
研究方法
国立成育医療研究センター受診妊婦を対象として、妊娠期からの母児の追跡調査を実施、3年間で4000名の同意取得・6歳時の追跡率60%を目標とする。コホート内で、早産・SGAやハイリスク妊娠等の母児をケースとしたネステッド・ケースコントロール研究及びケースコホート研究を行う。妊婦とその母親の後方視的調査研究では背景調査により胎生環境因子と児の成人期予後の世代関連解析を実施する。環境によるDNAメチル化とエピゲノム因子に関する基礎研究では出生児のエピゲノム異常を解析する基盤を整備し、特異症例の異常検出を試みる。実験動物を用いてエピゲノム異常との関連性を解明する。6ヶ月神経芽腫スクリーニング中止後の動向の解析と18ヶ月スクリーニングの有効性の検証、新たな検査法としてタンデムマスを用いた予後不良例特異的診断法の確立を行う。 
結果と考察
妊娠期から出産・児が1カ月になるまでの第Ⅰ期調査の開始および児が1カ月から6歳に達するまでの第Ⅱ期調査の同意取得を進め、コホート内で早産、SGAやハイリスク妊娠等の母児をケースとしたネステッド・ケースコントロール研究の基盤整備を行った。妊婦とその母親の背景調査により胎生環境因子と児の予後の世代関連解析を実施するための研究計画を作成した。出生時のエピゲノム異常を解析する基盤を整備し15施設共同で大規模な周産期異常症例を収集し病理組織学的解析、分子遺伝学的解析を進める基盤を整備した。胎児発育不全症例の解析を行い、メチル化異常症例を同定した。6カ月神経芽腫スクリーニング休止後の動向の解析および18カ月スクリーニングの有効性を検証した。予後不良の神経芽腫に特異的なマーカーを探索し今後のスクリーニングへ使用可能であることを示した。
結論
大規模母子コホート研究のための基盤を確立した。基礎研究の基盤整備、先行研究に引き続いた研究の進展も見られ、連携が確立した。本研究により、小児生活習慣病や成長・成熟の異常の疾患形成メカニズムの解明が進むことが期待される。また神経芽腫スクリーニングについては18ヶ月での検査は過剰診断が少なく、新規マーカーの導入でより効果的な予後不良例の早期発見につながると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2011-09-14
更新日
-

収支報告書

文献番号
201018022Z