脂肪細胞由来ホルモン、レプチンのトランスレーショナルリサーチの推進

文献情報

文献番号
201015001A
報告書区分
総括
研究課題名
脂肪細胞由来ホルモン、レプチンのトランスレーショナルリサーチの推進
課題番号
H20-トランス・一般-001
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
中尾 一和(京都大学 臨床病態医科学 内分泌代謝内科)
研究分担者(所属機関)
  • 海老原 健(京都大学 医学部附属病院 探索医療センター)
  • 平田 雅一(京都大学 臨床病態医科学 内分泌代謝内科)
  • 細田 公則(京都大学 医学研究科 人間健康科学系専攻)
  • 日下部 徹(京都大学 臨床病態医科学 内分泌代謝内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究推進研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
60,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
脂肪萎縮症は難治性疾患であるが、これまでに有効な治療法は確立されておらず、早急な原因究明と治療法の確立が切望される。我々はこれまでに脂肪萎縮症の糖脂質代謝異常は低レプチン血症が主因であり、レプチン治療が著効することを報告してきた。そこで本研究では脂肪萎縮症を対象としたレプチン補充療法の薬事承認を目指す。また本研究では脂肪萎縮症にとどまらず広く生活習慣病領域におけるレプチンの臨床応用の拡大を目指す。
研究方法
新規症例を対象とした医師主導治験および長期有効性と安全性を評価する高度医療(第3項先進医療)を実施する。また本年度は2種類の非アルコール性脂肪肝モデルマウスを用いてレプチンの脂肪肝治療薬としての有用性を検討する。さらに、レプチンの臨床応用拡大にはレプチン抵抗性の解決が不可欠であるが、本年度はさらにGLP-1製剤とレプチンの併用療法の有用性を検討する。
結果と考察
医師主導治験については平成22年4月に医薬品医療機器総合機構と対面助言を実施し、実施計画を策定。同年7月治験届けが完了した。11月に第1例目の症例登録およびレプチン治療を開始し、その後も順調に症例数を増やしている。平成22年5月高度医療を申請し、同月高度医療評価会議承認、7月先進医療専門家会議および中央社会保険医療協議会承認をそれぞれ得た。11月より第1例目の症例登録およびレプチン治療を開始し、その後も順調に症例数を増やしている。今後、治験終了後には治験および高度医療の臨床データを取りまとめ、承認申請を行う予定である。
 また生活習慣病領域におけるレプチンの臨床応用拡大に関する研究として、本年度はレプチンの脂肪肝治療薬としての有用性を示すとともに、レプチンの肝臓特異的な中性脂肪減少作用を明らかにした。また糖尿病治療におけるGLP-1製剤とレプチンの併用療法の有用性を示した。
脂肪萎縮症は慢性疾患であるためレプチン治療においてはその長期有効性と安全性が求められる。しかし全国にちらばる症例に対し長期試験を医師主導治験で実施することは経済的にもマンパワー的にも困難であるため、今回、長期有効性および安全性試験を高度医療の制度を利用して実施することとした。
結論
今後、脂肪萎縮症治療におけるレプチンの薬事承認を皮切りに、糖尿病や脂肪肝など脂肪萎縮症関連疾患へのレプチンの臨床応用拡大が期待される。

公開日・更新日

公開日
2011-07-27
更新日
-

文献情報

文献番号
201015001B
報告書区分
総合
研究課題名
脂肪細胞由来ホルモン、レプチンのトランスレーショナルリサーチの推進
課題番号
H20-トランス・一般-001
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
中尾 一和(京都大学 臨床病態医科学 内分泌代謝内科)
研究分担者(所属機関)
  • 海老原 健(京都大学 医学部附属病院 探索医療センター)
  • 平田 雅一(京都大学 臨床病態医科学 内分泌代謝内科)
  • 細田 公則(京都大学 医学研究科 人間健康科学系専攻)
  • 日下部 徹(京都大学 臨床病態医科学 内分泌代謝内科)
  • 益崎 裕章(京都大学 臨床病態医科学 内分泌代謝内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究推進研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
脂肪萎縮症は難治性疾患であるが、未だ有効な治療法は確立されていおらず、十分な調査もなされていない。本研究では全国実態調査を実施し、我が国の脂肪萎縮症に関する現状を把握するとともに、新規症例を対象とした医師主導治験および長期有効性と安全性を評価する高度医療(第3項先進医療)を実施し、「脂肪萎縮症を対象としたレプチン補充療法」の薬事承認を目指す。また生活習慣病におけるレプチン治療の有用性を明らかにし、またレプチン抵抗性改善作用を有する薬剤を探索することにより、広く生活習慣病領域における臨床応用の拡大を目指す。
研究方法
脂肪萎縮症の全国実態調査を実施しするとともに、医師主導治験および高度医療(第3項先進医療)を実施する。動物モデルを用いた生活習慣病におけるレプチン治療の有用性を検討する。レプチン抵抗性改善作用を有する薬剤とレプチンの併用治療の有用性を検討する。
結果と考察
全国実態調査を実施し、合計31例の脂肪萎縮症患者に関する情報を得た。医師主導治験については対面助言、治験届けを完了し、試験を開始した。高度医療についても高度医療評価会議、先進医療専門家会議および中央社会保険医療協議会の承認を得て、試験を開始した。疾患モデル動物を用いた検討においてはレプチンの2型糖尿病および非アルコール性脂肪肝における有用性が明らかとなった。さらにレプチンとアミリンあるいはGLP-1製剤との併用治療がレプチン抵抗性のある病態において有用であることが示された。我が国における脂肪萎縮症の患者数は100例前後であると考えられた。レプチンの薬事承認を目指して、医師主導治験を実施することとしたが、全国にちらばる症例に対し長期間、治験を維持することは医師主導では困難であることから、今回は高度医療の制度も利用することとした。脂肪萎縮症における薬事承認後は生活習慣病領域における臨床応用の拡大が期待される。
結論
今後、治験および高度医療の臨床データを取りまとめ、レプチンの承認申請を行う予定である。また本研究により、レプチンの2型糖尿病および非アルコール性脂肪肝における有用性が明らかとなり、さらに、レプチンとアミリンあるいはGLP-1製剤との併用治療がレプチン抵抗性のある病態で有用であることが示され、今後、肥満に起因する生活習慣病領域における臨床応用の拡大が期待される。

公開日・更新日

公開日
2011-07-27
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201015001C

収支報告書

文献番号
201015001Z