チタン酸化物を含有するバイオハイブリッドナノ粒子の放射線治療増感による難治性がんの新規治療法開発

文献情報

文献番号
201011023A
報告書区分
総括
研究課題名
チタン酸化物を含有するバイオハイブリッドナノ粒子の放射線治療増感による難治性がんの新規治療法開発
課題番号
H22-低侵襲・一般-003
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
近藤 昭彦(神戸大学 大学院工学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 佐々木 良平(神戸大学 大学院医学系研究科)
  • 荻野 千秋(神戸大学 大学院工学研究科)
  • 梅津 光央(東北大学 大学院工学研究科)
  • 田中 勉(神戸大学 自然科学系先端融合研究環)
  • 曽我 公平(東京理科大学 基礎工学部)
  • 大原 智(大阪大学 接合科学研究所)
  • 高見 誠一(東北大学 多元物質科学研究所)
  • 佐藤 和好(群馬大学 大学院工学研究科)
  • 沼子 千弥(徳島大学 大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(低侵襲・非侵襲医療機器(ナノテクノロジー)研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
47,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では「高精度放射線治療」にナノ粒子を併用し、有効な治療法の確立されていない膵臓癌などの難治性癌の飛躍的な治癒率向上を目指す。本研究では、[1]高いQOLを維持できる高精度放射線治療の効果を相乗的に増加させ、[2]細胞レベルでの癌の発見をも可能にする認識能を有する、スーパーハイブリ・ナノ粒子の構築を目指し、ナノ粒子・放射線併用療法の確立を目指す
研究方法
本研究では、以下の点について検討を行った
初めに放射線照射によりラジカルを発生する粒子の探索とその評価を行った。過酸化チタンナノ粒子を合成紙、その粒子のサイズ、形態制御を試みた。さらに、ナノ粒子の表面修飾について検討するとともに、放射光をもちいた過酸化チタンナノ粒子の構造解析も行った。また、これらラジカルを発生する粒子を用いた細胞傷害効果の検討を行うとともに、マウスを用いた放射線、過酸化チタンナノ粒子併用による腫瘍抑制効果についても検討を行った。
結果と考察
本研究では、初めに様々な粒子について放射線照射時におけるラジカル発生能を評価した。中でも過酸化チタンナノ粒子は放射線照射によりラジカルを発生することを初めて見出すことに成功した。チタン前駆体の種類や濃度、水熱反応の時間、反応場に添加する有機界面活性剤等の諸因子が二酸化チタンのサイズ・形態に及ぼす影響を検討することで、チタンの形状や大きさを制御しつつ合成することができた。放射線照射によるラジカル発生機能を保持したままで、凝集抑制可能なナノ粒子の表面修飾手法を検討し、分散状態を保つ過酸化チタンナノ粒子の合成に成功した。並行して様々な線源を用いて放射線を照射する事により、過酸化チタンナノ粒子のラジカル発生における基礎的な知見を得、今後の粒子デザインの指針を得ることができたまた、マウスを用いて過酸化チタンナノ粒子の毒性を評価したところ、ポリアクリル酸修飾過酸化チタンナノ粒子はマウスに対して毒性を示さず、安全な粒子であることが示された。これは臨床での実用化において非常に優れた特性であると言える。


結論
本年度は、チタンナノ粒子と放射線照射を併用したガン治療法の開発における重要かつ基礎的な成果が得られたといえる。本技術の実用化に大きな弾みがつくものと期待される。

公開日・更新日

公開日
2011-07-13
更新日
-

収支報告書

文献番号
201011023Z