トキシコゲノミクスデータベースを活用した毒性メカニズムに基づく医薬品安全性評価に関する研究

文献情報

文献番号
201010009A
報告書区分
総括
研究課題名
トキシコゲノミクスデータベースを活用した毒性メカニズムに基づく医薬品安全性評価に関する研究
課題番号
H19-トキシコ・指定-001
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
漆谷 徹郎(独立行政法人医薬基盤研究所 創薬基盤研究部 トキシコゲノミクス・インフォマティクスプロジェクト)
研究分担者(所属機関)
  • 大野 泰雄(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 菅野 純(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 毒性部)
  • 水川 裕美子(同志社女子大学 薬学部)
  • 三森 国敏(東京農工大学 大学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(創薬バイオマーカー探索研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
397,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成18年度に完了したトキシコゲノミクスプロジェクト(TGP1)において、約150の医薬品を中心とした化合物を投与したラット肝臓・腎臓について、トキシコゲノミクスデータベース・解析システム・安全性予測システムを構築し、TG-GATEsと命名した。本研究はTG-GATEsを最大限に活用し、(1)安全性予測の向上・安全性バイオマーカーの開発、(2)ゲノミクスデータからのヒトの副作用予測性の向上、(3)レギュラトリーサイエンスへの応用、の3点を達成しようとするものである。
研究方法
基盤研、国衛研、各企業の連携のもと、(1)システムをフル稼働してバイオマーカーの開発を継続した。(2)ラットとヒトの種差を克服する一手段として末梢血のトランスクリプトームによる予測の可能性を検討しつつ、メタボロミクスとゲノミクスを融合させた新規手法を推進した。(3)ゲノミクスデータをレギュラトリーサイエンスへ応用するための一歩として、プロトコール集の編纂を開始した。バイオマーカーの検証に関しては同志社女子大薬学部の研究者を分担研究者として、また種差のブリッジングに関しては国衛研のヒト型マウスを用いた研究を分担研究として補完した。データ公開に関しては、Webによるものと、書籍形態のものの2つの方式をとった。病理診断に関しては東京農工大の研究者を分担研究者としてレビューした。
結果と考察
安全性バイオマーカー開発に関しては、参加企業全社の協力を得て、バイオマーカーワーキンググループを設置し、マーカー抽出、検証実験、インフォマティクス検証によって目標であるグレード3のバイオマーカー30種のうち16種の開発を達成した。また、グレード1、2のバイオマーカーを2種開発し、この領域では目標を上回った。ヒト型遺伝子のノックインマウスでは、PXR依存型発現変動遺伝子の各種臓器での発現、及びプロモーター配列解析を行った。データ公開に関しては、2011年2月、Open TG-GATEsという形でWeb上の公開を果たし、また書籍の形態としての毒性データ集の編纂作業も完了した。
結論
 安全性バイオマーカー開発に関してはグレード2以上の目標は達成した。最終年度に向かってグレード3バイオマーカー30の数値目標を達成すべく努力したい。また前プロジェクトからの懸案であった、データベースのWeb上での公開を達成した。我が国の毒性学に寄与することを期待する。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-

収支報告書

文献番号
201010009Z