文献情報
文献番号
202422013A
報告書区分
総括
研究課題名
ICT技術を用いた転倒予防システムの開発
研究課題名(英字)
-
課題番号
24JA1002
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
丸山 崇(産業医科大学 医学部第1生理学)
研究分担者(所属機関)
- 黒坂 知絵(産業医科大学 産業保健学部)
- 倉岡 宏幸(公立千歳科学技術大学 理工学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和8(2026)年度
研究費
3,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
労働災害における「転倒災害」は2000年頃から年々増加し、2005年以降は「転倒災害」が死傷災害のトップを占めている。「転倒災害」は、労働災害(休業4日以上の死傷災害)全体の約25%を占め、墜落・転落まで含めると約40%を超えることから、早急に解決するべき課題である。2023年4月から実行されている「第14次労働災害防止計画」においても、新たに「転倒による労働災害」への対策が加えられ、安全衛生における優先的な課題となっている。近年、ICT(Information and Communication Technology) 技術の発展とともに、ウェアラブルセンサーを用いた生体情報検出技術が発展している。加速度や角速度による動作情報を用いた転倒検知アプリケーションなども開発されているが、労働現場への導入は限定的で、転倒災害防止に効果的な転倒検知から転倒防止まで含めた包括的なシステム開発が望まれる。
本研究では、ウェアラブルセンサーを用いた転倒検知技術の確立と転倒予防システムの開発を目的とし、今年度は、ICT技術を用いた転倒予防システム開発の現状調査および転倒シミュレーションによるデータ収集(模擬転倒実験)および転倒検知アルゴリズムの検討を行った。
本研究では、ウェアラブルセンサーを用いた転倒検知技術の確立と転倒予防システムの開発を目的とし、今年度は、ICT技術を用いた転倒予防システム開発の現状調査および転倒シミュレーションによるデータ収集(模擬転倒実験)および転倒検知アルゴリズムの検討を行った。
研究方法
a. ICT技術を用いた転倒予防システム開発の現状調査
文献およびインターネット検索による調査によって、転倒検知システムおよび転倒検知アルゴリズムに関連する情報収集を行なった。
b. 転倒シミュレーション(模擬転倒実験)と転倒検知アルゴリズムの検討
産業医科大学共同利用研究センター行動解析室において健常成人被験者に対し、3軸加速度センサーを内蔵したウェアラブルセンサーを装着し、転倒検知検証に使われる基本転倒8パターンと基本日常動作8パターンのシミュレーション行なった際のデータを収集した。本研究は倫理委員会での承認を得た上で実験を行った。(産業医科大学倫理委員会ER23-017)
文献およびインターネット検索による調査によって、転倒検知システムおよび転倒検知アルゴリズムに関連する情報収集を行なった。
b. 転倒シミュレーション(模擬転倒実験)と転倒検知アルゴリズムの検討
産業医科大学共同利用研究センター行動解析室において健常成人被験者に対し、3軸加速度センサーを内蔵したウェアラブルセンサーを装着し、転倒検知検証に使われる基本転倒8パターンと基本日常動作8パターンのシミュレーション行なった際のデータを収集した。本研究は倫理委員会での承認を得た上で実験を行った。(産業医科大学倫理委員会ER23-017)
結果と考察
a. ICT技術を用いた転倒予防システム開発の現状調査
既存の転倒検知システムおよびアルゴリズムを整理し、特にFall Index(FI)およびPerFallDが転倒検知アルゴリズムとして応用可能であると考えられた。FIは高サンプリング加速度データに基づく簡便な手法だが、緩やかな転倒には不向きであり、PerFallDはジャイロスコープと加速度の複合評価により高精度を目指す設計となっている。加速度を用いた簡便なアルゴリズムとしてFIを用いることが現実的と考えられた。
b. 転倒シミュレーション(模擬転倒実験)と転倒検知アルゴリズムの検討
21名の被験者に対し模擬転倒8パターンおよび日常動作8パターン[1]を実施し、合計5か所(腕・胸・足首など)に装着した3軸加速度センサーからデータを収集した。収集データを用いて、既存のSignal Magnitude Vector(SMV)およびFall Index(n=2, n=5)を計算し、転倒と非転倒の判別性能を評価した。 FIの分析(積算地=5)で有効な判別が可能と考えられた(調査デバイスの閾値は45000程度)。装着部位による比較では、胸部での感度はやや低く、腕および足首は高い傾向がみられた。また、最小値のばらつきは腕で大きく、個人差の影響も示唆された。一方、利き手と非利き手による左右差は統計的に有意ではなく、手首装着型のセンサーにおいては、装着側による性能差はないと判断された。加速度センサーによって検出閾値の設定が必要であるが、転倒と日常動作の判別はおおよそ可能であることが分かり、装着部位に関しては、日常的に装着可能な腕時計型センサーによる転倒検知の実用性が示唆された。
今後は、検知性能の向上だけでなく、転倒予測やリスク評価による事前アラートの実装が重要である。本研究は、これらの知見を踏まえ、転倒シミュレーションデータに加え、現場での作業者データの取得を通じ、新規アルゴリズム開発や転倒リスクの個人要因や環境要因の解明に取り組むものであり、現場実装に資する包括的かつ実用的なシステム構築を目指す必要がある。
既存の転倒検知システムおよびアルゴリズムを整理し、特にFall Index(FI)およびPerFallDが転倒検知アルゴリズムとして応用可能であると考えられた。FIは高サンプリング加速度データに基づく簡便な手法だが、緩やかな転倒には不向きであり、PerFallDはジャイロスコープと加速度の複合評価により高精度を目指す設計となっている。加速度を用いた簡便なアルゴリズムとしてFIを用いることが現実的と考えられた。
b. 転倒シミュレーション(模擬転倒実験)と転倒検知アルゴリズムの検討
21名の被験者に対し模擬転倒8パターンおよび日常動作8パターン[1]を実施し、合計5か所(腕・胸・足首など)に装着した3軸加速度センサーからデータを収集した。収集データを用いて、既存のSignal Magnitude Vector(SMV)およびFall Index(n=2, n=5)を計算し、転倒と非転倒の判別性能を評価した。 FIの分析(積算地=5)で有効な判別が可能と考えられた(調査デバイスの閾値は45000程度)。装着部位による比較では、胸部での感度はやや低く、腕および足首は高い傾向がみられた。また、最小値のばらつきは腕で大きく、個人差の影響も示唆された。一方、利き手と非利き手による左右差は統計的に有意ではなく、手首装着型のセンサーにおいては、装着側による性能差はないと判断された。加速度センサーによって検出閾値の設定が必要であるが、転倒と日常動作の判別はおおよそ可能であることが分かり、装着部位に関しては、日常的に装着可能な腕時計型センサーによる転倒検知の実用性が示唆された。
今後は、検知性能の向上だけでなく、転倒予測やリスク評価による事前アラートの実装が重要である。本研究は、これらの知見を踏まえ、転倒シミュレーションデータに加え、現場での作業者データの取得を通じ、新規アルゴリズム開発や転倒リスクの個人要因や環境要因の解明に取り組むものであり、現場実装に資する包括的かつ実用的なシステム構築を目指す必要がある。
結論
転倒予防システム開発の現状調査や転倒シミュレーションと転倒検知アルゴリズムの検討により得られた知見を基盤にして、現場作業者のデータ収集も行い、今後は新規アルゴリズム開発や転倒リスクの個人要因や環境要因の解明に繋げる必要がある。
公開日・更新日
公開日
2026-02-19
更新日
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