全国規模の肝炎ウイルス感染状況の把握及びウイルス性肝炎eliminationに向けた方策の確立に資する疫学研究

文献情報

文献番号
202420001A
報告書区分
総括
研究課題名
全国規模の肝炎ウイルス感染状況の把握及びウイルス性肝炎eliminationに向けた方策の確立に資する疫学研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22HC1001
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
田中 純子(広島大学 大学院医系科学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 谷 慶彦(大阪府赤十字血液センター)
  • 相崎 英樹(国立感染症研究所 ウイルス第二部)
  • 保坂 哲也(国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 肝臓内科)
  • 古賀 浩徳(久留米大学 医学部)
  • 山崎 一美(独立行政法人国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター)
  • 豊田 秀徳(大垣市民病院 消化器科)
  • 宮坂 昭生(岩手医科大学 医学部  内科学講座 消化器内科肝臓分野)
  • 島上 哲朗(金沢大学 附属病院 地域医療教育センター)
  • 菊地 勘(医療法人社団豊済会 下落合クリニック)
  • 秋田 智之(広島大学 大学院医系科学研究科 疫学・疾病制御学)
  • 杉山 文(広島大学大学院 医系科学研究科 疫学・疾病制御学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服政策研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
38,044,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国の肝炎状況に対処するため、全国規模の肝炎ウイルス感染状況の把握及びHBV感染後・HCV排除後の長期経過に関する臨床疫学研究を実施し、政策の企画立案と基準策定の基礎資料や施策に科学的根拠を与えるための成果の獲得をめざし、地域レベルを含むウイルス肝炎排除への方策を提示する
研究方法
基礎、臨床、社会医学各分野の専門家の参加を得て組織的に実施する
結果と考察
・肝炎ウイルス検査受検状況に関する国民調査2024では、検査受検経験率はHBVで88.2%、HCVで79.2%と、2020年度から上昇がみられた。また、陽性と申告した者は全員が医療機関を受診しており、治療率も 高水準にあると考えられ、WHOのElimination 2030目標「感染者の90%以上が検査を受ける」を達成している可能性が示唆された。
・NDBを用いたB型・C型肝炎ウイルス受療中患者の実態解析では、C型肝炎患者数を見直し(IFN-Free DAA治療後の治癒が見込まれる患者は除外)、2012年度552,594人、2021年度と156,302人と算出された。また、肝炎室の依頼を受け、「IFN-Free DAAの処方患者の2021年度検査回数」「2021年度肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業助成対象者の実態解析」などの解析を行い、肝炎対策のための基礎資料を提供した。
・2020年度のNDBや疫学統計、公的統計を用いて、2020年時点のキャリア数を再推計し、2050年までの将来推計を実施した。2020年時点の推定では、HCVが18.1〜48.4万人、HBVが92.4〜94.1万人であり、診断率はHCVで82〜93%、HBVで95%、治療率はそれぞれ78〜100%、83〜84%と、WHOのElimination 2030目標(診断率90%、治療率80%)に近いか、達成している可能性が示された。将来推計では、現行の医療体制が維持される場合、HCVは2050年に0.8〜1.5万人、 HBVは19.5〜19.8万人まで減少すると見込まれた。
・「C型肝炎ウイルス検査手順」の一次スクリーニング試薬として2社2試薬(Alinity i Anti-HCV NextおよびHCVDuo)の有用性検討を行った。
・D型肝炎ウイルス(HDV)の診断精度向上を目的に、新たな高感度・高特異性な抗体検出法と全ジェノタイプに対応可能なリアルタイムRT-PCR法を開発・評価し、いずれも有用性が確認された。
・国立病院機構群におけるB型およびC型急性肝炎の発生状況は1980-2022年42年間の登録患者数はB型1,583例、C型449例。2023年13例、1例。2024年現時点1例、0例。また、同機構群にて2017年に直接型抗ウイルス剤導入でSVR達成したC型肝炎症例921例の臨床情報を集積。
・複数回献血者約340万人のHBs抗体価、HBc抗体価、HBV DNAのデータを4年9か月追跡、HBV新規染率は2.38/10万人年。新規感染者の多くがHBs抗体価10mIU/mL未満、HBs抗体価10mIU/mL以上が感染防御に必要。ワクチン接種者のブレークスルー感染の可能性を確認。
・感染研感染症サーベイランス1999年-2023年よりCOVID19の感染症の流行状況に影響を解析した結果、特に肝炎では、A型は大きく減少し、B型, C型は減少、E型は変化なかった。
・全国の透析施設におけるHBs抗原・HCV抗体の陽転化率は全体として減少傾向にあるが、一部施設では依然として発生が確認され、陽性患者数や施設規模との関連が示唆された。特に、エコーガイド下穿刺時の不適切なプローブ管理が感染リスクとなる可能性があり、ガイドラインに基づく感染対策と職員教育の継続が重要とされた。
・SVR後に初発HCCを発症した症例の多くはDAA治療前から高度線維化・肝硬変を有していたが、一部は中等度線維化からSVR後に進行した症例であり、約20%は治療前に高度線維化がなかったことから、HCC発生を見逃さないためにはSVR例全例へのサーベイランス継続が必要であり、肝線維化進行によるHCC発症にはアルコールや脂肪肝などの悪化要因の関与が示唆された。
・HBe抗原陰性例における肝癌サーベイランスでは、APRIスコアとiTACT-HBcrAgを用いた簡便な新しいモニタリングアルゴリズムを作成し、高リスク例と治療要求度の低い低リスク例への層別化が可能となった。また、 HCV-SVR後および非ウイルス性肝癌の外科切除後再発因子として高BMIを同定し、生活習慣改善を主とした肝癌外科切除後の管理の新しい提言へのエビデンス構築ができた
結論
上記、得られた知見は研究目的に適う

公開日・更新日

公開日
2025-11-26
更新日
2025-11-27

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2025-11-26
更新日
2025-11-27

文献情報

文献番号
202420001B
報告書区分
総合
研究課題名
全国規模の肝炎ウイルス感染状況の把握及びウイルス性肝炎eliminationに向けた方策の確立に資する疫学研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22HC1001
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
田中 純子(広島大学 大学院医系科学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 佐竹 正博(日本赤十字社中央血液研究所)
  • 谷 慶彦(大阪府赤十字血液センター)
  • 相崎 英樹(国立感染症研究所 ウイルス第二部)
  • 保坂 哲也(国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 肝臓内科)
  • 古賀 浩徳(久留米大学 医学部)
  • 山崎 一美(独立行政法人国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター)
  • 豊田 秀徳(大垣市民病院 消化器科)
  • 宮坂 昭生(岩手医科大学 医学部  内科学講座 消化器内科肝臓分野)
  • 島上 哲朗(金沢大学 附属病院 地域医療教育センター)
  • 菊地 勘(医療法人社団豊済会 下落合クリニック)
  • 秋田 智之(広島大学 大学院医系科学研究科 疫学・疾病制御学)
  • 杉山 文(広島大学大学院 医系科学研究科 疫学・疾病制御学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服政策研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国の肝炎状況に対処するため、全国規模の肝炎ウイルス感染状況の把握及びHBV感染後・HCV排除後の長期経過に関する臨床疫学研究を実施し、政策の企画立案と基準策定の基礎資料や施策に科学的根拠を与えるための成果の獲得をめざし、地域レベルを含むウイルス肝炎排除への方策を提示する
研究方法
基礎、臨床、社会医学各分野の専門家の参加を得て組織的に実施する
結果と考察
・2017-2021年初回献血者集団250万におけるHBs抗原陽性率0.13%・HCV抗体陽性率0.16%。2019年8月に測定試薬が富士レビオからAbbotに変更。地域別・年代別に算出。キャリア数推計に用いる基礎資料
・2016年度に次ぎ、第2回「HBV母子感染防止事業による妊婦を対象とした検査に関する全国調査2023」を実施。2021-22年度の妊婦331,005人の検診結果を解析し、HBs抗原陽性率は0.13%、HCV抗体陽性率は0.12%。日本におけるHBs抗原陽性妊婦数は、2023年度推計1,004人(95%CI :910-1,098人)(2016年度調査2,313人から半減)。把握された24例についてHBV母子感染成立率は0%、WHO Elimination目標におけるHBV母子感染予防関連指標は達成を示唆
・大阪医療センター肝臓内科受診HCV患者115人を対象に、薬物乱用者集団(PWID)および男性間性交渉者集団(MSM)のHCV genotype把握、系統樹解析を実施。①非MSM PWID(N=31),②MSM PWID(N=15),③MSM 非PWID(N=25),④非MSM非PWID(N=44)の4群でみると①はgenotype 2a(56%)、②③④は1b(87%,65%,70%)であった。系統樹では、MSMでのみクラスターがみられ、④非MSM非PWIDは、MSM、PWIDのいずれとも関連がみられなかった
・薬物乱用歴のある精神科患者集団(35名)を対象とした血清疫学調査の結果、HCV抗体、HCV RNA陽性率は60.0%、28.6%。HCV抗体陽性21人は過去に肝炎ウイルス検査を受検、しかし受療率(42.9%)は一般集団(疫学班調査)より低く、肝臓専門医との連携強化が課題
・「C型肝炎ウイルス検査手順」の一次スクリーニング試薬として2社2試薬(Alinity i Anti-HCV NextおよびHCVDuo)の有用性検討を行った
・D型肝炎ウイルス(HDV)の診断精度向上を目的に、新たな高感度・高特異性な抗体検出法と全ジェノタイプに対応可能なリアルタイムRT-PCR法を開発・評価し、いずれも有用性を確認
・肝炎ウイルス検査受検状況に関する国民調査2024では、検査受検経験率はHBVで88.2%、HCVで79.2%と、2020年度から上昇がみられた。また、陽性と申告した者は全員が医療機関を受診しており、治療率も高水準にあると考えられ、WHOのElimination 2030目標「感染者の90%以上が検査を受ける」を達成の可能性を示唆
・2021年度自治体調査では、6指標のうち診療連携関連スコアの低下が顕著で、特に保健所検査や委託医療機関でのフォローアップ継続が課題となった。各都道府県・ブロックごとの対策状況をスコア化・可視化し、疫学指標とともにレーダーチャートで提示、ブロック会議にて担当者へフィードバックを実施
・人口動態統計と肝癌研究会・日本肝臓学会の調査結果を基にHBV/HCV-由来死亡率・数の推移を算出
・75歳未満年齢調整肝癌死亡率について、全国、都道府県ごとに2030年までを予測
・医薬品販売実績のデータベース(IQVIA)2020-2021年のHCV DAA、HBV 核酸アナログのデータを入手解析し、販売実績から患者数を推定、各都道府県の肝炎治療の実態、二次医療圏別のDAA処方実態を提示
・NDBを用いた実態解析を行い、2012~2021年度B・C型肝炎受療中の性年齢別、地域・都道府県別、受療内容別の患者数を算出。2021年度受療中患者数は、HBV216,230人、HCV156,302人。また、肝炎室依頼によるNDB個別解析を実施し、肝炎対策の基礎資料を提供。
・NDBと全国規模疫学資料に基づく2020年時点のtotalキャリア数を更新。これまでの推計方法(潜在キャリア、死亡率等)を再検討し、2020年時点のキャリア数は111~142万人(HBV92~94万人/HCV19~48万人)となった。診断率はHCV83~93%/HBV94%、受療率HCV78~100%/HBV83~84%となり、WHO Eliminationの基準(各90%、80%)を達成していると考えられた。
結論
上記、得られた知見は研究目的に適う

公開日・更新日

公開日
2025-11-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2025-11-26
更新日
2025-11-27

行政効果報告

文献番号
202420001C

収支報告書

文献番号
202420001Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
47,555,000円
(2)補助金確定額
47,555,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 16,894,851円
人件費・謝金 14,532,850円
旅費 3,071,510円
その他 3,544,789円
間接経費 9,511,000円
合計 47,555,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2026-02-26
更新日
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