国際保健分野の人材育成のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
201003008A
報告書区分
総括
研究課題名
国際保健分野の人材育成のあり方に関する研究
課題番号
H20-国際・指定-002
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
中村 安秀(国立大学法人 大阪大学 大学院人間科学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 松山 章子(長崎大学 国際連携研究戦略本部 (長崎大学国際健康開発研究科兼任))
  • 石川 尚子(国立国際医療研究センター国際医療協力局・公衆衛生学)
  • 兵井 伸行(国立保健医療科学院 研修企画部国際協力室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題推進研究(地球規模保健課題推進研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
4,180,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、諸外国の大学院における人材養成プログラムの分析、および卒業生の進路に関する追跡調査などを実施し、日本国内の複数の教育研究機関から構成されるコンソーシアムによる人材育成プログラムのモデル開発を行い、オペレーション・リサーチとしてコンソーシアムによる人材育成プログラムを試行する。1つの大学や研究機関ではカバーできない人材養成を複数の教育研究機関で実施するシステムについては、欧米などではすでに先行事例があるが、日本の国際保健分野では初めての試みである。人材育成プログラムの成果は、NGOやボランティアで国際保健医療協力を行なう専門職や市民にも還元できる性質のものであり、日本全体の国際貢献という観点からもその社会的なインパクトは大きい。
研究方法
本研究においては、諸外国の大学院における人材養成プログラムの分析、および卒業生の進路に関する追跡調査、日本国内の複数の教育研究機関から構成されるコンソーシアムによる人材育成プログラムのモデル開発、コンソーシアムによる人材育成プログラムの試行を行なう。
結果と考察
2009年1月に設立された「国際保健コンソーシアム」は、2011年2月現在14機関からの加盟を得るに至った。外務省、エイズ・結核マラリア世界基金、WHO本部、日本医師会などからの依頼を受け、国際保健専門家の人材公募情報を提供してきた。また、国際保健に関する研修として、2011年1月に国際協力経験者を対象に、栄養、感染症、助産、保健システムというテーマを絞った中級研修を実施した。2008年4月に開校した長崎大学の「国際健康開発研究科」(MPHコース)において、学生によるカリキュラムレビュー、学生に対する質問紙意識調査、入学者のバックグラウンドと学生の卒業後の進路に関する情報などをもとに分析を行った。国立保健医療科学院「地域健康教育コース」では、国際保健課題に十分対応できる人材の能力開発とリーダーシップ形成が重要であることが明らかにされた。
結論
医学部や看護学部だけでなく、人文社会系の大学生も含めて、国際保健医療協力に関する関心は非常に高い。長崎大学や国立保健医療科学院の試みのように、ある程度の国際保健の経験をもった人材のキャリア・パスの道筋を開拓していくことが求められている。

公開日・更新日

公開日
2011-06-09
更新日
-

文献情報

文献番号
201003008B
報告書区分
総合
研究課題名
国際保健分野の人材育成のあり方に関する研究
課題番号
H20-国際・指定-002
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
中村 安秀(国立大学法人 大阪大学 大学院人間科学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 松山 章子(長崎大学 国際連携研究戦略本部(長崎大学国際健康開発研究科兼任))
  • 石川 尚子(国立国際医療研究センター国際医療協力局・公衆衛生学)
  • 兵井 伸行(国立保健医療科学院 研修企画部国際協力室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題推進研究(地球規模保健課題推進研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、諸外国の大学院における人材養成プログラムの分析、および卒業生の進路に関する追跡調査などを実施し、日本国内の複数の教育研究機関から構成されるコンソーシアムによる人材育成プログラムのモデル開発を行い、オペレーション・リサーチとしてコンソーシアムによる人材育成プログラムを試行する。1つの大学や研究機関ではカバーできない人材養成を複数の教育研究機関で実施するシステムについては、欧米などではすでに先行事例があるが、日本の国際保健分野では初めての試みである。人材育成プログラムの成果は、NGOやボランティアで国際保健医療協力を行なう専門職や市民にも還元できる性質のものであり、日本全体の国際貢献という観点からもその社会的なインパクトは大きい。
研究方法
本研究においては、諸外国の大学院における人材養成プログラムの分析、および卒業生の進路に関する追跡調査、日本国内の複数の教育研究機関から構成されるコンソーシアムによる人材育成プログラムのモデル開発、コンソーシアムによる人材育成プログラムの試行を行なう。
結果と考察
当初予定を早め、2009年1月に「国際保健コンソーシアム」設立総会を開催した。本コンソーシアムは、保健医療分野におけるわが国の開発協力を効果的かつ効率的に推進するため、国際保健に関する人材育成および人材登録のあり方に関する実務的な検討を行なうことを目的とし、適切な人材の発掘と登録、人材のニーズに関する情報の発信、国際的な場で活動できる人材の育成・研修、国際保健分野での人材養成に関する研究などを行なった。
 2009年7月にホームページを開設し、2011年2月現在14機関からの加盟を得るに至った。外務省、エイズ・結核マラリア世界基金、WHO本部、日本医師会などからの依頼を受け、国際保健専門家の人材公募情報を提供してきた。また、国際保健に関する研修として、2011年1月に国際協力経験者を対象に、栄養、感染症、助産、保健システムというテーマを絞った中級研修を実施した。
結論
キャリア・アップの視点から、国際機関やJICAなどでは、現場経験を重視している。しかし、最初の途上国経験をどのようにして獲得するのかという問題は、いまだ解決されていない。今後、NGOやODAにおけるインターン制度の充実や、青年海外協力隊の短期派遣制度を初心者用に再編するなどの具体的な方策が必要となろう。

公開日・更新日

公開日
2011-09-05
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201003008C

成果

専門的・学術的観点からの成果
長崎大学の「国際健康開発研究科」において、入学者のバックグラウンドと学生の卒業後の進路に関する情報をもとに分析を行い、途上国現場や実務経験の少ない若手にとって経験重視の傾向は就職への大きな阻害要因となっていることを明らかにした。国立保健医療科学院「地域健康教育コース」では、国際保健課題に十分対応できる人材の能力開発とリーダーシップ形成が重要であることが明らかにされた。これらの知見はすでに経験的に言及されていたことであるが、本研究により具体的に実証できたことの意義は大きい。
臨床的観点からの成果
本研究班は臨床的成果を直接の目的としたものではないが、人材養成の好例が散見された。国際小児保健研究会(JICHA:会員数192名)は、1995年3月に設立され、「子ども」、「健康、「国際」をキーワードとして、小児科医を中心に、途上国における国際保健医療協力に関する実践的研究を遂行してきた。学術的な調査研究と現場での実践活動の有機的な連携をめざし、国際協力に関心をもつ小児科医のキャリア・パスなど人材育成に関する活動も行っている。人材育成と臨床現場のリンケージを図る重要性が示唆された。
ガイドライン等の開発
本研究班において、とくにガイドラインの開発は行っていない。ただ、国際保健コンソーシアムの規約の策定、人材登録フォーム(案)の作成など、今後、国際協力に関する人材養成に関して必要となる基本フォーマットの開発と整理を行った。2015年4月の「グローバル・ヘルスと人間の安全保障プログラム」において、人材育成の重要性が議論された。
その他行政的観点からの成果
国際保健コンソーシアムは、2011年2月現在14機関からの加盟を得るに至った。メーリングリストを介した人材ニーズに関する情報の発信を行い、とくに外務省、エイズ・結核マラリア世界基金、WHO本部、日本医師会などからの依頼を受け、国際保健専門家の人材公募情報を提供してきた。また、2009年4月15日に、参議院・国際・地球温暖化問題に関する調査会で主任研究者の中村安秀が参議院参考人質疑を行い、国際保健コンソーシアムについて言及した。
その他のインパクト
研究班実施時には、とくに外務省、エイズ・結核マラリア世界基金、WHO本部、日本医師会などからの依頼を受け、国際保健専門家の人材公募情報を提供してきた。ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の主流化に伴い、2013年以降は国際保健分野の人材育成に関する本報告書の問い合わせがあり、内閣府・外務省などに報告するとともに、2014年には日本国際保健医療学会においても国際保健に関わる人材育成に関する取り組みが開始された。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
8件
その他論文(英文等)
2件
学会発表(国内学会)
11件
学会発表(国際学会等)
7件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
4件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-09
更新日
-

収支報告書

文献番号
201003008Z