文献情報
文献番号
202419006A
報告書区分
総括
研究課題名
在留外国人に対するHIV検査や医療提供の体制構築に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22HB1006
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
北島 勉(杏林大学 総合政策学部)
研究分担者(所属機関)
- 沢田 貴志(神奈川県勤労者医療生活協同組合 港町診療所)
- 宮首 弘子(杏林大学外国語学部)
- Tran Thi Hue(チャン ティフェ)(神戸女子大学 文学部国際教養学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策政策研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
近年、我が国の在留外国人が増加傾向にある。2020年に発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により在留外国人は若干減少したものの、2024年6月末時点で359万人が滞在していた。在留外国人の多くは20〜30代で、性的にも活動的な年齢層であるため、HIVを含む性感染症に感染する者が増加する可能性がある。2023年では、新規HIV感染者の21.8%が外国籍であった。そこで、本研究では、在留外国人のHIV検査受検促進や陽性者への医療関連サービスへのアクセスの改善をめざし、自治体やNPO等との連携モデルを構築することを目的とする。
研究方法
本研究では以下の活動を実施した:(1)全国自治体における在留外国人に関するHIV対策についての現状と課題に関する調査、(2)HIV検査の多言語化、(3)郵送HIV検査の社会実装に向けた研究、(4)HIV及び結核のための多言語通訳の育成とその利用に関する検討、(5)在留外国人のHIV検査受検促進に向けた情報提供のあり方に関する検討。
結果と考察
(1)全国の保健所を設置している自治体のHIV対策を担当している部署(173か所)に質問票と返信用の封筒を送り、134の自治体から回答を得た。HIVに関する多言語での情報提供、多言語によるHIV検査の提供、通訳やカウンセラーの配置等、2013年に実施した同様の調査結果とほぼ同様の状況であった。(2)研究班主催のHIV検査会を首都圏で6回、沖縄県で3回、宮城県で1回、計10回の無料匿名検査会を行った。64人が受検した。HIV検査とB型肝炎の陽性者はいなかった。梅毒の新規感染者が2人おり、医療機関に紹介した。また、検査会場で自己検査の試用に40人が参加し、受容性と実施可能性を検討した。受検者の87.5%が一人で自己検査ができ、85%が自宅等で一人で実施可能とのことであった。更に、保健所9か所と医療機関1か所との協働で、HIV検査の多言語化での提供を試行した。のべ14回の多言語対応検査会に38人の予約があり、受検者は11人であった。(3)在留外国人の郵送HIV検査に対する選好を調べるために、Discrete Choice Experiment(DCE、離散型選択実験)を用いた調査を行った。回答者123人のデータから、検査キットの自宅への郵送、自分の言語でのサポートあり、無料で提供を選択する割合が高いことがわかった。この結果をベースに、実際に多言語対応郵送HIV検査キットの配布を関東地方と沖縄県を主な対象として実施した。145人に検査キットを配布し、81人から検体が返却された。申込者の2割が特定技能/技能実習生であり、施設検査の受検者と違う層にリーチできた。また、検査結果が「要血液検査」であった人が5人いた。(4)2024年9月〜12月にかけて、医療通訳者を対象としたオンライン研修を4回開催し、HIVや結核に関する基礎知識、医療制度、通訳技法とロールプレイ演習を行った。のべ68人が参加した。また、これまでの研修会参加者のうち一定のレベルに達している通訳者を保健所等の検査結果告知の際に遠隔通訳として派遣した。今年度は12の保健所または自治体から依頼があった。(5)近年、増加している在留ベトナム人を対象としたHIVに関するウエビナーを開催した。ウエビナー参加者のなかから、研究班が実施した郵送HIV検査への申請や医師への相談につなぐことができた。
結論
当研究班では、HIVに関する多言語での情報提供、自治体等と連携した多言語対応検査の提供、多言語対応を支える医療通訳者の効果的な育成について検討し、実践してきた。それぞれの内容を改善するとともに、これらがどのように連携することが、在留外国人がHIV検査や医療にアクセスしやすい仕組みの構築につながるのか、研究を継続していきたい。
公開日・更新日
公開日
2026-06-24
更新日
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