ワクチンの有効性・安全性の疫学的評価と予防接種政策の最適化に資する研究

文献情報

文献番号
202418035A
報告書区分
総括
研究課題名
ワクチンの有効性・安全性の疫学的評価と予防接種政策の最適化に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24HA2007
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
福島 若葉(大阪公立大学 大学院医学研究科公衆衛生学)
研究分担者(所属機関)
  • 大藤 さとこ(大阪公立大学大学院医学研究科公衆衛生学)
  • 原 めぐみ(佐賀大学 医学部社会医学講座予防医学分野)
  • 岡田 賢司(福岡看護大学基礎・基礎看護部門)
  • 中野 貴司(川崎医科大学 医学部 小児科)
  • 森川 佐依子(地方独立行政法人大阪健康安全基盤研究所 微生物部)
  • 神谷 元(三重大学大学院医学系研究科公衆衛生・産業医学・実地疫学分野)
  • 近藤 正英(筑波大学 医学医療系)
  • 中島 啓(亀田総合病院 呼吸器内科)
  • 伊藤 一弥(大阪公立大学大学院看護学研究科 健康支援基礎科学)
  • 吉原 達也(医療法人相生会 福岡みらい病院 臨床研究センター)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和8(2026)年度
研究費
30,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年、予防接種政策を取り巻く環境が複雑化している中、「ヒト集団」におけるエビデンス、すなわち疫学による評価に基づく根拠は、政策決定の根幹をなすものとして一層重要となっている。本研究課題では、わが国における予防接種政策を推進するために必要となる、あるいは推進する過程で生じる、ワクチンの有効性・安全性等に関する種々の課題に対して、疫学を基軸に取り組み、予防接種政策の最適化に資する科学的根拠を創出する。
研究方法
厚生労働省の意向による特定研究と、個別のプロジェクト研究を実施する。多様な専門性(疫学、公衆衛生学、臨床医学、微生物学、医療経済学、医療統計学、臨床薬理学など)で構成される研究体制を構築し、地域ベースの研究では地方自治体や関係機関と協働する。厚生労働省意向による特定研究を円滑に実施するための分科会を置く。
結果と考察
<厚生労働省意向による特定研究>

1.市販後ワクチンの接種プログラムの最適化に関する研究【接種プログラム最適化分科会】
・妊婦に対する百日咳含有ワクチン(DTaPワクチン)接種の安全性を評価する後ろ向きコホート研究を実施した(静岡study)。接種者と非接種者で、妊娠経過・転帰や出生児の状況は同様であった。
・妊婦に対する百日咳含有ワクチン(DTaPワクチン)接種の抗体応答と安全性等を評価する前向きコホート研究を実施した(沖縄study)。免疫原性は良好であった。妊娠経過・転帰や出生児の安全性について、現時点で特段の懸念は認めていない。
・0~14歳小児における抗ムンプスウイルス抗体保有状況を横断的に調査した。中和抗体価陽性率は、ワクチン接種歴のない小児で3.4%、1回のワクチン接種歴がある小児では45.0%であった。
・公的統計を用いて、令和4(2022)年度の都道府県別にみた麻しんワクチン接種率との関連因子を生態学的研究で分析した。自治体における接種率の向上には、父子家庭、母親の年齢、社会経済的地位が重要な要素である可能性を示した。
・全国自治体の予防接種事業の実態を把握する調査を開始した。

2.継続的評価を視野に入れた市販後ワクチンの有効性に関する研究【ワクチン有効性分科会】
・6歳未満小児におけるインフルエンザワクチン有効性を症例対照研究(test-negative design)で評価した。2023/24シーズンの2回接種の有効率は、発症に対して69%(95%信頼区間:31%-86%)であった。
・0~1歳児の急性発熱性呼吸器感染症に対する児自身のワクチン等接種、妊婦へのワクチン接種の有効性を評価する症例対照研究(test-negative design)を、2024/25シーズンより開始した。
・自治体の予防接種情報とレセプト情報を使用したtarget trial emulationにより、65歳以上の者におけるインフルエンザワクチン有効率を推定した。有意な有効性は認められず、依然として未測定交絡因子や受診行動等のバイアスの影響を排除できていない可能性が考えられた。
・帯状疱疹ワクチンの有効性を、宮崎県の皮膚科医療機関で構築していたデータベースを連結した後ろ向きコホート研究で評価した。帯状疱疹罹患に対するシングリックス接種の有効率は84%(95%信頼区間:31%-94%)であった。
・帯状疱疹ワクチンの有効性について、定期接種開始後のインパクトを地域ベースで評価する体制を整備した。

3.新規に導入される/導入予定のワクチン等の費用対効果・有効性・安全性に関する研究【新規ワクチン分科会】
・慢性呼吸器疾患患者を対象に、20価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV20)の免疫原性と安全性を評価する前向きコホート研究を開始した。
・乳幼児のRSV関連疾患予防のために、妊婦用組換えサブユニットRSVプレフュージョンF3(RSVpreF)ワクチンとニルセビマブ(抗RSVヒトモノクローナル抗体製剤)を用いた接種プログラムについて、費用効果分析を行った。現状の標準治療(ハイリスク乳児に対するパリビズマブ投与)に対する4つの代替接種ストラテジーのベース・ケースの増分費用効果比は、全て支払い意思額(500万円/QALY)を上回ったが、妊婦に対する季節性RSVpreFワクチンの接種費用が1回あたり3.2万円であれば、当該ワクチンの接種は費用対効果に優れることが示唆された。

<プロジェクト研究>
新型コロナワクチンの免疫応答・有効性・副反応、ワクチン接種意向やインフォデミックの影響、インフルエンザの流行状況、高齢者肺炎の発症関連因子などを評価した。
結論
厚生労働省の意向により実施する特定研究と、個別に実施するプロジェクト研究のそれぞれで、予防接種政策の最適化に資する科学的根拠が生み出されている。行政課題の最新状況をフォローしつつ、次年度も引き続き、政策決定の根幹をなす成果の創出につとめる。

公開日・更新日

公開日
2025-08-05
更新日
-

研究報告書(PDF)

分担研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2025-08-05
更新日
-

収支報告書

文献番号
202418035Z