貧困層の健康と社会的排除についての実態調査と地域の社会医療のあり方についての研究

文献情報

文献番号
201001042A
報告書区分
総括
研究課題名
貧困層の健康と社会的排除についての実態調査と地域の社会医療のあり方についての研究
課題番号
H22-政策・一般-024
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
福原 宏幸(大阪市立大学 大学院経済学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 高鳥毛 敏雄(関西大学 社会安全学部)
  • 中山 徹(大阪府立大学 人間社会学部)
  • 水内 俊雄(大阪市立大学 都市研究プラザ)
  • 若松 司(大阪市立大学 都市研究プラザ)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
2,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究の第1の目的は、平均寿命がきわめて短い西成区、とくにその中でも貧困や社会的排除が集中している北西部N地区の住民を対象に、地域住民の不健康を社会医学と社会経済学の観点から明らかにすることにある(調査1)。また、この調査の成果を踏まえて、大阪市内の社会的不利地区住民の「社会生活と健康」の実態を明らかにすることがもう一つの目的である。(調査2)。
研究方法
 調査1では、2009年2-4月に地域住民2337人を対象に、アンケート調査を実施した。この調査では、健康や社会生活全般にかかわる項目、健康感、うつ状態、通院状況、喫煙、アルコール、運動習慣、家族・友人関係、学歴、雇用、経済状況などを聞きた。
 調査2では、ジオデモグラフィック・データを活用して大阪市内の社会的不利地区を摘出し、これらの地区住民とあわせて大阪市民全体を対象に大規模なアンケート調査(調査票配布数6000、回収率50%を目標)を実施する。
結果と考察
 調査1については、調査票のデータ分析を進めているところである。その大まかな結果は、西成区北西部のN地区住民の健康状態、生活習慣、所得などの経済状況はいずれもよくないことが明らかとなった。とくに、生活習慣病やこころの病気などでの通院率が全国平均よりも著しく高い結果となった。しかし、地域住民間のつながりの広がりや強さが、健康に対してプラスの効果をもたらしていることもわかった。
 調査2では、2011年度のアンケート調査実施をめざし、準備を進めてきた。第1に、大阪市内における社会的不利地区や富裕地区などの抽出にあたって、2005年国勢調査の町丁目のデータ分析にもとづいた抽出作業を進めた。第2に、アンケート調査項目の策定にあたって、国内での健康調査はもちろん、海外の健康調査の成果を参照しつつ検討を行った。
結論
 これら2つの調査をとおして、社会的不利地区には、①貧困と社会的排除があること、②それらが健康状態の相関関係が明らかとなるだろう。また、ジオデモグラフィック・データ分析によって、それぞれの地域の特性が健康と一定の関連があることが明らかとなるだろう。しかし、それらの地域の社会資源を開発しまたそれを生かすことが、豊かなソーシャル・キャピタルの形成となり、長期的には住民の主観的健康観の改善をうながし、同時に、貧困層の食生活の改善や地域健康診断など地域ぐるみの健康管理の仕組みを構築することにつながるものと思われる。

公開日・更新日

公開日
2011-07-22
更新日
-

収支報告書

文献番号
201001042Z