居室における中間周波電磁界に関する研究

文献情報

文献番号
200942032A
報告書区分
総括
研究課題名
居室における中間周波電磁界に関する研究
課題番号
H21-健危・一般-008
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
大久保 千代次(財団法人 電気安全環境研究所 電磁界情報センター)
研究分担者(所属機関)
  • 池畑 政輝(鉄道総合技術研究所)
  • 石井 一行(明治薬科大学)
  • 吉江 幸子(鉄道総合技術研究所)
  • 鈴木 敬久(首都大学東京都市教養学部)
  • 和田 圭二(首都大学東京都市教養学部)
  • 小笠原 裕樹(明治薬科大学)
  • 牛山 明(国立保健医療科学院)
  • 多氣 昌生(首都大学東京都市教養学部)
  • 酒井 泰二(情報通信研究機構)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
24,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
中間周波電磁界を利用した機器が居室にも普及を遂げているが、その健康影響に関する科学的情報が不足なため、健康安全・危機管理として早急な対応が求められている。本研究は、これに対応して、そのハザードの有無について、細胞ならびに動物を用いて明らかにすることを目的としている。
研究目的の中間周波電磁界ばく露装置が存在しないため、平成21年度の主目的は、細胞用の電磁界ばく露装置の開発であり、細胞研究斑によるバリデーションである。これと平行して次年度以降の動物用電磁界ばく露のあり方等に関する検討も含まれる。
研究方法
電磁界の生体影響評価研究では電気工学的な定量が不可欠であるため、電気工学班、細胞研究班、動物研究班の3班で共同研究を実施した。
 電気工学班では、ICNIRPガイドラインの磁界強度を基準とし、内部誘導量を評価できるシステムを検討すると共に、細胞用ばく露装置の開発において、電源装置と磁界ばく露用コイルをトータルシステムとして設計できる手法を検討した。
 細胞研究斑では、ばく露装置のバリデーションとほ乳類培養細胞を用いた細胞影響評価の基礎試験を行った。
 動物研究班では、中間周波電磁界に関する実験動物を用いた研究をレビューした。
結果と考察
電気工学班では、20kHzの入射磁界を短時間運転であれば実効値で最大3.4mT(一般公衆における参考レベル(6.25μT)の約540倍),連続運転時の場合最大2mT(同の320倍)の均一磁界(ばく露空間内の磁界強度の偏差が±5%以内)のばく露が可能な細胞用ばく露装置を開発できた。
細胞研究班では、磁界発生コイルに適合した培養装置として、非磁性体の培養器本体や温度・空気環境制御装置を用いることによって、上記の強磁界下でも安定的に動作する細胞ばく露用ばく露装置を開発できた。また、ほ乳類培養細胞を用いた細胞影響評価の基礎試験を行い、予備実験として細胞の生育や染色体異常にばく露影響が無い事を確認した。
動物研究班では、先行研究には、パルス波や鋸状波のIF磁界ばく露の報告は多いが、IH調理器で使用されている正弦波のIF磁界の影響を動物実験で調べた例は少ない事が分かり、今後は、正弦波磁界の動物へのばく露の影響を検討することとした。
結論
細胞に非常に強い中間周波磁界を定量的にばく露できる装置を開発し、これに対応した細胞培養システムを構築する事が出来た。

公開日・更新日

公開日
2010-08-29
更新日
-