健康危機発生時の迅速なる検査体制および原因究明に向けた連携体制構築に関する研究

文献情報

文献番号
200942006A
報告書区分
総括
研究課題名
健康危機発生時の迅速なる検査体制および原因究明に向けた連携体制構築に関する研究
課題番号
H19-健危・一般-010
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
西田 まなみ(広島大学 技術センター)
研究分担者(所属機関)
  • 檜山 英三(広島大学 自然科学研究支援開発センター)
  • 福家 千昭(琉球大学 医学部)
  • 斉藤 剛(東海大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
3,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
危機管理に卓越した人材育成と情報共有を行い、専門知識を有した適切な初動体制を確保するために、内閣官房、厚生労働省を始めとする各省庁、大学および企業などの危機管理担当者による勉強会「危機管理勉強会」を開催し、危機管理情報を共有する。また、検査技術の向上と体制の強化および各機関の連携強化を図り、化学物質が関与した災害発生時に、科学的根拠に基づいた治療が施されるように、各検査機関の分析担当者が連携し、起因物質を迅速に検索し、国民の生命・健康の安全確保に資することを目的とする。
研究方法
1)危機管理情報の共有化
危機管理に関する幅広い分野の専門家による各分野での危機管理情報の発信を検討する。
2)迅速検査法の開発と検査法の集約化
過去に甚大な事故の原因となった中毒起因物質を対象とした迅速検査法の改良、評価を行い、危険性の高い有毒ガスを対象としたガス検知管による一斉検査法の検証を行う。
3)各機関における原因物質特定の実地訓練
過去に発生した大規模災害に関連した化学物質をインターネットや記事などで検索し、検査法を確立、集約すべき化学物質リストを作成して模擬試料を使った実地講習会を開催する。
4)分析機関の選定と検査試料の運搬
化学災害の起因物質を検査する有効性について化学災害の発生形態から分類を行い、化学災害発生時の分析機関の選定、検査試料の運搬、試料の搬送手段について検討する。
5)薬毒物の検査体制と連携体制の構築
化学災害発生時の初動対応者や医療機関への迅速かつ適切な情報連携体制の構築を想定し、広島市での化学物質の関与した災害発生時の連携体制を検証する。
結果と考察
これまでは断片的であった危機管理に卓越した人材育成と情報の共有、適切な初動体制の確保、検査技術の向上と各機関の連携強化が期待される。原因物質特定に関する連携体制の構築に留まらず、日常からの継続した評価、検証が必要であると考える。
今後も患者の治療に貢献できる医療機関独自の検査ルートが確保できるよう研究を重ねる必要がある。
結論
健康危機管理に関する情報を集約し、災害時に採るべく方策を想定して、日頃から訓練しておく必要がある。特に、危機管理情報を共有し、化学物質が関与した災害発生時に、科学的根拠に基づいた治療が施されるように、内閣官房、各省庁、大学および企業などの危機管理担当者や各検査機関の分析担当者が連携し、起因物質を迅速に検索する体制の構築が望まれる。また、迅速検査や機器による分析結果が十分に精度管理された状態で実施され、分析技術者が中毒全般について理解を深め、薬毒物検査の役割を的確に果たすことも不可欠である。

公開日・更新日

公開日
2010-06-14
更新日
-

文献情報

文献番号
200942006B
報告書区分
総合
研究課題名
健康危機発生時の迅速なる検査体制および原因究明に向けた連携体制構築に関する研究
課題番号
H19-健危・一般-010
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
西田 まなみ(広島大学 技術センター)
研究分担者(所属機関)
  • 檜山 英三(広島大学 自然科学研究支援開発センター)
  • 福家 千昭(琉球大学 医学部)
  • 斉藤 剛(東海大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
危機管理に卓越した人材育成と情報共有を行い、専門知識を有した適切な初動体制を確保するために、内閣官房、厚生労働省を始めとする各省庁、大学、企業等の危機管理担当者による危機管理メーリングリストを立ち上げ、情報発信、勉強会や講習会を開催する。また、検査技術の向上と体制および各機関の連携強化を図り、化学物質が関与した災害発生時に初動対応者や各検査機関の分析担当者が科学的根拠に基づいた治療が施されるよう起因物質を迅速に検索し、国民の生命・健康の安全確保に資することを目的とする。
研究方法
1)危機管理情報の共有化
危機管理メーリングリストを使用して情報を提供し、講演会や施設見学、講習会等により参加者の相互交流の機会を提供して情報共有を行った。
2)迅速検査法の開発と検査法の集約化
大規模災害に関連した化学物質、毒性が高い有毒ガスを検索して迅速検査法の開発と改良、検知管による検査法を検討し、現場検知用の携帯型資機材での検証を行った。
3)各機関における原因物質特定の実地訓練
初動対応者や分析担当者を対象に模擬試料、実剤、機材を使った講習会および実地訓練を開催、マニュアルを検証して問題点を改良し、結果の解釈等について助言した。
4)分析機関の選定と検査試料の運搬
化学災害の発生形態から各機関の対応をまとめ、試料採取や運搬方法について検討した。
5)薬毒物の検査体制と連携体制の構築
広島市での化学災害発生時の検査体制を検証し、実働訓練を通して地域での連携体制について検討した。
結果と考察
産官学、省庁間の壁を越えた横断的な人材育成、情報共有を行い、適切な初動体制を確保、検査技術の向上と各機関の連携強化が期待される。実務担当者間での交流が危機発生時の初動に役立つと考え、協力体制を構築して実地訓練を行い、検証、改良を継続することが有効であると考える。
結論
健康危機管理に関する情報を集約、多角的視野にたって解析する実践に即した人材を確保し、災害時に採るべく方策を想定して、実地訓練を行う必要がある。化学災害が関与した災害発生時に、検査結果を科学的根拠に基づいた治療に役立てるために起因物質を迅速に検査する体制を整え、検査や分析が精度管理された状態で実施され、薬毒物検査の役割を的確に果たすことも不可欠である。

公開日・更新日

公開日
2010-06-14
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200942006C

成果

専門的・学術的観点からの成果
外国製の検知器材にはブラックボックス的な要素が多く、初心者には取り扱いにくい面がある。原理や活用法を分かり易く解説し、専門的知識を有していない現場で検知を行う実働者に対して、適材適所に検知器を活用する術を明らかにした。また、実験室レベルでの検査法を改良・開発し、より迅速に災害の原因となっている物質の推定を可能とした。本研究成果から、高価な分析機器を有していなくても、既存の機器を有効活用して災害現場ならびに実験室レベルにおいても効率的な原因物質の推定を可能とした。
臨床的観点からの成果
原因不明で搬入された患者に対し、症状や救急隊員などの初動部隊からの現場情報を参考にして治療することが多く、警察や保健所で検査して治療現場に情報が届くのはかなり遅くなるために、検査結果が治療に役立つことが少なかった。研究成果では、治療現場で生体試料から原因物質を迅速に検査できることから治療効果を高めることができた。また、経験した災害だけでなく、構築した人的ネットワークからの生の情報を活用することによって、幅広い災害に対処できる。
ガイドライン等の開発
本研究で行った実剤を用いての検知実働訓練により、これまで消防局で作成していた行動マニュアルを再検討し、より実践に即した行動、対処法のマニュアル作成が可能となった。即ち、限られた時間内での防護服着用時における検知操作の簡略化、試料採取・検知・判定に携わる各隊員の役割分担、検知結果判定に必要な情報の共有と手順の見直し、試料保存・現場洗浄(無毒化)等の危機管理マニュアルの実地版として改訂が試みられている。
その他行政的観点からの成果
これまで交流の薄かった分野・省庁横断的な情報共有体制を構築した。個人レベルでの活動の域を脱しないが、如何にして組織的な活動へと発展させるか種々の試みが継続している。また、産官学が連携することで、異なった観点からの捉え方ができ、より広角的な着眼点が生まれることが期待される。危機管理に関する情報の共有化を目的に、危機管理に関係する勉強会やセミナーなどの情報提供を行い、人材発掘や連携体制を構築した。本成果は、多分野(異分野)の人的交流により、災害や事件を多角的視野にたって解析することに役立つと考える。
その他のインパクト
危機管理勉強会は3年間で54回開催し、幅広い分野の危機に関する話題を提供してきた。幅広い情報に対して、求める側にとっては関心の薄い話題もあるが、開催回数を多くことにより、その影響を極力抑えることができた。また、異分野の話題に関心を寄せることにより、既成観念で事を判断することなく、柔軟な対応が可能となったと参加者が評価している。新鮮な話題を提供する講師の発掘に労を要したが、研究終了後も継続の要望が強く、有志による支援のための方策を検討している。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
1件
Preliminary screening method for the determination of inorganic arsenic in urine.
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件
研究成果等普及啓発事業発表会

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-11-24
更新日
-