文献情報
文献番号
202408054A
報告書区分
総括
研究課題名
加熱式たばこなど新たなたばこ製品の成分分析と生体影響研究を組み合わせた能動喫煙・受動喫煙の健康影響評価
研究課題名(英字)
-
課題番号
24FA2001
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
稲葉 洋平(国立保健医療科学院 生活環境研究部)
研究分担者(所属機関)
- 牛山 明(国立保健医療科学院 生活環境研究部)
- 伊藤 加奈江(戸次 加奈江)(国立保健医療科学院 生活環境研究部)
- 鳥羽 陽(長崎大学 大学大学院医歯薬学総合研究科(薬学系))
- 三宅 祐一(横浜国立大学 大学院環境情報研究院)
- 杉田 和俊(麻布大学 獣医学部)
- 進藤 佐和子(明治薬科大学 環境衛生学研究室)
- 緒方 裕光(女子栄養大学 疫学・生物統計学研究室)
- 楠瀬 翔一(西本 翔一)(国立保健医療科学院 生活環境研究部)
- 戸塚 ゆ加里(星薬科大学 衛生化学)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和8(2026)年度
研究費
26,490,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、近年急速に普及している加熱式たばこ等の新型たばこ製品について包括的な健康影響評価を実施し、科学的根拠に基づく評価を行うことを目的としている。加熱式たばこは改正健康増進法で「指定たばこ」とされているが、紙巻たばこに比べて市場導入の歴史が浅く、能動喫煙・受動喫煙による健康影響に関する科学的知見は依然として不十分な状況にある。
研究方法
本研究では、加熱式たばこ製品の主流煙成分分析、受動喫煙による健康影響評価、動物曝露実験を通じて、新型たばこ製品の安全性について多角的に検証した。
結果と考察
主要な成果として、まず加熱式たばこ68銘柄(IQOS ILUMA、glo HYPER pro、Ploom X ADVANCED)と紙巻たばこ20銘柄の主流煙成分を分析した結果、たばこ産業が主張する「有害化学物質90%削減」は比較対象や成分により大きく異なることが明らかとなった。
具体的には、一酸化炭素は燃焼温度の違い(加熱式254-343℃対紙巻き750℃以上)により約100分の1に大幅削減されたが、依存物質であるニコチンは加熱式たばこ0.41-2.36mg/本、紙巻たばこ平均1.75mg/本と同等レベルを維持していた。発がん性物質であるたばこ特異的ニトロソアミン類については、加熱式たばこ6.87-111ng/本、紙巻たばこ平均240ng/本であったが、削減率は0-90%と大きく変動し、一部の加熱式たばこでは紙巻たばこと差が認められない銘柄も存在した。
特に懸念される点として、IQOS互換機の分析では純正品と比較して有害化学物質発生量に大きなばらつきがあり、高温加熱により燃焼由来有害物質が紙巻たばこと同等レベルで発生する製品も存在することが判明した。互換機の中には一酸化炭素が純正品の約24倍に達する製品もあり、473℃という高温加熱が燃焼由来化学物質の大量発生原因と考えられた。電子たばこの分析においても重要な知見が得られた。継続使用により電熱コイルの劣化・焦げ付きによって多環芳香族炭化水素類と一酸化炭素の発生量が著しく増加し、発がん性物質であるベンゾ[a]ピレンが最大で紙巻たばこに匹敵する発生量を示した。特に市販リキッドのフレーバー成分がこれらの有害物質発生量を大幅に増加させることが確認された。さらに、新型たばこ製品には香料アレルゲン(電子たばこリキッドから29種、加熱式たばこ専用スティックから15種)、イソシアネート、アンモニアなどの多様な有害化学物質が含まれており、これらは能動喫煙だけでなく受動喫煙の要因ともなり得ることが示された。パッシブサンプリング技術による環境調査では、喫煙者のいる家庭において有意に高いイソシアネート濃度が検出され、受動喫煙環境の定量評価における有効性が確認された。動物実験では、加熱式たばこ曝露によるニコチン吸収や病態への影響が確認され、遺伝毒性評価のためのecNGS手法も確立された。これらの結果から、加熱式たばこは燃焼由来の有害物質は削減するものの、たばこ葉由来の化学物質は254-343℃の加熱温度でも主流煙に移行することが明らかとなった。
具体的には、一酸化炭素は燃焼温度の違い(加熱式254-343℃対紙巻き750℃以上)により約100分の1に大幅削減されたが、依存物質であるニコチンは加熱式たばこ0.41-2.36mg/本、紙巻たばこ平均1.75mg/本と同等レベルを維持していた。発がん性物質であるたばこ特異的ニトロソアミン類については、加熱式たばこ6.87-111ng/本、紙巻たばこ平均240ng/本であったが、削減率は0-90%と大きく変動し、一部の加熱式たばこでは紙巻たばこと差が認められない銘柄も存在した。
特に懸念される点として、IQOS互換機の分析では純正品と比較して有害化学物質発生量に大きなばらつきがあり、高温加熱により燃焼由来有害物質が紙巻たばこと同等レベルで発生する製品も存在することが判明した。互換機の中には一酸化炭素が純正品の約24倍に達する製品もあり、473℃という高温加熱が燃焼由来化学物質の大量発生原因と考えられた。電子たばこの分析においても重要な知見が得られた。継続使用により電熱コイルの劣化・焦げ付きによって多環芳香族炭化水素類と一酸化炭素の発生量が著しく増加し、発がん性物質であるベンゾ[a]ピレンが最大で紙巻たばこに匹敵する発生量を示した。特に市販リキッドのフレーバー成分がこれらの有害物質発生量を大幅に増加させることが確認された。さらに、新型たばこ製品には香料アレルゲン(電子たばこリキッドから29種、加熱式たばこ専用スティックから15種)、イソシアネート、アンモニアなどの多様な有害化学物質が含まれており、これらは能動喫煙だけでなく受動喫煙の要因ともなり得ることが示された。パッシブサンプリング技術による環境調査では、喫煙者のいる家庭において有意に高いイソシアネート濃度が検出され、受動喫煙環境の定量評価における有効性が確認された。動物実験では、加熱式たばこ曝露によるニコチン吸収や病態への影響が確認され、遺伝毒性評価のためのecNGS手法も確立された。これらの結果から、加熱式たばこは燃焼由来の有害物質は削減するものの、たばこ葉由来の化学物質は254-343℃の加熱温度でも主流煙に移行することが明らかとなった。
結論
本研究の成果により、加熱式たばこを「安全な代替品」として位置づけることは適切ではなく、喫煙者には科学的根拠に基づく正確な情報提供が必要であることが示された。また、互換機や電子たばこの品質にばらつきが認められることから、エビデンスに基づくたばこ対策の実施に本研究成果を活用していくことが重要である。
公開日・更新日
公開日
2026-02-13
更新日
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