日本版栄養プロファイリングモデルの開発 

文献情報

文献番号
202408053A
報告書区分
総括
研究課題名
日本版栄養プロファイリングモデルの開発 
研究課題名(英字)
-
課題番号
23FA2001
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
瀧本 秀美(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 石見 佳子(東京農業大学 総合研究所)
  • 由田 克士(大阪公立大学大学院 生活科学研究科 食・健康科学講座)
  • 東泉 裕子(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所 食品保健機能研究部)
  • 竹林 純(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所 食品保健機能研究センター)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、日本の市販加工食品および料理に適用可能な日本版栄養プロファイリングモデル(Nutrient Profiling Model, 以下 NPM)を開発することを目的とした。諸外国ではNPMが食品の健康価の評価、表示、企業のESG投資指標として用いられており、日本においてもその導入が期待されている。特に、日本では複数の食品を組み合わせた「料理」が食事を構成していることから、料理単位での評価が可能なモデルの開発が必要とされた。また、食品事業者による活用促進のための解説ガイドおよびスコアリング支援ツールの整備、さらに実用化に向けた食品企業等との対話を通じた課題整理も目的とした。
加えて、24時間推定尿ナトリウム/カリウム比(Na/K比)が栄養プロファイリングモデルの適切性を評価する生体指標になり得るのか、また、アメリカのHealthy Eating Index(HEI)を用いて、日本人を対象とした実際の食事内容の評価を実施し、得られたスコアと摂取した食品群や日本人の食事摂取基準による評価の関連を検討した。
研究方法
加工食品版(NPM-PFJ 1.0)については、日本食品標準成分表に基づく668品目を対象とし、スコアリングアルゴリズムを用いた分析と他モデルとの比較を実施した。料理版(NPM-DJ 1.0)では、厚生労働省の「食事バランスガイド」に掲載された105料理を対象に標準レシピを設定し、料理単位での栄養価評価モデルを構築した。さらに、両モデルに対応した解説ガイドおよびExcelベースのVBAマクロによる計算支援ツールを開発した。また、食品・外食関連事業者への説明会とアンケート調査を通じて活用に向けた意見収集を行った。
加えて、尿中Na/K比やHealthy Eating Index-2020(HEI-2020)による食事の質評価を通じて、栄養プロファイリングモデルの裏付けとなり得る可能性があるのかを検証した。
結果と考察
加工食品版NPM-PFJ(1.0)は、HSR(Health Star Rating)との間に高い相関を示し、国際的な整合性が確認された。また、日本独自の6食品カテゴリーを用いたことで、従来モデルでは不利だった塩蔵食品などの評価も可能となり、食品事業者の工夫を反映しやすい構造となった。一方で一部カテゴリーでは依然として低評価傾向があり、カテゴリー分けの見直し等の調整が今後の課題とされた。料理版NPM-DJ(1.0)では、調味料や水分を含めた実態に即した料理単位での評価が可能となり、特に料理に含まれる調味料によるナトリウム、調味油などの適切な評価が可能となった。スコア分布の偏りは一部料理カテゴリーで見られたが、現行の料理レシピの限定性によるものであり、今後の拡充が求められる。また、食品企業との対話から、NPMの活用方法や他指標との整合性に関する実務的な課題が多数確認され、社会実装には柔軟な運用設計と継続的なフィードバック体制の構築が必要であると考察された。
尿Na/K比と食品摂取量の相関分析からは、果実、乳類、豆類など一部食品群との負の相関が認められたが、野菜摂取では有意な相関が得られず、今後の詳細な検討が求められた。HEI-2020を用いた評価では、食塩やカルシウムの摂取量の違いによる群間差が観察され、日本人の食事評価への応用可能性が示唆された。
結論
本研究により、加工食品および料理を対象とした日本版栄養プロファイリングモデル(NPM-PFJ 1.0およびNPM-DJ 1.0)が開発され、加工食品や料理について栄養価等に基づく評価が可能となった。これにより、健康的な食品開発や食選択支援への応用が期待される。ガイドおよびツールの整備は、食品事業者における導入・活用を支援する初期ステップとして意義があり、今後は食品事業者や消費者など多様な関係者との連携を通じた社会実装が求められる。
また、尿中Na/K比やHEIなどの指標との関連結果から、日本人の食事の質を一定レベルで把握することが可能であることが示唆されており、今後もこれらの指標を活用した評価の展開が期待される。

公開日・更新日

公開日
2025-12-08
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2025-12-08
更新日
-

文献情報

文献番号
202408053B
報告書区分
総合
研究課題名
日本版栄養プロファイリングモデルの開発 
研究課題名(英字)
-
課題番号
23FA2001
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
瀧本 秀美(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 石見 佳子(東京農業大学 総合研究所)
  • 由田 克士(大阪公立大学大学院 生活科学研究科 食・健康科学講座)
  • 竹林 純(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所 食品保健機能研究センター)
  • 東泉 裕子(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所 食品保健機能研究センター)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、日本における健康的な食品選択を支援し、食品事業者の製品改良を促進するため、市販加工食品および料理を対象とした日本版栄養プロファイリングモデル(Nutrient Profiling Model:NPM)を開発することを目的とした。特に、日本独自の食文化に根差した「料理単位」での評価を可能とする料理版NPMの開発は、国際的にも新しい取り組みである。加えて、生体指標である尿中ナトリウム/カリウム比(Na/K比)や、国際的な食事評価指標Healthy Eating Index-2020(HEI-2020)を活用し、モデルの有用性を多面的に評価することを目指した。
研究方法
令和5年度には、日本食品標準成分表と関連法令の調査に基づき、従来のカテゴリーモデルにおける栄養成分の評価閾値を再検討した。これを踏まえ、日本版加工食品用NPM(NPM-PFJ 1.0)および日本版料理用NPM(NPM-DJ 1.0)を構築し、評価アルゴリズムとスコアリング指標(エネルギー、飽和脂肪酸、糖類、ナトリウム、FVNL、たんぱく質、食物繊維)を設定した。NPM-PFJでは668品目を対象にクラスター分析を行い、6つの食品群に分類した。一方、NPM-DJでは食事バランスガイド掲載の105料理を管理栄養士の作成した標準レシピに基づいて分析し、1食単位でのスコアリングとレーティングを実施した。
令和6年度には、食品事業者向けにモデルの使用方法をまとめた解説ガイドと、自動スコア算出用のExcelベースのVBAマクロツールを開発した。また、事業者を対象としたアンケートと意見交換を行い、実務上の課題を整理した。
さらに、H県で実施された県民健康・栄養調査を活用し、食事調査と早朝尿によるNa/K比のデータを解析し、栄養摂取との関連を検証した。食事の質評価にはHEI-2020を用いて、日本人の食事内容を評価した。
結果と考察
NPM-PFJおよびNPM-DJの構築により、日本の加工食品および料理を対象に、実態に即した栄養評価が可能となった。NPM-PFJでは、日本食品標準成分表2020年版に基づき668品目の加工食品を対象に、熱量、飽和脂肪酸、糖類、ナトリウム、FVNL(野菜・果物・豆・ナッツ類)、たんぱく質、食物繊維の7項目を用いたスコアリングを行い、クラスター分析を通じて6つの食品群を分類した。これにより、従来の海外モデルでは不利とされていた塩蔵品や発酵食品についても、製品改善の余地を評価に反映できるアルゴリズムが構築された。ただし、一部の食品カテゴリーについては、全体的にレーティングが低い傾向を認めたことから、NPM-PFJ(1.0)を改良するためには、食品カテゴリー分けの見直しやカテゴリー数の変更を含めた検討が必要だと考えられた。
NPM-DJでは、料理カテゴリー(主食、副菜、主菜、複合料理、主食付き複合料理)ごとにスコア分布を分析し、総合スコアによるレーティングシステムを構築した。本モデルでは、実際の摂取量に基づいた料理単位で評価を行うことで、日本の食文化や調理特性を踏まえた現実的な栄養評価が可能となった。特に、醤油や味噌といった高ナトリウム食品でも、使用量に応じた適正な評価が行える点が強みである。今後、NPM-DJ(1.0)の有用性を高めるには、実際の食習慣を反映したレシピの充実が必要であると考えられた。
さらに、令和6年度にはモデルの普及を見据え、食品事業者向けに使用解説ガイドおよび自動スコア算出ツール(Excel VBA形式)を作成し、実務導入を支援する環境を整備した。食品企業からは、既存指標との整合性や製品群ごとの評価傾向に関する具体的な意見が多数寄せられ、今後のモデル改良の方向性に重要な示唆をもたらした。
尿中Na/K比との関連解析や、HEI-2020による補助的評価からは、NPMのスコアが食生活の望ましさを反映しうることが確認され、今後の活用と普及に向けた応用可能性が高いことが示された。
結論
本研究では、日本の食文化や実態に即した加工食品・料理用栄養プロファイリングモデル(NPM-PFJ 1.0、NPM-DJ 1.0)を開発し、食品ごとの栄養成分に基づく評価指標とスコアリング手法を構築した。特にNPM-DJは料理1食単位で評価でき、従来の評価では困難だった実際の摂取状況を反映する点が特徴である。令和6年度には、解説ガイドや計算支援ツールを整備し、食品事業者との意見交換やアンケートを通じて運用面での課題を把握した。
また、尿中Na/K比やHEI-2020との関連から、モデルによる食事の質評価の妥当性が示唆された。今後の社会実装に向け、食品事業者との対話やモデルの改良が求められることが示された。

公開日・更新日

公開日
2025-12-08
更新日
-

行政効果報告

文献番号
202408053C

収支報告書

文献番号
202408053Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
13,000,000円
(2)補助金確定額
11,881,000円
差引額 [(1)-(2)]
1,119,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 885,391円
人件費・謝金 3,260,496円
旅費 1,952,600円
その他 2,783,109円
間接経費 3,000,000円
合計 11,881,596円

備考

備考
当初、活用ガイドの整備に向けてPC関連の物品や紙媒体による作成を想定し、購入を計画していた。しかし、研究の進行に伴い、ガイドは電子媒体を中心に整備する方針に変更したため、機器購入や紙資材が購入不要となった。また、既存の設備で十分に対応可能であることも判明した。このため、執行額は交付申請時から大幅に減少したが、研究の遂行には支障なかった。
(自己資金:596円)

公開日・更新日

公開日
2025-10-01
更新日
-