「日本人の食事摂取基準」を活用した食事のガイドの作成に資する研究

文献情報

文献番号
202408042A
報告書区分
総括
研究課題名
「日本人の食事摂取基準」を活用した食事のガイドの作成に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24FA1012
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
片桐 諒子(千葉大学 大学院 情報学研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 山口 美輪(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所 国際栄養情報センター)
  • 朝倉 敬子(東邦大学医学部社会医学講座予防医療学分野)
  • 華井 明子(国立研究開発法人理化学研究所科技ハブ産連本部 (RCSTI))
  • 木下 かほり(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 研究所 老年学・社会科学研究センター フレイル研究部)
  • 松本 麻衣(医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所 栄養疫学・食育研究部)
  • 岡田 知佳(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所 栄養疫学・政策研究センター 栄養疫学研究室)
  • 早見 直美(大阪公立大学 生活科学研究科)
  • 杉本 南(東邦大学 医学部社会医学講座衛生学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
4,745,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
栄養素の基準である食事摂取基準をより実用的なものとし健康日本21の目標達成に資する食品ベースのガイドラインは日本においても作成が望まれる。諸外国や研究でどのような手法が用いられ、日本で行いうるか、また若年、高齢者などの対象特性ごとに食事摂取に関する要因を検討しガイドにおいて注意すべき点を検討することを目的とした。
研究方法
本研究班では大きく以下の4つの研究内容を実施した。1)諸外国の食事ガイドに関するレビューとして、食品を用いたガイドラインを作成するにあたって用いられうる科学的統計学的手法について研究論文をレビューすることと、諸外国で用いられているガイドラインの内容詳細を検討した。2)解析として、既存の日本人のモデルとなる食品摂取を検討している論文値を、国民健康・栄養調査においてどのくらいの割合の人がとりうるか、および既に検討されている包絡分析法の数値がどの程度「日本人の食事摂取基準」の栄養素を満たしているかの検討を行った。3)対象特性別のレビューとして中高生、若年女性、高齢者に関する要因レビューを実施した。4)これまでの日本における食事に関する行動変容モデルのレビューやヒアリングを実施した。
結果と考察
最適化法に関する文献レビューの結果、最も利用されたのは線形計画法78%(n=31)で、 包絡分析法を用いたのは13%(n=5)であった。制約条件に含めた栄養素数は、中央値27で、対象国内の食事摂取基準を参照した研究が最も多かった(47%, n=28)。諸外国のガイドラインのレビューの結果、適切な栄養摂取と現行の摂取量等を踏まえて、最適化法を含む数理的モデルにより定められていた。
包絡分析に関する追加解析で検討した食事摂取基準の遵守に関しては、観察された食品摂取パターンと比べて、食塩、総脂質、飽和脂肪酸を除く多くの栄養素で、推定平均必要量未満の者が少なく、目安量以上の者が多く、目標量を逸脱している者が少ない傾向が見られた。線形計画法、包絡分析法、食事の質スコアで示された食品摂取パターンには類似点が多くあった。線形計画法、包絡分析法で得られた栄養学的に望ましい食品摂取パターンは、各食品群でおおよそが国民健康・栄養調査の参加者が摂取している範囲内であったが、全粒穀物など一部の食品群では現在の日本人の摂取量は少なく、線形計画法、包絡分析法で得られたどちらの食品摂取パターンとも乖離が見られた。それぞれ解釈上の留意点があり、方法論の開発やさらなるエビデンスの構築が望まれる。
健康的な食事を促進あるいは阻害しうる因子について、小児、高齢者、若年女性についてレビューで検討した。小児(主に小学生・中学生の年代)について、行動の決定因子を列記した枠組みであるTheoretical domains framework (TDF) を用いて、小児に特異的な因子の整理を行い、特に食育、保護者の養育態度、友人関係の3因子を検討した。若年女性の献レビューでは、ボディイメージの歪みがBMIや実際の食行動・栄養摂取と乖離しており、ダイエット経験やメディアの影響と関連することが示された。高齢者レビューでは、口腔機能、教育歴、経済状況、フードセキュリティ等が要因として含まれた。実装に関するレビューにおいては、視覚的情報の構成要素として、色彩、背景色、栄養表示、機能性ラベル、キャッチコピー、パッケージデザインなどが確認され、表示の有無や内容によって食品選好や選択に変化が見られた。媒体に関するヒアリングでは、視覚的にわかりやすく、共感を得られる媒体の必要性、SNS等デジタル媒体の活用、高校等との連携の重要性が指摘された。
結論
これらの研究の結果から、食事ガイドに資する基礎資料となりうる方法のレビューの他、具体的な数値による方法の検討、特定の年代に関する食事における特徴的要因等が検討された。今後は得られた知見を統合し、科学的根拠と生活実態の両面を踏まえた日本独自の食事ガイド案の構築とその実装が期待される。

公開日・更新日

公開日
2025-10-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2025-10-01
更新日
-

収支報告書

文献番号
202408042Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
6,165,000円
(2)補助金確定額
6,165,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,524,957円
人件費・謝金 1,734,141円
旅費 70,970円
その他 414,932円
間接経費 1,420,000円
合計 6,165,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2025-08-26
更新日
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