文献情報
文献番号
202408021A
報告書区分
総括
研究課題名
食環境づくりの推進を通じた減塩の取組がもたらす公衆衛生学的効果及び医療経済学的効果を推定するための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23FA1012
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
池田 奈由(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所 栄養疫学・政策研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 西 信雄(聖路加国際大学 大学院公衆衛生学研究科)
- 三浦 克之(国立大学法人滋賀医科大学 NCD疫学研究センター)
- 湊 宣明(立命館大学 大学院テクノロジー・マネジメント研究科)
- 杉山 雄大(国立研究開発法人国立国際医療研究センター 研究所糖尿病情報センター)
- 樫野 いく子(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 産官学連携研究センター)
- 山口 美輪(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所 産官学連携研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
9,231,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
食塩の過剰摂取は、世界の生活習慣病の主な食事要因の一つである。日本人の食塩摂取量は長期的に減少しているが、未だ高い水準にある。この栄養問題への対応として、厚生労働省の「健康的で持続可能な食環境戦略イニシアチブ」では、食品関連事業者等が減塩目標を自主的に設定し、産学官で連携して推進する取組が行われている。本研究は、このような取組において科学的根拠を活用するための環境整備として、減塩の公衆衛生学的効果と医療経済学的効果をシミュレーションで推定し、事業者や自治体に具体的な方策を提供することを目的とした。
研究方法
本研究事業では二つの研究を実施する。
一つ目の研究では、海外の食品関連事業者の減塩の目標設定やそれを踏まえた取組、海外の事業者向け支援ガイドの先行事例について調査する。そして、これらの内容を踏まえて、日本の食品関連企業が自主的に減塩目標を設定できるよう支援するガイドを作成する。
二つ目の研究では、食環境づくりの推進を通じた減塩の取組が、国民や都道府県民の食塩摂取量、死亡率、障害調整生存年などに与える公衆衛生学的効果や医療経済学的効果を推定するためのシミュレーションモデルを構築する。減塩のための取組は、日本人の食事摂取基準の目標量やWHOの目標値などを参考にして、主な食品群につき数段階の量を設定でき、それぞれの量につき公衆衛生学的効果と医療経済学的効果を推定できるようにする。さらに、このシミュレーションモデルを都道府県の健康増進部局などが意思決定に活用できるようにするためのガイドを作成する。
3年計画の2年目である令和6年度は、昨年度の文献レビュー及び海外事例調査を踏まえ、食品関連事業者向けの製品減塩ガイド案を作成した。日本高血圧学会減塩・栄養委員会の研究分担者及び自治体管理栄養士である研究協力者からの意見を参考に、4社を対象とした意見調査を実施し、使用部門や実務上の有用性を把握した。さらに、昨年度に作成した全国版シミュレーションモデルを改良し、それを基に統計データを都道府県別に置き換えることで都道府県版モデルを作成した。
一つ目の研究では、海外の食品関連事業者の減塩の目標設定やそれを踏まえた取組、海外の事業者向け支援ガイドの先行事例について調査する。そして、これらの内容を踏まえて、日本の食品関連企業が自主的に減塩目標を設定できるよう支援するガイドを作成する。
二つ目の研究では、食環境づくりの推進を通じた減塩の取組が、国民や都道府県民の食塩摂取量、死亡率、障害調整生存年などに与える公衆衛生学的効果や医療経済学的効果を推定するためのシミュレーションモデルを構築する。減塩のための取組は、日本人の食事摂取基準の目標量やWHOの目標値などを参考にして、主な食品群につき数段階の量を設定でき、それぞれの量につき公衆衛生学的効果と医療経済学的効果を推定できるようにする。さらに、このシミュレーションモデルを都道府県の健康増進部局などが意思決定に活用できるようにするためのガイドを作成する。
3年計画の2年目である令和6年度は、昨年度の文献レビュー及び海外事例調査を踏まえ、食品関連事業者向けの製品減塩ガイド案を作成した。日本高血圧学会減塩・栄養委員会の研究分担者及び自治体管理栄養士である研究協力者からの意見を参考に、4社を対象とした意見調査を実施し、使用部門や実務上の有用性を把握した。さらに、昨年度に作成した全国版シミュレーションモデルを改良し、それを基に統計データを都道府県別に置き換えることで都道府県版モデルを作成した。
結果と考察
令和6年度の主な成果は以下のとおりである。
①食品関連事業者向けの製品減塩ガイド案では、自主的な減塩の意義、目標値設定手法、組織体制の整備、行政・学術機関との連携の考え方を整理し、国内3社の事例を資料編に掲載した。4社の意見調査では、製品企画部門での活用が多く、第1章の製品改良の効果や資料編の国内事例が参考になったとの意見があった。全国展開企業からは社会的意義の可視化、地方企業からは海外事例の規模感に対する懸念が示され、今後の内容強化の方向性が明らかとなった。
②食塩摂取の疫学的動向、減塩施策の進展、関連する先行研究の成果を整理し、日本における減塩施策の健康及び経済的影響を評価するための基礎資料を作成した。日本では、減塩と循環器疾患予防を目的とした多角的取組が推進されてきたものの、食塩摂取量は依然として高水準にある。今後は、関係機関の連携と費用対効果に基づく科学的根拠の活用が求められる。自主的目標設定と政策的アプローチを組み合わせた減塩戦略は、健康改善と社会保障費の適正化を通じて、持続可能な社会の構築に資すると考えられる。
③昨年度に作成した全国版シミュレーションモデルを改良し、40歳以上日本人を対象とする最終版モデルを完成した。3つの介入シナリオ(食品成分改質[義務的・自主的]、減塩食の普及促進)について、循環器疾患と慢性腎臓病の障害調整生存年、社会保障費への影響を推計した。その結果、食品成分改質による介入が減塩食普及促進による介入よりも大きな効果を示した。
④都道府県版シミュレーションモデルによる東京都における試行的な分析では、食品成分改質や減塩食普及促進の介入シナリオにおいて、高血圧・循環器疾患の有病者数と医療費・介護費が基本シナリオと比較して低く推移する可能性が示された。今後は、他の道府県にもモデルを展開し、減塩施策の立案に活用できるインタフェースの開発・公開を進める予定である。
①食品関連事業者向けの製品減塩ガイド案では、自主的な減塩の意義、目標値設定手法、組織体制の整備、行政・学術機関との連携の考え方を整理し、国内3社の事例を資料編に掲載した。4社の意見調査では、製品企画部門での活用が多く、第1章の製品改良の効果や資料編の国内事例が参考になったとの意見があった。全国展開企業からは社会的意義の可視化、地方企業からは海外事例の規模感に対する懸念が示され、今後の内容強化の方向性が明らかとなった。
②食塩摂取の疫学的動向、減塩施策の進展、関連する先行研究の成果を整理し、日本における減塩施策の健康及び経済的影響を評価するための基礎資料を作成した。日本では、減塩と循環器疾患予防を目的とした多角的取組が推進されてきたものの、食塩摂取量は依然として高水準にある。今後は、関係機関の連携と費用対効果に基づく科学的根拠の活用が求められる。自主的目標設定と政策的アプローチを組み合わせた減塩戦略は、健康改善と社会保障費の適正化を通じて、持続可能な社会の構築に資すると考えられる。
③昨年度に作成した全国版シミュレーションモデルを改良し、40歳以上日本人を対象とする最終版モデルを完成した。3つの介入シナリオ(食品成分改質[義務的・自主的]、減塩食の普及促進)について、循環器疾患と慢性腎臓病の障害調整生存年、社会保障費への影響を推計した。その結果、食品成分改質による介入が減塩食普及促進による介入よりも大きな効果を示した。
④都道府県版シミュレーションモデルによる東京都における試行的な分析では、食品成分改質や減塩食普及促進の介入シナリオにおいて、高血圧・循環器疾患の有病者数と医療費・介護費が基本シナリオと比較して低く推移する可能性が示された。今後は、他の道府県にもモデルを展開し、減塩施策の立案に活用できるインタフェースの開発・公開を進める予定である。
結論
本年度の研究成果として作成した事業者向け支援ガイド案及び都道府県版シミュレーションモデルは、食品関連事業者による減塩目標の自主的設定や、自治体による科学的根拠に基づく施策の立案・実施を支援するための基盤となるものであり、令和7年度はこれらの実用性を高めるための改良と展開を進めていく。
公開日・更新日
公開日
2025-10-01
更新日
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