放射線療法の提供体制構築に資する研究

文献情報

文献番号
202407019A
報告書区分
総括
研究課題名
放射線療法の提供体制構築に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23EA1012
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
大西 洋(国立大学法人 山梨大学 大学院総合研究部医学域放射線医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 大野 達也(群馬大学)
  • 溝脇 尚志(京都大学 大学院医学研究科)
  • 高橋 健夫(埼玉医科大学 医学部)
  • 中村 和正(浜松医科大学 医学部)
  • 内田 伸恵(東京都済生会中央病院 放射線治療科)
  • 生島 仁史(徳島大学 医歯薬学研究部)
  • 東 達也(国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構 量子医学・医療部門  放射線医学総合研究所 分子イメージング診断治療研究部)
  • 絹谷 清剛(金沢大学 医薬保健研究域医学系)
  • 細野 眞(近畿大学 医学部)
  • 霜村 康平(京都医療科学大学 医療科学部 放射線技術学科)
  • 岡本 裕之(国立がん研究センター中央病院  放射線品質管理室)
  • 荒尾 晴惠(大阪大学大学院医学系研究科)
  • 草間 朋子(大分県立看護科学大学)
  • 谷 謙甫(ユーロメディテック株式会社 医学物理室)
  • 井垣 浩(国立研究開発法人 国立がん研究センター中央病院 放射線治療科)
  • 篠原 亮次(山梨大学大学院 総合研究部附属 出生コホート研究センター)
  • 黒岡 将彦(東京医科大学病院 放射線治療品質管理室)
  • 太田 誠一(京都府立医科大学 医学部附属病院)
  • 神宮 啓一(東北大学 大学院医学系研究科放射線腫瘍学分野)
  • 小宮山 貴史(山梨大学 放射線医学講座)
  • 齋藤 正英(山梨大学 医学部放射線医学講座)
  • 遠山 尚紀(駒澤大学 医療健康科学部診療放射線技術科学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
7,950,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、放射線療法の医療提供体制の現状を把握、評価した上で、核医学治療、強度変調放射線治療(IMRT)、粒子線治療、密封小線源治療、ホウ素中性子捕捉療法などの高度な放射線療法と立ち遅れがちな緩和的放射線治療に関する適切な提供体制の構築とそのために必要な人材育成、遠隔放射線治療計画技術や人工知能などの有効活用法などについて検討する。次回のがん診療連携拠点病院等の整備指針改定に向けた、適切な放射線治療施設と放射線療法に係る人材の配置に関する提言と、あるべき体制が持続的に維持されるような診療報酬のあり方の提案、および高度な放射線治療における患者数や受療状況、待機状況、人材などの現状評価を踏まえた適切な集約化と連携の具体的な施策を提示する。
研究方法
令和3年以降、日本放射線腫瘍学会が中心となり、各治療法を推進する各学会や日本診療放射線技師会、日本医学物理士会、日本看護協会、関連企業団体、および患者会により研究グループを構成し、各照射技術別の患者数、受療状況、待機状況、対応している人材等の現状を把握し、集約化と均霑化を実現するための適切な連携体制や機器配置、人材育成、安全管理などについて調査をおこなった。
令和6年度は、次期のがん診療連携拠点病院整備指針で想定される改訂内容を実現するための体制と、それを持続的に継続可能にするための関連した医療技術の診療報酬や施設要件を具体的に検討した。
結果と考察
結果:多岐にわたる研究項目があるため、個別の結果は分担研究者・研究協力者の報告書を参照されたいが、令和6年度に特に注目するべき進捗が得られたのは以下のような内容である。
① IMRTの提供体制に関するものであり、現行のがん診療連携拠点病院整備指針において、「実施できることが望ましい」とされていることから、次期の整備指針では「必須」とされる可能性があり、それを実現するために診療報酬上の施設要件において、医師1名でも実施可能にするための仕組みを新たに組み込むために、新しい体制のありかたを関連する8団体で検討した。
② ①に関連して、常勤放射線治療医が1名の施設では、遠隔放射線治療計画技術を用いて、IMRTの
③ 核医学分野では、次期がん診療連携拠点病院整備指針において、核医学治療の提供が必須となっても問題ないかについて議論され、施設の準備態勢には大きな問題ないが、治療にあたるマンパワーに課題が残っていることが議論された。
④ 密封小線源治療については、十分な技術をもって実施できる施設が限られているので、連携と技術の教育体制について、対応が議論された。
⑤ その他、緩和的放射線治療やBNCT提供体制、放射線治療の専門的な知識をもった看護師のかかわり方、放射線治療の質の向上と均てん化を目指した教育体制のあり方について議論された。
 これらの結果の一部(放射線治療施設の機器やスタッフの現状とコストなどについては、令和8年診療報酬改定に向けた医療技術評価提案書の基礎資料として活用された。

考察:日本では、IMRTなどの高精度照射法の提供割合が低いが、その主な理由として、IMRTのような高度な放射線治療が施設要件による規制のために普及が阻まれている提供側の問題点も挙げられている。これを改善するためには、短期的には放射線治療医不足を補うための放射線治療計画支援者によるタスクシェアシステムの新規構築と、施設間の指導や安全と質の担保のための遠隔放射線治療計画システムの普及が効果的と考え、令和6年度においては、具体的な仕組みの提案と、そのための実証実験やアンケート調査が行われた。IMRTの提供体制については、放射線治療常勤医師1名の施設で実施提案に向けた体制作りの中で、医師・放射線技師・医学物理士らのタスクシェアやタスクシフトのあり方や、すでに放射線治照射技術についての品質管理・治療計画補助についての資格制度の整理について、これまでそれぞれの立場の違いから議論が進んでこなかった関連団体が同じ土俵で議論することが出来ているのは、本厚労科研の最大の成果とも言えると考える。また、核医学治療、粒子線治療、密封小線源治療などの高度な放射線治療や理解と応用の進んでいない緩和的放射線治療、専門的知識をもった看護師の関り方、などのより適切な普及を実現するための体制作りについても、具体的なプランが構築されつつある。
結論
高齢化と医療財政のひっ迫が課題になっている日本におけるがん診療を支えるために、低侵襲で費用対効果が高い放射線治療の適切な普及とその提供体制構築は非常に重要であり、これまで本研究班で4年間かけて検討してきた課題についての具体的な解決策の模索を進めた。今後も、放射線治療に関連した諸団体が目標を共有しながら将来的な体制作りを求め、質の高い放射線治療を持続的に提供し続ける仕組みについて、さらに議論を進めていきたい。

公開日・更新日

公開日
2026-05-07
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2026-05-07
更新日
-

収支報告書

文献番号
202407019Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,865,000円
(2)補助金確定額
8,865,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,902,765円
人件費・謝金 159,045円
旅費 1,435,946円
その他 2,452,443円
間接経費 915,000円
合計 8,865,199円

備考

備考
預金利息199円を執行したため

公開日・更新日

公開日
2026-05-26
更新日
-