文献情報
文献番号
202406016A
報告書区分
総括
研究課題名
電動工具を用いた石綿等の切断作業等における粉じん発散抑制措置の効果の実証研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24CA2016
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
古賀 純子(井戸川 純子)(芝浦工業大学(建築学部建築学科))
研究分担者(所属機関)
- 鷹屋 光俊(独立行政法人労働安全衛生総合研究所環境計測管理研究グループ)
- 山田 丸(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 環境計測管理研究グループ)
- 緒方 裕子(独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所 化学物質情報管理研究センターばく露評価研究部)
- 齊藤 宏之(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 環境計測研究グループ)
- 萩原 正義(独立行政法人 労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 化学物質情報管理研究センター ばく露評価研究部)
- 金子 剛大(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 化学物質情報管理研究センター ばく露評価研究部)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
8,823,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
既往の検討において電動工具で切断等を行う際の石綿等粉じん濃度を測定した結果、除じん性能を有する電動工具と比較して非常に高い発じんが見られるケースがあった。湿潤化状態での切断等については、従来より石綿則において発散低減効果があると取扱われていることから、電動工具を使用して切断等の作業を行う際の、湿潤化による石綿粉じんの発散抑制効果の有効性の確認、有効な湿潤化の方法の見極めのため、早急に検証を行うことが必要である。このため、本研究では石綿含有建材の湿潤化時の電動工具を用いた切断、切削等の作業を実施時における粉じん発生状況を囲い等で隔離密閉した閉鎖空間内での改修・解体実験により確認検証する。対象とする石綿含有建材は、切断・切削等の状況が想定される建材のうち、石綿含有スレート板、石綿含有けい酸カルシウム板第1種等(切断等を行った際の発じん量が比較的多い石綿含有建材、別添補足資料参照)、石綿含有仕上塗材とする。
研究方法
1)石綿含有建材の除去・切断実験
石綿含有仕上塗材の除去、石綿含有スレート板、石綿含有けい酸カルシウム板第一種の切断を水または飛散抑制剤の事前散布の有無、集じん機の有無・集じん容量、電動工具の回転数を変えた各条件下でチャンバー内にて実施し、気中粒子の捕集およびリアルタイム測定を行った。
2)ボード状建材(石綿非含有)の切断実験
石綿非含有のスレート板、けい酸カルシウム板第一種の切断を水の事前散布の有無、集じん機の有無・集じん容量、電動工具の回転数を変えた各条件下でチャンバー内にて実施し、気中粒子の捕集およびリアルタイム測定を行った。
石綿含有仕上塗材の除去、石綿含有スレート板、石綿含有けい酸カルシウム板第一種の切断を水または飛散抑制剤の事前散布の有無、集じん機の有無・集じん容量、電動工具の回転数を変えた各条件下でチャンバー内にて実施し、気中粒子の捕集およびリアルタイム測定を行った。
2)ボード状建材(石綿非含有)の切断実験
石綿非含有のスレート板、けい酸カルシウム板第一種の切断を水の事前散布の有無、集じん機の有無・集じん容量、電動工具の回転数を変えた各条件下でチャンバー内にて実施し、気中粒子の捕集およびリアルタイム測定を行った。
結果と考察
1)石綿含有建材の除去・切断実験
石綿含有仕上塗材については集じん機を併用した場合には空気中の粉じん飛散が見られず、作業者の呼吸域でも総粉じん量は小さく、また石綿(クリソタイル)繊維の検出もなかったことから、集じん機を併用した電動工具を適切に使用すれば粉じんの発生を防止できることを確認した。
石綿含有スレート板切断時には集じん機付き電動工具による切断時に石綿粉じんの飛散は確認されず、その有効性が確認された。その一方、作業前の水等の表面散布を行っても、集じん機を使用しない電動工具の切断では石綿粉じんの飛散が確認された。作業前の事前散布では切断時の湿潤状態は確保されないため、粉じんの抑制への有効性は確認できなかった。既往の検討では集じん機付き工具を使用した切断時に石綿粉じん飛散が確認されたことから、作業内容、建材の種類、厚さ等を考慮し、適切な機器の選定を行うことが粉じん飛散抑制において重要である。
けい酸カルシウム板第一種切断時には、集じん機付き電動工具による切断時に石綿粉じんの飛散が確認された。作業前の水等の表面散布を行った場合にも石綿粉じんの飛散が確認された。その一方、電動工具の駆動速度を低下させた場合には集じん機付き電動工具による切断時に石綿粉じんの飛散は確認されなかった。粉じん発生の抑制が可能な電動工具の使用および適切な集じんにより石綿粉じんの飛散抑制が可能である。
建材等の電動工具を用いた切断等実施時の粉じん飛散は建材の条件(建材種類、厚さ、密度、塗装の有無等)および電動工具の条件(工具、駆動速度、工具の刃)、集じん機の集じん容量等により異なるため、引き続き各条件下の石綿粉じん発生に関するデータを収集し、石綿含有建材の切断等実施時の適切な手法の選定に資する技術資料を蓄積する必要がある。
2)ボード状建材(石綿非含有)の切断実験
スレート板、けい酸カルシウム板第一種の切断実施時の粉じん測定の結果、いずれの切断条件においてもけい酸カルシウム板第一種がスレート板より発じん量が多く、既往の文献等で指摘されている通りの結果であった。また、集じん機の使用により粉じん濃度が顕著に低減すること、工具の種類により発じん量が大きく異なる可能性が示唆された。また、1)の実験で粉じんの抑制に効果がみられた工具の駆動速度の低下により粉じん濃度が低下する傾向が確認された。ただし、すべての条件下で濃度が低下するとは限らないことも明らかとなった。
石綿含有建材切断等実施時の発生粉じんとの比較により石綿含有建材の切断等実施時の発じん特性の把握に寄与することが期待される。
石綿含有仕上塗材については集じん機を併用した場合には空気中の粉じん飛散が見られず、作業者の呼吸域でも総粉じん量は小さく、また石綿(クリソタイル)繊維の検出もなかったことから、集じん機を併用した電動工具を適切に使用すれば粉じんの発生を防止できることを確認した。
石綿含有スレート板切断時には集じん機付き電動工具による切断時に石綿粉じんの飛散は確認されず、その有効性が確認された。その一方、作業前の水等の表面散布を行っても、集じん機を使用しない電動工具の切断では石綿粉じんの飛散が確認された。作業前の事前散布では切断時の湿潤状態は確保されないため、粉じんの抑制への有効性は確認できなかった。既往の検討では集じん機付き工具を使用した切断時に石綿粉じん飛散が確認されたことから、作業内容、建材の種類、厚さ等を考慮し、適切な機器の選定を行うことが粉じん飛散抑制において重要である。
けい酸カルシウム板第一種切断時には、集じん機付き電動工具による切断時に石綿粉じんの飛散が確認された。作業前の水等の表面散布を行った場合にも石綿粉じんの飛散が確認された。その一方、電動工具の駆動速度を低下させた場合には集じん機付き電動工具による切断時に石綿粉じんの飛散は確認されなかった。粉じん発生の抑制が可能な電動工具の使用および適切な集じんにより石綿粉じんの飛散抑制が可能である。
建材等の電動工具を用いた切断等実施時の粉じん飛散は建材の条件(建材種類、厚さ、密度、塗装の有無等)および電動工具の条件(工具、駆動速度、工具の刃)、集じん機の集じん容量等により異なるため、引き続き各条件下の石綿粉じん発生に関するデータを収集し、石綿含有建材の切断等実施時の適切な手法の選定に資する技術資料を蓄積する必要がある。
2)ボード状建材(石綿非含有)の切断実験
スレート板、けい酸カルシウム板第一種の切断実施時の粉じん測定の結果、いずれの切断条件においてもけい酸カルシウム板第一種がスレート板より発じん量が多く、既往の文献等で指摘されている通りの結果であった。また、集じん機の使用により粉じん濃度が顕著に低減すること、工具の種類により発じん量が大きく異なる可能性が示唆された。また、1)の実験で粉じんの抑制に効果がみられた工具の駆動速度の低下により粉じん濃度が低下する傾向が確認された。ただし、すべての条件下で濃度が低下するとは限らないことも明らかとなった。
石綿含有建材切断等実施時の発生粉じんとの比較により石綿含有建材の切断等実施時の発じん特性の把握に寄与することが期待される。
結論
建材等の電動工具を用いた切断等実施時の粉じん飛散は建材の条件(建材種類、厚さ、密度、塗装の有無等)および電動工具の条件(工具、駆動速度、工具の刃)、集じん機の集じん容量等により異なるため、引き続き各条件下の石綿粉じん発生に関するデータを収集し、石綿含有建材の切断等実施時の適切な手法の選定に資する技術資料を蓄積する必要がある。石綿含有建材切断等実施時の発生粉じんとの比較により石綿含有建材の切断等実施時の発じん特性の把握に寄与することが期待される。
公開日・更新日
公開日
2025-08-08
更新日
2026-01-15