文献情報
文献番号
202405006A
報告書区分
総括
研究課題名
グローバルヘルス分野の国際機関におけるキャリア形成と幹部人材育成ならびにガバナンス会議における効果的かつ戦略的関与に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23BA2001
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
磯 博康(国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 国際医療協力局グローバルヘルス政策研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 齋藤 英子(国立国際医療研究センター)
- 地引 英理子(国立国際医療研究センター グローバルヘルス人材戦略センター)
- 小野崎 耕平(聖路加国際大学公衆衛生大学院)
- 細澤 麻里子(国立国際医療研究センター 国際医療協力局 グローバルヘルス政策研究センター)
- 若林 真美(国立国際医療研究センター グローバルヘルス政策研究センター)
- 坂元 晴香(聖路加国際大学公衆衛生大学院)
- 勝間 靖(早稲田大学 国際学術院 大学院アジア太平洋研究科)
- 梅田 珠実(国立国際医療研究センター 国際医療協力局グローバルヘルス政策研究センター)
- 中谷 比呂樹(慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュートAPRU高齢化研究ハブ)
- 鈴木 大地(国立国際医療研究センター 国際医療協力局グローバルヘルス政策研究センター )
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題解決推進のための行政施策に関する研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
6,154,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では、保健関連国際機関の採用プロセスや内部昇進における課題やニーズ、国際機関でのキャリア開発に必要なスキルやリーダーシップ能力、今後の実施が期待されるキャリア研修内容等について体系化し、国際機関幹部育成のためのメンタリングの手法やその能力獲得のためのプログラムを開発すること、また国際保健が直面する新たなテーマを取り入れた研修プログラムを開発するとともに、世界保健総会等において、様々な立場を代表するステークホルダーの意見を議長として集約し、合意形成をリードしていくためのプログラムを開発することを目的とした。
研究方法
1)グローバルヘルス分野の主要国際機関幹部での実務経験を持つ国内外の人材と知見の調査、過去の選出プロセスや今後の活躍機会の分析
保健関連国際機関に勤務する邦人の中堅・幹部職員(国連のグレードP4~D)約15人に対して半構造化インタビュー調査を行うこととし、10人に対してインタビュー調査を実施した。
2)持続的なキャリア開発と幹部人材輩出のための人材育成プログラムの開発
ヒアリングやインターネットサーチ等を含む資料調査および分担研究1によるインタビュー調査の結果も踏まえ、メンタリングプログラムの対象者、期間、実施形態等の概要に加え、具体的なプログラムの基本構成および教材作成を開始した。
3)国際ガバナンス会議での効果的・戦略的介入を行うための人材育成プログラムの開発
世界保健総会をはじめとするグローバルヘルスにおける主要国際会議にて、国際保健分野の課題における議論に戦略的に介入し、日本の立場を効果的に主張できる人材を育成するため、グローバルヘルス外交に特化したワークショップの開催、世界保健総会等において様々な立場を代表するステークホルダーの意見を議長として集約し、合意形成をリードしていくための幹部人材育成のプログラム開発に向けて、国際会議における議長経験者からの聞き取り調査、今後の国際保健外交人材育成の在り方について、外部より講師を招聘し意見交換会およびセミナーを開催した。
保健関連国際機関に勤務する邦人の中堅・幹部職員(国連のグレードP4~D)約15人に対して半構造化インタビュー調査を行うこととし、10人に対してインタビュー調査を実施した。
2)持続的なキャリア開発と幹部人材輩出のための人材育成プログラムの開発
ヒアリングやインターネットサーチ等を含む資料調査および分担研究1によるインタビュー調査の結果も踏まえ、メンタリングプログラムの対象者、期間、実施形態等の概要に加え、具体的なプログラムの基本構成および教材作成を開始した。
3)国際ガバナンス会議での効果的・戦略的介入を行うための人材育成プログラムの開発
世界保健総会をはじめとするグローバルヘルスにおける主要国際会議にて、国際保健分野の課題における議論に戦略的に介入し、日本の立場を効果的に主張できる人材を育成するため、グローバルヘルス外交に特化したワークショップの開催、世界保健総会等において様々な立場を代表するステークホルダーの意見を議長として集約し、合意形成をリードしていくための幹部人材育成のプログラム開発に向けて、国際会議における議長経験者からの聞き取り調査、今後の国際保健外交人材育成の在り方について、外部より講師を招聘し意見交換会およびセミナーを開催した。
結果と考察
各研究項目についての結果の概要を示す。
1)令和6年5月から令和6年11月にかけて10人の国際機関中堅・幹部職員に対するインタビューからの分析を行い、保健関連国際機関幹部職員に必要な能力・要素について抽出した。
2)ヒアリングやインターネットサーチ等を含む資料調査および分担研究1によるインタビュー調査の結果も踏まえ、メンタリングプログラムの対象者、期間、実施形態等の概要に加え、具体的なプログラムの基本構成および教材作成を開始した。
メンタリングプログラムの基本構成として、7つの構成要素が整理された。
3)令和6年11月30日~12月1日の二日間にわたり、講義と演習を交えたワークショップを開催した。また、世界保健総会への参加のみならず、国際会議における議長経験者への聞き取りを実施し、議長に求められる資質やスキルを抽出した。さらに今後の国際保健外交人材育成に関しては、Global Health Diplomacy Institution Networkの主催者である、スウェーデン国立カロリンスカ大学、アンダース元スウェーデングローバルヘルス大使を招聘して国際保健外交人材の育成に関する意見交換を行うと同時に、外部からの参加者を募ったセミナーを開催した。
考察
1)インタビュー調査からは、保健関連の国際機関でキャリア形成にあたり必要な能力・スキルとして、マネジメント・リーダシップ能力、資金調達とコミュニケーション能力等が同定された。また、国際機関におけるキャリアパスに関する情報やメンタリングの重要性も指摘された。
2)経験者・当事者からの意見や国際機関特有のキャリア事情も踏まえ、国際機関幹部人材育成のためのメンタリングプログラムの開発に取り組んでおり、今後邦人国際機関職員キャリア開発の一助となることが期待される。
3)複雑化する国際保健情勢を反映した議題を演習テーマにし、さらに交渉経験者による講義や修文作業に関する講演を充実させることで、より実践的なワークショップとすることができた。令和7年度には、過去5年間の本ワークショップの参加者に対するフォローアップ調査を実施し、効果評価を行っていく。本ワークショップで取り扱う内容は、外交における保健課題の重要性が高まる中で、今後は外交官との連携も深めていく予定である。
1)令和6年5月から令和6年11月にかけて10人の国際機関中堅・幹部職員に対するインタビューからの分析を行い、保健関連国際機関幹部職員に必要な能力・要素について抽出した。
2)ヒアリングやインターネットサーチ等を含む資料調査および分担研究1によるインタビュー調査の結果も踏まえ、メンタリングプログラムの対象者、期間、実施形態等の概要に加え、具体的なプログラムの基本構成および教材作成を開始した。
メンタリングプログラムの基本構成として、7つの構成要素が整理された。
3)令和6年11月30日~12月1日の二日間にわたり、講義と演習を交えたワークショップを開催した。また、世界保健総会への参加のみならず、国際会議における議長経験者への聞き取りを実施し、議長に求められる資質やスキルを抽出した。さらに今後の国際保健外交人材育成に関しては、Global Health Diplomacy Institution Networkの主催者である、スウェーデン国立カロリンスカ大学、アンダース元スウェーデングローバルヘルス大使を招聘して国際保健外交人材の育成に関する意見交換を行うと同時に、外部からの参加者を募ったセミナーを開催した。
考察
1)インタビュー調査からは、保健関連の国際機関でキャリア形成にあたり必要な能力・スキルとして、マネジメント・リーダシップ能力、資金調達とコミュニケーション能力等が同定された。また、国際機関におけるキャリアパスに関する情報やメンタリングの重要性も指摘された。
2)経験者・当事者からの意見や国際機関特有のキャリア事情も踏まえ、国際機関幹部人材育成のためのメンタリングプログラムの開発に取り組んでおり、今後邦人国際機関職員キャリア開発の一助となることが期待される。
3)複雑化する国際保健情勢を反映した議題を演習テーマにし、さらに交渉経験者による講義や修文作業に関する講演を充実させることで、より実践的なワークショップとすることができた。令和7年度には、過去5年間の本ワークショップの参加者に対するフォローアップ調査を実施し、効果評価を行っていく。本ワークショップで取り扱う内容は、外交における保健課題の重要性が高まる中で、今後は外交官との連携も深めていく予定である。
結論
今年度実施した議長経験者への聞き取り調査からは、国際ガバナンス会議における議長や事務局に求められる資質やスキルが抽出された。令和7年度はインタビュー対象者を増やし、国際ガバナンス会議における議長や事務局として、国益と国際益の調和を諮りながら合意形成をリードしてゆける人材の育成に資するプログラムの開発を行っていく計画である。
公開日・更新日
公開日
2025-08-13
更新日
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