在宅医療への遠隔医療実用実施手順の策定

文献情報

文献番号
200937042A
報告書区分
総括
研究課題名
在宅医療への遠隔医療実用実施手順の策定
課題番号
H20-医療・一般-034
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
酒巻 哲夫(群馬大学医学部附属病院 医療情報部)
研究分担者(所属機関)
  • 原 量宏(香川大学瀬戸内圏研究センター)
  • 吉田 晃敏(旭川医科大学)
  • 辻 正次(兵庫県立大学)
  • 東福寺 幾夫(高崎健康福祉大学)
  • 岡田 宏基(岡山大学医学部・歯学部附属病院)
  • 森田 浩之(岐阜大学大学院)
  • 本間 聡起(慶應義塾大学)
  • 長谷川高志(国際医療福祉大学)
  • 高林克日己(千葉大学医学部附属病院)
  • 柏木賢治(山梨大学)
  • 太田隆正(太田病院)
  • 亀井智子(聖路加看護大学)
  • 郡隆之(利根中央病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
遠隔診療の在宅医療への実施手法、すなわち適用可能な診療行為とその詳細、観察項目、手順、限界などを広範な疾患・病態別に具体的にまとめ、診療各場面における諸課題を明らかにした実用実施手順を作る。
研究方法
下記の試行を行い、主任研究者が総合的解析した。
1 携帯電話を活用した生活に密着した外来診療支援
2 ビデオ会議システムの臨床現場に即した活用
3 在宅医療に即したテレビ電話診察手法
4 TV電話と生体データ
5 在宅透析患者
6 COPD患者
7 周産期妊婦管理
8 在宅患者とEHR,PHRの活用
9 在宅医療、地域医療連携と遠隔医療
10 電子メールによる健康指導
結果と考察
9箇所の実践報告(旭川市、朝日町、東京都、松戸市、東金市、甲府市、岐阜市、岡山市、新見市)を得た。大別すると在宅患者の支援と地域医療機関でのデータ共有に分けられる。
1 在宅患者支援
在宅患者の支援としてTV電話と生体データ管理の組み合わせ(2例)、TV電話のみ(4例)より患者の表情、訴え、動き、身体所見、生体データ、装置の稼働状況などを医師が診療に生かすために、TV電話と生体データ管理が必須のものであることを明らかにした。

2 医療機関相互での情報共有
地域医療機関相互での生体データ等の共有および管理により、医療の質を上げる取り組み(3例)より、特定疾病に関するデータベースを活用した患者管理、地域医療機関での情報共有による診療の質の向上、医療者間でのTV電話会議を加えることの有効性などを明らかにした。

3 対象疾患
腎不全(在宅腹膜透析療法)、COPD(在宅酸素療法)、糖尿病、高血圧、慢性関節リウマチ、自己免疫性肝炎、精神神経系障害(うつ病、摂食障害、強迫性障害など)、血友病、てんかん、大脳変性症、脳梗塞後遺症、脳出血後遺症、肝硬変、心不全、変形性脊椎症、慢性呼吸不全、深部静脈血栓症術後などの取り組み事例があった。

4 患者の評価
統一した評価票を用いて24名の患者から受けた評価は、人数が少なく、基礎疾患も様々だが、対面診療と同等の評価を得た。

5 経済的評価     
レセプト分析より遠隔健康管理が生活習慣病患者の診療日数を減少させ、医療費の軽減に効果がある事例を得た。
結論
遠隔医療は実験的とはいえ、医療として評価可能な状態にあることが示された。対象患者は慢性期にある幅広い疾患で、比較的安定した病状の診療に有用である。

公開日・更新日

公開日
2010-05-28
更新日
-

文献情報

文献番号
200937042B
報告書区分
総合
研究課題名
在宅医療への遠隔医療実用実施手順の策定
課題番号
H20-医療・一般-034
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
酒巻 哲夫(群馬大学医学部附属病院 医療情報部)
研究分担者(所属機関)
  • 原量宏(香川大学瀬戸内圏研究センター)
  • 吉田晃敏(旭川医科大学)
  • 辻 正次(兵庫県立大学)
  • 東福寺幾夫(高崎健康福祉大学)
  • 岡田宏基(岡山大学医学部・歯学部付属病院)
  • 森田浩之(岐阜大学大学院)
  • 本間聡起(慶應義塾大学)
  • 長谷川高志(国際医療福祉大学)
  • 高林克日己(千葉大学医学部附属病院)
  • 柏木賢治(柏木賢治)
  • 太田隆正(太田病院)
  • 亀井智子(聖路加看護大学)
  • 郡隆之(利根中央病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
遠隔診療の在宅医療への実施手法、すなわち適用可能な診療行為とその詳細、観察項目、手順、限界などを広範な疾患・病態別に具体的にまとめ、診療各場面における諸課題を明らかにした実用実施手順を作る。
研究方法
初年度は在宅患者に適用する場合の評価方式を考案した。第二年度は、評価方式を用いて、各研究者による各フィールドでの試行を深めて、主任研究者が総合的解析した。
研究対象は、周産期在宅管理、遠隔眼科医療、僻地医療、地域医療、在宅医療、地域保健管理、眼科(地域医療)、内科(地域医療)、在宅看護(テレナーシング)、経済評価、医療管理など多岐にわたった。
遠隔医療評価方式を主任研究者を中心とした作業グループにより、在宅医療などの事前アセスメントを参考にして、遠隔医療実施時の患者評価シートとして作成した。
個別研究成果はH21年度総括報告書に示す
結果と考察
(1)遠隔医療評価シート
評価シートを作成して、本班の複数研究者により、実際に利用した。
(2)遠隔医療の個別研究
総括報告および分担研究報告に示す。
(3)総合分析(実施局面の評価)
詳細はH21年度包括報告に示す通り、在宅患者支援と医療機関相互での情報共有の二系統の手法が作られた。また対象疾患も多岐にわたり示された。患者の評価は概ね良かった。また経済的効果が定量的に示される対象もあった。 
結論
これまで在宅医療のための遠隔医療について、テレビ電話やバイタル計測機器の技術的側面の研究は存在したものの、実施局面まで深く検討したもの、医学的内容まで深く考察したものは無かった。先行研究でも、そうした事例を収集できなかった。つまり在宅患者向けに遠隔医療を行うことが、どのようなことなのか不明なままだったために現場の医療者による着手も、政策的支援も具体化しなかった。
今次研究でも、包括的かつ詳細な手順書には至らなかったが、これまで解明されていなかった「遠隔医療が何物であるか」を本報告で初めて明らかにした。詳細手順ではないものの、本研究成果を元に、対象疾病のバリエーションの拡大、対象手法の開発につなげることが可能になり、遠隔医療研究の更なる展開が可能になった。今次成果は今後の研究にも政策的支援にも不可欠である。

公開日・更新日

公開日
2010-05-28
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200937042C