科学的根拠に基づく身体的・心理的な産後のケアの効果的な実施を推進するための研究

文献情報

文献番号
202327015A
報告書区分
総括
研究課題名
科学的根拠に基づく身体的・心理的な産後のケアの効果的な実施を推進するための研究
課題番号
23DA0601
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
上原 里程(国立保健医療科学院 疫学・統計研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 鈴木 俊治(日本医科大学 医学部 女性生殖発達病態学)
  • 安達 久美子(東京都立大学大学院 人間健康科学研究科)
  • 市川 香織(東京情報大学 看護学部 看護学科)
  • 渡邉 博幸(医療法人学而会 木村病院)
  • 目時 弘仁(東北医科薬科大学 医学部)
研究区分
こども家庭科学研究費補助金 分野なし 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
8,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
出産後の母親は、身体的、心理的な不調に陥りやすく、適切な時期に必要な支援が実施されることが重要である。特に、産後うつの可能性が高いとされるエジンバラ産後うつ病質問票EPDS9点以上の産婦が産後1 か月時点で約1 割いることや、腰痛や尿漏れ等の身体的トラブルが起こりやすい時期であることから、心身のケアを行う体制の構築が求められている。
また、母子保健法の一部を改正する法律(令和元年法律第 69 号)により、市町村の努力義務として規定された「産後ケア事業」は、こども未来戦略(令和5年 12 月 22 日閣議決定)において今後3年間の集中的な取組として示されている「加速化プラン」にも位置づけられている。全国の市町村で産後のケアの質の担保を図るためには、科学的根拠に基づいたケアの推進が必要である。
研究方法
本研究では、3年間の研究期間に、身体的・心理的な産後のケアに関する文献レビューや、ケア実施に関する実態調査を行い、科学的根拠に基づく効果的な産後のケア実施に関するガイダンスとリーフレットを作成する(下記、(1)~(3))。

(1)産後のケアに関するエビデンスの文献レビュー(令和5年度)
①産後の身体的ケアと、②産後の心理的ケア・メンタルヘルスについて、疫学的な手法に則り、文献レビューを行った。

(2)①文献レビューで整理した産後ケアの実践状況に関する調査、②精神科医療機関と産後ケア施設・市町村との連携に関する実態調査(令和6年度、7年度)
①10か所程度の市町村を対象にヒアリングすることによって、地域の産後ケア施設での実施状況を把握する。②産後ケア施設や市町村との連携に関心が高いと予想される精神科医を対象にアンケート調査およびヒアリングをおこなう。

(3)科学的根拠に基づく効果的な産後のケア実施に関するガイダンスやリーフレットの作成(令和7年度)
文献レビューおよび(2)の調査結果を踏まえ、科学的根拠に基づく産後のケアに関して市町村で活用できるガイダンスやリーフレットを作成する。
結果と考察
令和5年度は、産後のケアに関するエビデンスの文献レビューを実施した。まず、研究班全員で産後ケア実施の課題を抽出し共有した。その結果、課題のテーマとして、「心理的ケア」「産婦のアセスメント」「身体的ケア」「子育て技術」「安全性」の5項目を挙げ、計29課題について文献レビューを実施することとした。令和5年10月までに16課題の文献レビューを実施し、中間報告として取りまとめた。続いて、令和6年1月までに残りの13課題について文献レビューを進め、中間報告の記載内容に追記する形で最終報告をおこなった。研究班会議で議論となったEPDS、身体的ケア、および骨盤ケアと尿失禁との関連については、個々のレビューに加え既存のガイドラインやコクランレビューの記述を参考に「研究班の見解」を示した。最終報告については、産後ケアの有識者検討会資料として活用され、産後ケア事業ガイドライン改定案の①ケア内容、②安全に関する記述に反映された。
結論
29課題について実施した文献レビューの最終報告については、産後ケアの有識者検討会資料として活用され、産後ケア事業ガイドライン改定案の①ケア内容、②安全に関する記述に反映された。また、文献レビューの結果は、令和6年度に予定している文献レビューで整理した産後ケアの実践状況に関する調査および精神科医療機関と産後ケア施設・市町村との連携に関する実態調査の研究計画に反映させるとともに、産後のケア実施に関するガイダンスやリーフレット作成の基礎資料とする予定である。

公開日・更新日

公開日
2024-08-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-08-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202327015Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,500,000円
(2)補助金確定額
2,446,000円
差引額 [(1)-(2)]
6,054,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,061,378円
人件費・謝金 0円
旅費 100,974円
その他 284,147円
間接経費 0円
合計 2,446,499円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2024-11-13
更新日
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