興行場における衛生的な環境確保のための研究

文献情報

文献番号
202326002A
報告書区分
総括
研究課題名
興行場における衛生的な環境確保のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
21LA1005
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
開原 典子(国立保健医療科学院 生活環境研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 林 基哉(北海道大学 大学院工学研究院)
  • 柳 宇(工学院大学 建築学部)
  • 島崎 大(国立保健医療科学院 生活環境研究部)
  • 伊藤 加奈江(戸次 加奈江)(国立保健医療科学院 生活環境研究部)
  • 本間 義規(国立保健医療科学院)
  • 伊庭 千恵美(京都大学 大学院工学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 興行場における衛生的な環境確保を目的として、通知の見直しを視野に、興行場に求められる衛生基準の提言に資する情報整備を行う。求められる成果は、①建築物衛生法や建築基準法等の同時に規制を受ける関係法規や海外の規制と比較整理した資料、②興行場法に基づく各都道府県等の条例及び興行場の衛生状況の調査結果、③映画館における4D上映等の演出装置に関するメンテナンスの必要性について整理した資料、以上これらの調査結果を踏まえた興行場に求められる衛生基準への提言に資する科学的根拠を示す。
研究方法
 国内外の衛生基準の調査と分析では、建築物衛生法や建築基準法等の同時に規制を受ける関係法規や海外の規制について、文献調査や国内外の技術動向の資料に基づき、知見を整理する。
 実態調査では、これまでの通知では十分に想定されていない映画館の4D上映等、興行場における新たな興行内容・規模・時間を踏まえた衛生管理の実態把握のため、各都道府県等の条例について、衛生項目別に分析しその課題を抽出するとともに、現場調査として、興行場のうち映画館のシネマコンプレックスの観覧場(2D観覧場と4D観覧場)の実測(入場者数、4D等エフェクト記録、温度・湿度・二酸化炭素濃度・空気清浄度の連続測定および真菌・細菌)と維持管理に関するヒアリング等を行う。
 衛生管理手法の確立では、自治体の指導助言に資する4D上映等の装置と空気調和設備の維持管理に関する知見を整備するとともに、施設の種類等を踏まえた安心・安全につながる感染症対策の知見を整備する。
結果と考察
 令和5年度の研究によって、以下の知見が得られた。
 国内外の衛生基準の調査では、これまでに、国内外の文献調査に基づいて、欧米各国や国際機関等における興行場を対象とした衛生管理に関する既往の規制やガイドライン、ならびに、興行場に係る新型コロナウイルス感染症対策に関する各国の規制等を抽出し整理を行った。これらの情報は、我が国の興行場の感染症対策等、今般の変化を踏まえた衛生管理のあり方に関する知見と位置付けられる。
 実態調査では、4Dを備えた映画館(シネマコンプレックス)において、夏期調査(3施設全33観覧場)を行った。施設の観覧場は、十分な運転能力を有した設備機器を備え、一定水準以上で維持管理がされており、4Dと2Dの観覧場で大略的には温湿度二酸化炭素濃度に大きな差はみられなかった。4D上映における水やにおい等の演出が温度・相対湿度・二酸化炭素濃度に及ぼす影響は、空気調和設備の能力や維持管理等によるものが大きいといえる。また、新型コロナ感染症の換気対策として、映画館でもシネマコンプレックスのような空気調和設備等が備えられた施設では、二酸化炭素濃度1,000ppm以下の運転が可能であることも確認された。安心安全な施設の維持には、空気調和設備等の適切な維持管理を継続するとともに、4D装置を有する場合は吹出口を含めた給水システムの適切な衛生管理を継続することが重要である。4Dのエフェクト効果などによる映画館特異的な発生源の影響を調べるため、GCMS/異臭分析システムを用い、映画館内の4D及び2Dシアターにおけるにおい成分の測定を行ったところ、有害性が懸念されるレベルのものは検出されなかった。衛生器具の利用に資するため施設内の滞在人数を算出したところ、満員の際にも施設の観覧場以外には総定員比の半分以下となるように上映スケジュールが計画されており、衛生器具を利用する最大人数はコントロールされていた。準則 (法第3条第2項関係)にある落下菌数について検討したところ、日本建築学会環境基準AIJES-A0002-2013に掲載されている他の建物用途の基準(0.5~10、換算値含む)と比較すると3~5倍以上大きいことが示された。このように、興行場の映画館のシネマコンプレックスにおいて、これまでに明らかになっていなかった上映中の室内環境及び衛生状況のエビデンスを集積した。
 衛生管理手法の確立では、興行場の室内空気環境の特徴を踏まえて、浮遊飛沫感染対策に関するエビデンスの整理を継続するとともに、興行場のスポーツ施設に該当するアイスアリーナについて、空調換気性状とCOVID-19集団感染との関連性、エアロゾル感染対策の立案と効果検証を行った。
結論
 一連のエビデンスの集積により、興行場の建築設備の設計と維持管理や運用の在り方等に関する課題を示した。興行場では新しい演出が求められることから、施設の特徴や新たな興行内容の実態等を踏まえた衛生基準への提言に資する科学的根拠の構築が必要である。

公開日・更新日

公開日
2024-10-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2024-10-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202326002B
報告書区分
総合
研究課題名
興行場における衛生的な環境確保のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
21LA1005
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
開原 典子(国立保健医療科学院 生活環境研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 林 基哉(北海道大学 大学院工学研究院)
  • 柳 宇(工学院大学 建築学部)
  • 島崎 大(国立保健医療科学院 生活環境研究部)
  • 伊藤 加奈江(戸次 加奈江)(国立保健医療科学院 生活環境研究部)
  • 本間 義規(国立保健医療科学院)
  • 伊庭 千恵美(京都大学 大学院工学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 興行場における衛生的な環境確保を目的として、通知の見直しを視野に、興行場に求められる衛生基準の提言に資する情報整備を行う。求められる成果は、①建築物衛生法や建築基準法等の同時に規制を受ける関係法規や海外の規制と比較整理した資料、②興行場法に基づく各都道府県等の条例及び興行場の衛生状況の調査結果、③映画館における4D上映等の演出装置に関するメンテナンスの必要性について整理した資料、以上これらの調査結果を踏まえた興行場に求められる衛生基準への提言に資する科学的根拠を示す。
研究方法
 国内外の衛生基準の調査と分析では、建築物衛生法や建築基準法等の同時に規制を受ける関係法規や海外の規制について、文献調査や国内外の技術動向の資料に基づき、知見を整理する。
 実態調査では、これまでの通知では十分に想定されていない映画館の4D上映等、興行場における新たな興行内容・規模・時間を踏まえた衛生管理の実態把握のため、各都道府県等の条例について、衛生項目別に分析しその課題を抽出するとともに、現場調査として、興行場のうち映画館のシネマコンプレックスの観覧場(2D観覧場と4D観覧場)の実測(入場者数、4D等エフェクト記録、温度・湿度・二酸化炭素濃度・空気清浄度の連続測定および真菌・細菌)と維持管理に関するヒアリング等を行う。
 衛生管理手法の確立では、自治体の指導助言に資する4D上映等の装置と空気調和設備の維持管理に関する知見を整備するとともに、施設の種類等を踏まえた安心・安全につながる感染症対策の知見を整備する。
結果と考察
 国内外の衛生基準の調査では、これまでに、国内外の文献調査に基づいて、欧米各国や国際機関等における興行場を対象とした衛生管理に関する既往の規制やガイドライン、ならびに、興行場に係る新型コロナウイルス感染症対策に関する各国の規制等を抽出し整理を行った。これらの情報は、我が国の興行場の感染症対策等、今般の変化を踏まえた衛生管理のあり方に関する知見と位置付けられる。
 実態調査は、4Dを備えた映画館(シネマコンプレックス)において、冬期・夏期調査(3施設全33観覧場)を行った。施設の観覧場は、十分な運転能力を有した設備機器を備え、一定水準以上で維持管理がされており、4Dと2Dの観覧場で大略的には温湿度二酸化炭素濃度に大きな差はみられなかった。また、新型コロナ感染症の換気対策として、映画館でもシネマコンプレックスのような空気調和設備等が備えられた施設では、二酸化炭素濃度1,000ppm以下の運転が可能であることも確認された。安心安全な施設の維持には、空気調和設備等の適切な維持管理を継続するとともに、4D装置を有する場合は吹出口を含めた給水システムの適切な衛生管理を継続することが重要である。4Dのエフェクト効果などによる映画館特異的な発生源の影響を調べるため、GCMS/異臭分析システムを用い、におい成分の測定を行ったところ、有害性が懸念されるレベルのものは検出されなかった。衛生器具の利用に資するため施設内の滞在人数を算出したところ、満員の際にも施設の観覧場以外には総定員比の半分以下となるように上映スケジュールが計画されており、衛生器具を利用する最大人数はコントロールされていた。準則 (法第3条第2項関係)にある落下菌数について検討したところ、日本建築学会環境基準AIJES-A0002-2013に掲載されている他の建物用途の基準(0.5~10、換算値含む)と比較すると3~5倍以上大きいことが示された。また、落下真菌については、1時間の曝露でも数cfuしか検出されず、1時間の曝露で落下細菌は0~60 cfuしか検出されていないことから、5分から10分間程度の曝露ではスクリーン内の浮遊細菌と真菌の評価は難しいといえる。このように、興行場の映画館のシネマコンプレックスにおいて、これまでに明らかになっていなかった上映中の室内環境及び衛生状況のエビデンスを集積した。
 衛生管理手法の確立では、安心安全な興行場の室内衛生環境の確保を目指して、浮遊飛沫(エアロゾル)感染リスクの検討を行い、建築物、空調換気設備、維持管理、空気清浄やマスクの感染対策等、多数の要因の影響を受ける可能性を分析した。また、興行場のスポーツ施設に該当するアイスアリーナについて、空調換気性状とCOVID-19集団感染との関連性、エアロゾル感染対策の立案と効果検証を行い、施設の特徴を踏まえた空調換気設備の設計と運転制御、感染対策が必要であることを示した。
結論
 一連のエビデンスの集積により、興行場の建築設備の設計と維持管理や運用の在り方等に関する課題を示した。興行場では新しい演出が求められることから、施設の特徴や新たな興行内容の実態等を踏まえた衛生基準への提言に資する科学的根拠の構築が必要である。

公開日・更新日

公開日
2024-10-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2024-10-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202326002C

収支報告書

文献番号
202326002Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
7,000,000円
(2)補助金確定額
7,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,622,524円
人件費・謝金 1,461,882円
旅費 985,939円
その他 1,929,687円
間接経費 0円
合計 7,000,032円

備考

備考
自己資金32円

公開日・更新日

公開日
2024-10-17
更新日
-