外来医療・在宅医療における医療安全上の課題抽出と医療の安全性向上に資する組織的な方策の確立のための研究

文献情報

文献番号
202321033A
報告書区分
総括
研究課題名
外来医療・在宅医療における医療安全上の課題抽出と医療の安全性向上に資する組織的な方策の確立のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23IA1011
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 友紀(東邦大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 西澤 寛俊(公益社団法人全日本病院協会)
  • 飯田 修平(公益財団法人東京都医療保健協会 医療の質向上研究所)
  • 永井 庸次(公益財団法人東京都医療保健協会 医療の質向上研究所)
  • 後 信(財団法人日本医療機能評価機構 医療事故防止事業部)
  • 松本 邦愛(東邦大学 医学部)
  • 瀬戸 加奈子(渡辺 加奈子)(東邦大学 医学部)
  • 畠山 洋輔(東邦大学 医学部)
  • 大西 遼(東邦大学 医学部)
  • 平田 幸輝(東邦大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
7,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
文献調査、病院へのアンケート調査、在宅医療利用者へのアンケート調査等から外来、在宅医療における医療安全上の特徴を明らかにし、実際的な改善策を内外の先進事例とともに示すことを目的とした。
研究方法
(1)外来や在宅における医療安全について国内外の文献調査(含む、国外専門家のヒアリング調査)
外来や在宅における医療安全について系統的な文献検索を実施した。医学中央雑誌の検索エンジンを用いて、文献検索を2023年6月に実施した。また、東京で開催された第3回患者安全サミットでパネルデイスカッション「高齢社会における医療安全」の5人のシンポジスト(国内1、海外4人)に対して、個別にヒアリング調査を実施して文献調査を補完した。
(2)医療安全、在宅医療の専門家を対象としたヒアリング調査
外来、在宅医療で医療安全を推進するにあたっての特徴、入院医療の医療安全との相違、注意事項についてヒアリング調査により明らかにした。
(3) 日本医療機能評価機構の医療事故収集等事業のデータベースによる事例の抽出と分析
日本医療機能評価機構の運営する医療事故収集等事業データベースから入院、外来、在宅医療などサービス提供の場に着目した不具合様式の特徴を明らかにした。
(4) 全国の病院を対象にしたアンケート調査
病床規模により全国から約3,000病院を無作為抽出し、病床規模、在宅医療の提供状況、医療内容に応じた医療安全体制の状況、外来部門・医療連携・院外処方における医療安全の状況を郵送質問紙調査で確認した。
(5) 在宅医療利用者を対象にしたアンケート調査および担当者のヒアリング調査
在宅医療を実施している病院またはグループ診療所等5施設(2病院3診療所)の協力を得て、利用者の在宅療養における医療安全に対する意識、医療事故(の可能性)の経験についてアンケート調査により明らかにした。
結果と考察
文献調査から外来及び訪問診療の文献では、外来では薬剤や治療・処置、訪問診療では在宅酸素療法の医療機器など医療行為に起因する内容が多いことが示唆された。訪問診療の文献数が近年増加傾向にあることから、在宅医療においてヒヤリハットや医療事故など医療安全への優先度が向上している可能性が示唆された。次に、医療機能評価機構が公表している医療事故情報収集等事業のデータベースの分析では、外来及び在宅医療におけるヒヤリハットや事故の様態の特徴に関する示唆が得られた。在宅医療に関する事例の報告については少なく、ヒヤリハットや事故事例の報告基準や仕組みについて、在宅医療の実態に即して標準化を図る必要があると考えられた。また、10月に実施した全国の病院を対象としたアンケート調査から、現状、外来・在宅における医療安全ついて、入院と同一の報告基準を設けている病院が多い一方、報告対象の認識に差があるケースも認められたことから、基準と実際の運用実態について、さらに調査する必要性が示唆された。在宅医療利用者を対象にしたアンケート調査結果からは在宅医療利用者の在宅での医療安全に関わる事象の経験は17.7%であること、処方薬の種類や量の間違いの経験が比較的多いことが示された。医療者は、在宅医療利用者への情報伝達に留意する必要があることが示唆された。
結論
 医療安全が社会の関心を集め、健康政策上の主要な課題となって以降、多くの知見が得られ体制整備がなされてきた。知見の多くは急性期の入院医療を中心に得られてたものであり、比較的医療資源に恵まれた状況において、病状が急速に変化する患者を対象としたものであった。
本研究を通じて、外来や在宅医療にかかる医療安全の実態や医療事故、不具合様式の特徴、課題等が明らかになった。本研究で得られた知見は、現在進められている地域包括ケアにおいては、医療・介護サービス提供における連携に資するものである。特に、外来や在宅医療における医療安全の基準は入院医療とは異なる基準による運用の必要性が示唆されており、入院、外来、在宅において共有すべき患者情報の標準化の重要性も示唆された。今後は、外来・在宅診療において重要な位置を占める診療所についても、医療安全上の課題、医療安全対策の現状についても明らかにすることを計画している。

公開日・更新日

公開日
2024-05-24
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-06-03
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202321033C

成果

専門的・学術的観点からの成果
これまで得られた医療安全に関する知見の多くは、人員、機器、電子化などの資源を豊富に有する急性期病院の入院治療におけるものであり、状況が異なり、資源の比較的乏しいと考えられる中小規模あるいは慢性期の病院、介護施設、在宅医療において有効であるかを検証する必要がある。本研究では、外来や在宅医療にかかる医療安全の実態や医療事故、不具合様式の特徴、課題等が明らかになった。外来や在宅において入院とは異なる医療安全の基準運用の必要性や入院、外来、在宅において共有すべき患者情報の標準化の重要性が示唆された。
臨床的観点からの成果
臨床現場で医療安全の向上に取り組む際には、入院、外来、在宅等、状況に応じた医療安全上の特徴を把握しておくことが重要である。本研究において得られた知見は、今後の医療安全推進に寄与することが期待される。
ガイドライン等の開発
ガイドラインとは直接関係ないものの、ガイドラインで医療安全について取り扱う場合の参考となることが期待される。
その他行政的観点からの成果
地域包括ケアにおいては、医療・介護サービスの連携が不可欠であり、各医療サービス提供の場に応じて生じやすい医療事故の様態を明らかにし、教育研修への反映、利用者情報の標準化など情報共有の仕組みの確立など対応策を策定することが求められる。本研究において得られた知見の活用が期待される。
その他のインパクト
該当なし。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2024-05-29
更新日
-

収支報告書

文献番号
202321033Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,500,000円
(2)補助金確定額
8,500,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,788,703円
人件費・謝金 2,019,193円
旅費 805,375円
その他 1,986,729円
間接経費 900,000円
合計 8,500,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2024-06-05
更新日
-