難治性神経因性疼痛に対する大脳一次運動野刺激の多施設共同研究:継続的反復的経頭蓋磁気刺激による効果判定とメカニズム解析

文献情報

文献番号
200935066A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性神経因性疼痛に対する大脳一次運動野刺激の多施設共同研究:継続的反復的経頭蓋磁気刺激による効果判定とメカニズム解析
課題番号
H21-こころ・一般-019
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
齋藤 洋一(大阪大学大学院 医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 片山容一(日本大学医学部 脳神経外科学系神経外科学分野)
  • 山本隆充(日本大学医学部 先端医学系応用システム神経科学分野)
  • 中村雄作(近畿大学医学部 堺病院神経内科)
  • 宇川義一(福島県立医科大学 神経内科)
  • 生駒一憲(北海道大学病院)
  • 杉山憲嗣(浜松医科大)
  • 柿木隆介(自然科学研究機構 生理学研究所)
  • 魚住武則(産業医科大学)
  • 下川敏雄(山梨大学大学院工学総合研究部)
  • 下瀬川恵久(大阪大学大学院 医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
難治性神経因性疼痛とは、薬剤が無効で、うつ病になって自殺に至るケースも多い。運動障害は軽微なことも多いので、痛みをコントロールすればADLの改善が得られ、社会復帰も可能となる。
一方、大脳一次運動野電気刺激療法は、米国製の埋め込みデバイスを必要とし、侵襲的治療である。また有効率がどの報告でも約50%前後でその有効性のメカニズムには不明な点が多い。
最近、非侵襲手法である反復的経頭蓋磁気刺激(rTMS)による大脳一次運動野刺激が可能となり、大阪大学医学部附属病院で、単回rTMSによる難治性神経因性疼痛に対する100例以上の臨床研究を施行したところ、安全性には問題はなく、一時的な有効性(1日程度)を示した。そこで今回、継続的rTMSの治療効果を多施設共同研究で検証する。
研究方法
1、プロトコールとしては2週間(途中土日曜日は休み)の連日rTMS(5Hz、500回、安静時運動閾値の90%)を施行し、有効性と安全性を検証する。患者はシャム刺激と本刺激のクロスオーバー試験を受ける。
2、ケタミンでの除痛効果とrTMSとの相乗作用の検討。
3、Diffusion tensor image MRI使用してのtractographyによる神経線維障害とrTMSの除痛効果との相関。
4、温冷覚刺激装置(Pathway)を用いて、反復経頭蓋磁気刺激療法前後での温度覚の変化を評価しており、反復経頭蓋磁気刺激療法による疼痛軽減のメカニズムが温痛覚閾値の変化に基づくのかどうかを検討。
結果と考察
1、多施設共同研究に関する7施設で倫理委員会での承認取得。各施設での承認取得後、順に症例をエントリーしている(平成21年3月31日現在9例)。臨床研究としてUMIN登録を行った(UMIN-CTR R000003020)。
2、ケタミンは中枢性疼痛102例の検討で、50%に除痛効果があるが、rTMSとの相乗効果については今後、検討する。
3、感覚線維の障害が軽度な症例がrTMSの除痛効果が高く、運動線維障害よりも高い相関性が認められた。
4、温冷覚刺激装置(Pathway)を用いて、rTMS前後での温度覚、温度痛み閾値変化を検討中。
結論
1、多施設共同研究に関しては、平成22年3月31日現在、12例のエントリー。
2、ケタミンによる中枢性疼痛における除痛効果は50%である。
3、感覚線維の障害が軽度な症例がrTMSの除痛効果が高かった。

公開日・更新日

公開日
2010-08-31
更新日
-