重症・難治性喘息の病因・病態の解明に関する研究

文献情報

文献番号
200934040A
報告書区分
総括
研究課題名
重症・難治性喘息の病因・病態の解明に関する研究
課題番号
H21-免疫・一般-004
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
森 晶夫(独立行政法人国立病院機構相模原病院 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 高橋 清(独立行政法人国立病院機構南岡山医療センター)
  • 相澤 久道(久留米大学医学部)
  • 藤澤 隆夫(独立行政法人国立病院機構三重病院臨床研究部)
  • 庄司 俊輔(独立行政法人国立病院機構東京病院臨床研究部)
  • 田中 宏幸(岐阜薬科大学機能分子学大講座)
  • 大田 健(帝京大学医学部)
  • 烏帽子田 彰(広島大学大学院医歯薬学総合研究科)
  • 中村 裕之(金沢大学医薬保健研究域)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
12,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
喘息診療ガイドラインや吸入ステロイドの普及により、軽症~中等症患者のQOLは大いに向上したものの、重症喘息患者はその恩恵に与っていない。成人発症、非アトピー型、ステロイド抵抗性を特徴とする。それぞれのメカニズムを解明することで、早期診断、予知、回避、治療を可能とすることを目標とする。
研究方法
IgE抗体によらない喘息反応の機構を明らかにする目的に、マウスのヘルパーT細胞クローン移入により、T細胞依存性の喘息モデルを樹立し、解析した。ヒト培養気管支平滑筋細胞ゲルを用いた気管支平滑筋収縮アッセイ系を樹立し、T細胞由来の気流閉塞因子の解析、精製を行った。増悪因子としての、細菌、ウィルスによる好酸球活性化メカニズム、好塩基球の機能修飾をin vitroで、加えてアジュバントフリーモデルでの増悪効果をin vivoで解析した。喘息死におけるIL-18産生T細胞の動態を病理組織学的に解析した。早期診断に向け、重症化臨床マーカーを、炎症指標、器質化指標の観点から分類し、予知の観点からは、難治、重症化に関連する遺伝子多型を見出した。一次、二次予防介入の観点から、非晶鉄、活性炭を含む除去フィルターの開発を進めた。
結果と考察
IgEを介さないT細胞依存性の気流閉塞機序を明らかにし、クローン化T細胞移入喘息モデルを確立した。重症化抑制指標としての呼気NOの位置づけ、喘息死には、気道リモデリング、好酸球、IL-18産生CD8陽性T細胞が関与すること、好酸球ー細菌の相互作用が喘息重症化に関わること、ヒト好塩基球に抗原提示細胞機能があること、低レベルの抗原刺激が好塩基球の機能を増強すること、62、56、42 kDaの3種のプロテアーゼが気管支平滑筋細胞の遊走、リモデリングに寄与すること、ウィルス感染は、CD8 T細胞、LTB4を介してによる増悪に関与すること、NQO1の遺伝子多型および喫煙とGSTM1の遺伝子多型との相互作用が喘息重症化に関与すること、非晶質鉄、活性炭フィルターが喘息重症化の予防しうること等を明らかにした。
結論
重症化要因である環境因子、抗原、免疫細胞、炎症細胞、リモデリング、遺伝子多型の諸要因を複合的に解析し、重症・難治性喘息の新規治療法、診断、予防法開発に向け有意な知見が得られた。

公開日・更新日

公開日
2010-05-19
更新日
-