生活期リハビリテーションにおける介入手法の標準コードの開発研究

文献情報

文献番号
202315012A
報告書区分
総括
研究課題名
生活期リハビリテーションにおける介入手法の標準コードの開発研究
課題番号
23GA2001
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
三上 幸夫(広島大学病院 リハビリテーション科)
研究分担者(所属機関)
  • 安保 雅博(東京慈恵会医科大学医学部)
  • 三上 靖夫(京都府立医科大学大学院医学研究科 リハビリテーション医学)
  • 西村 行秀(岩手医科大学 医学部 リハビリテーション医学)
  • 大高 洋平(藤田医科大学  医学部 リハビリテーション医学講座)
  • 佐々木 信幸(聖マリアンナ医科大学 リハビリテーション医学)
  • 百崎 良(三重大学 医学部附属病院)
  • 新見 昌央(日本大学 医学部)
  • 河﨑 敬(京都府立医科大学 医学部医学科)
  • 羽田 拓也(東京慈恵会医科大学 リハビリテーション医学講座)
  • 西山 一成(岩手医科大学 リハビリテーション医学)
  • 中山 恭秀(東京慈恵会医科大学 リハビリテーション医学講座)
  • 北村 新(藤田医科大学  保健衛生学部 リハビリテーション学科)
  • 清水 美帆(三重大学 医学部附属病院 リハビリテーション部)
  • 塩田 繁人(広島大学病院 診療支援部リハビリテーション部門)
  • 吉川 浩平(広島大学 病院診療支援部リハビリテーション部門)
  • 秋田 智之(広島大学 大学院医系科学研究科 疫学・疾病制御学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
5,771,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
(研究1)生活期リハビリテーションにおける訓練項目の実態調査:近年、生活期リハビリテーションでも科学的根拠に基づく手法が求められており、これを実践するためには、評価・介入方法・アウトカムの標準化が必要である。研究1では、全国規模で医療保険と介護保険の生活期リハビリテーションにおける訓練項目名のアンケート調査を行い、訓練項目の実態を明らかにすることを目的とした。

(研究2)生活期リハビリテーションの訓練コードの標準化に向けたデルファイ調査:研究2では、生活期リハビリテーションの介入手法の標準コードおよびその定義を開発し、多職種で構成されたエキスパートパネルに対するDelphi調査によってその適切性を検証することを目的とした。
研究方法
(研究1)
研究デザイン:アンケート調査による横断研究
全国の生活期リハビリテーションを実施している医療機関、介護事業所45施設を対象とし、リハビリテーション処方箋とリハビリテーション指示書に記載されている訓練項目名をアンケート調査した。LIFEの介入項目に沿って調査した全ての訓練項目を再分類し、各介入項目名の記載件数と用語の差異を検討した。さらに医療保険と介護保険間および介護保険内での各訓練項目名の件数を比較検討した。
(研究2)
研究デザイン:RAND/UCLA Delphi法を用いた横断調査
リハビリテーションの訓練内容に卓越した知見を有するリハビリテーション科医師6名、理学療法士3名、作業療法士3名、言語聴覚士3名で構成されるエキスパートパネルを研究対象者とした。
研究班内に訓練コード作成WGを設置し、訓練内容の用語を集約・検証した上で、大項目、中項目で構成される生活期リハビリテーションの介入手法に関する標準コードとその定義原案を作成した。訓練コード原案の適切性について、1(適切でない)~9(適切である)の9段階で評価した。The RAND/UCLA Appropriateness Method User's Manualに基づき、中央値7以上を「適切」、中央値のある3分位以外の回答数4名以下を「合意」と判断した。すべてのコードが「適切」かつ「合意」となるまで、修正と調査を繰り返した。
(倫理面への配慮)
研究1・2ともに「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」の対象ではなく、特別な倫理申請は必要なかった。
結果と考察
(研究1)
対象施設45施設中、34施設から回答を得た(回収率:75.6%)。LIFEの介入項目のうち、15項目は該当がなく、記載件数が最大であったのは摂食嚥下訓練の111件であった。摂食嚥下訓練では87通りの訓練名が使用されていた。医療保険では摂食嚥下訓練の件数が多かったのに比べて、介護保険では歩行訓練の件数が多かった。また、介護保険内では、持久力訓練の記載件数は少なかった。LIFEの支援コードのうち、訓練項目が該当しかなった項目は15件であった。本調査より、生活期リハビリテーションの訓練項目は全国的に標準化されていないことが明らかとなった。今後,各種診療ガイドラインやテキストの用語を精査した上で、生活期リハビリテーションの介入手法の標準コードおよびその定義を開発することが必要であると考えられた。
(研究2)
エキスパートパネルに対して、計3回調査を実施した。
第1回目調査:15名中15名から回答を得た(回収率:100%)。大項目、中項目ともにすべての訓練コードにおいて中央値が「7~9:適切」と判断された。大項目では「言語・聴覚機能訓練」、中項目では「起居訓練」、「立位訓練」、「見当識機能訓練」、「失行訓練」、「趣味訓練」、「言語訓練」の6項目が「不合意」であった。
第2回調査:15名中15名から回答を得た(回収率:100%)。大項目、中項目ともにすべての訓練コードにおいて「適切」かつ「合意」に至ったが、重要なコメントを認めたため、文言の微調整を行った。
第3回調査:15名中15名から回答を得た(回収率:100%)。大項目、中項目ともにすべての訓練コードにおいて「適切」かつ「合意」に至ったため、デルファイ調査を完了した。今後は生活期リハビリテーションの介入手法に関する標準コードの具体的な評価と訓練内容の手引きを作成し、本標準コードのfeasibilityを検証することが求められる。
結論
生活期リハビリテーションにおける訓練項目の実態調査から、生活期リハビリテーションの訓練項目は統一されていないことが明らかになった。
エキスパートパネルに対するデルファイ調査により、訓練コード案の大項目10項目と中項目56項目が「適切」かつ「合意」に至り、生活期リハビリテーションの介入手法に関する標準コードとその定義が完成した。

公開日・更新日

公開日
2024-05-28
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2024-05-28
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202315012Z