文献情報
文献番号
200934015A
報告書区分
総括
研究課題名
リアルタイムモニター花粉数の情報の在り方と研究と舌下ペプチド・アジュバント療法の臨床研究
課題番号
H20-免疫・一般-003
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
大久保 公裕(日本医科大学 耳鼻咽喉科)
研究分担者(所属機関)
- 太田 伸男(山形大学 臨床アレルギー学)
- 岡野 光博(岡山大学 耳鼻咽喉科)
- 岡本 美孝(千葉大学 耳鼻咽喉科)
- 後藤 穣(日本医科大学 耳鼻咽喉科)
- 永田 真(埼玉医科大学 呼吸器内科)
- 藤枝 重治(福井大学 耳鼻咽喉科)
- 増山 敬祐(山梨大学 耳鼻咽喉科)
- 湯田 厚司(三重大学 耳鼻咽喉科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
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研究報告書(概要版)
研究目的
リアルタイムモニターの精度研究と今後の方向性を探る。根治的治療法として舌下免疫療法(SLIT)のスギ花粉症への有用性を明らかにした。またペプチド免疫療法をSLITで行ないこれに丸山ワクチンTh1アジュバントを併用SLITでスギ花粉症の根治の可能性を探る。
研究方法
リアルタイムモニターの精度の研究を行う。ペプチドへのT細胞の反応性およびその効力を検討しSLITのバイオマーカーの検討を継続する。SLITで変化する制御性T細胞の増加、扁桃上皮細胞における遺伝子変化、血中のプロテオーム解析でのアポA4タンパクの増加をみる。ペプチドSLITに丸山ワクチンをアジュバントとして使用し、基礎的にも動物実験、ヒトでTh1誘導の検証を行う。
結果と考察
リアルタイムモニターとダーラム法での花粉数との相関は千葉市0.75、成田市074、補正式を用いて精度が向上した。花粉飛散増加に伴い鼻眼の症状スコア増加、QOL悪化、鼻眼以外の症状悪化や30%の患者では喘息症状も悪化していた。IFN-γR1プロモーター領域のSNPに花粉症との相関を認め、IL-33のrs1929992ではリスクアレルがCであった。患者PBMCはスギ、ヒノキ抗原のいずれの刺激でもIL-5、IL-13、IL-31産生が亢進した。皮下免疫療法(SCIT)ではスギ抗原特異的サイトカイン産生およびIFN-γ産生も抑制される傾向を認めた。免疫療法の中ではSCITの効果が高く、SLIT、薬物初期療法の順で、SLITでは治療年数が増すと効果が増強した。再発症例の追加SLITもQOL、症状スコアともに低値で、初回実薬投与と比較しても効果的で、経年的・追加治療の有効性が示された。血中IL-17Aは施行前と比較し低下を認めた。SLIT患者のTr1細胞はCrj1の刺激でIL-10が強く産生された。ペプチド特異的T細胞クローンはすべてTh2細胞であったが、Cry j 1特異的T細胞クローンはIL-4もIFN-γも産生した。新しいペプチドSLITとアジュバント併用の検討を続ける。
結論
花粉飛散情報は重要だが現状のリアルタイムモニターには問題もある。花粉症はQOLを悪化させるだけでなく、睡眠の質を低下させ、鼻・眼以外の症状も悪化させる。喘息では花粉症、喘息ともに治療する必要がある。SLITは初回でも効果を示しうるが、再度のSLITで有効性が増大する。効果発現機序にはサイトカイン産生の抑制、誘導性制御性T細胞や血中IL-17増加などが関与している。ペプチドと主要抗原のCry j1とでは同じ反応を示すわけではないが、ペプチドSLITは症例を選択できれば高い効果も示す。
公開日・更新日
公開日
2010-05-19
更新日
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