文献情報
文献番号
202310010A
報告書区分
総括
研究課題名
先天性心疾患を主体とする小児期発症の心血管難治性疾患の救命率の向上と生涯にわたる QOL 改善のための総合的研究先天性心疾患を主体とする小児期発症の心血管難治性疾患の救命率の向上と生涯にわたるQOL改善のための総合的研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
21FC1014
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
大内 秀雄(独立行政法人国立循環器病研究センター 小児循環器内科)
研究分担者(所属機関)
- 野口 輝夫(国立研究開発法人国立循環器病研究センター)
- 市川 肇(国立循環器病研究センター 小児心臓外科)
- 黒嵜 健一(独立行政法人国立循環器病研究センター 小児循環器部)
- 吉松 淳(国立研究開発法人国立循環器病研究センター 周産期・婦人科)
- 岩永 善高(国立循環器病研究センター 循環器病統合情報センター)
- 白石 公(国立循環器病研究センター オープンイノベーションセンター 教育推進部)
- 中井 陸運(宮崎大学 臨床研究支援センター)
- 武田 充人(北海道大学病院 小児科)
- 豊野 学朋(秋田大学 医学部)
- 鈴木 孝明(埼玉医科大学 国際医療センター)
- 小野 博(国立成育医療研究センター 循環器科)
- 八尾 厚史(東京大学 保健・健康推進本部)
- 犬塚 亮(東京大学医学部)
- 高橋 健(順天堂大学 小児科学教室)
- 土井 庄三郎(東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 小児・周産期地域医療学)
- 山岸 敬幸(慶應義塾大学医学部)
- 水野 篤(聖路加国際大学 急性期看護学)
- 稲井 慶(東京女子医科大学循環器小児科)
- 上田 秀明(地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター 循環器内科)
- 先崎 秀明(北里大学 医学部)
- 落合 亮太(公立大学法人横浜市立大学 学術院 医学群 医学研究科 看護学専攻)
- 岩本 眞理(横浜市立大学医学部 小児循環器)
- 瀧聞 浄宏(長野県立こども病院 循環器小児科 )
- 坂本 喜三郎(静岡県立こども病院 循環器センター心臓血管外科)
- 芳村 直樹(富山大学学術研究部医学系 外科学(呼吸・循環・総合外科)講座)
- 杉山 央(東京女子医科大学 循環器小児科)
- 三谷 義英(三重大学医学部附属病院)
- 山岸 正明(京都府立医科大学 小児心臓血管外科)
- 小田 晋一郎(京都府立医科大学 小児心臓血管外科)
- 小垣 滋豊(大阪大学大学院医学系研究科 小児科学)
- 青木 寿明(大阪母子医療センター 小児循環器科)
- 城戸 佐知子(兵庫県立こども病院 循環器内科)
- 赤木 禎治(岡山大学 循環器疾患集中治療部)
- 笠原 真悟(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 心臓血管外科学)
- 早渕 康信(徳島大学 病院)
- 檜垣 高史(国立大学法人 愛媛大学 大学院医学系研究科 地域小児・周産期学講座)
- 佐川 浩一(福岡市立こども病院 循環器科)
- 須田 憲治(久留米大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
研究代表者の交替:申請時の代表者である白石公国立循環器病研究センター教育推進部部長)の定年退職に伴い、令和4年4月1日より大内秀雄(国立循環器病研究センター成人先天性心疾患科医長)に変更した。
研究報告書(概要版)
研究目的
研究では、先天性心疾患患者をはじめとする小児期発症の心血管難治性疾患患者が、小児期の初期の手術治療により救命されるよう診断治療技術の向上を目指すのみならず、成人期以降も生涯にわたって良好な生活の質が営めるよう、関連する各学会や患者団体とともに、診断基準の確立、治療方針の確立、ガイドラインの作成、生涯にわたる一貫した患者レジストリの構築、患者診療記録のデータベース化、シームレスな移行医療の構築、患者への正しい情報提供、学童期から思春期患者の自立支援、就学や就労に関する支援、成人患者の専門施設の確立および地域の医療事情に応じた診療体制の構築、個々の患者の長期期予後の検討、成人患者への社会経済的支援、若手スタッフの教育、専門医制度の維持などを実施し、様々の医療政策を実施することを目的とする。
研究方法
・小児慢性疾病および指定難病の診断基準の見直しおよび追記を継続して実施する 。
・日本小児循環器学会とともに「小児心血管疾患新規患者の全国調査を」推し進める。
・DPC診療データ、小児慢性疾患研究事業データ、その他の患者データベースを利用し、小児期から成人期までの一貫した患者データベース構築のための基礎を計画する。
・日本循環器学会JROAD-DPCデータから成人先天性心疾患患者の診療実態解析を行う。
・各都道府県に設置された「移行医療支援センター」と連携し、各地域の医療体制に見合った移行医療の体制確立を支援する。
・循環器内科拠点施設ネットワークを継続的に支援し、「患者登録システム」構築を継続する 。
・患者向けホームページを通じて患者の社会保障、就労支援、思春期から成人期の患者の自立支援を図る。
・「全国心臓病の子どもを守る会」と移行医療に関する情報提供を行い、社会保障システム、就労支援、医療支援の充実を支援する。
・若手外科医の育成と効率的な診療のための施設集約化に関する検討を進め、進捗状況を厚生労働省に報告する。
・Fontan術後患者の心機能および循環動態を経時的に追跡し、患者のQOLの改善を図る。
・女性患者が安心して出産が行えるよう、診療体制の確立に向けた準備を進める。
・日本小児循環器学会とともに「小児心血管疾患新規患者の全国調査を」推し進める。
・DPC診療データ、小児慢性疾患研究事業データ、その他の患者データベースを利用し、小児期から成人期までの一貫した患者データベース構築のための基礎を計画する。
・日本循環器学会JROAD-DPCデータから成人先天性心疾患患者の診療実態解析を行う。
・各都道府県に設置された「移行医療支援センター」と連携し、各地域の医療体制に見合った移行医療の体制確立を支援する。
・循環器内科拠点施設ネットワークを継続的に支援し、「患者登録システム」構築を継続する 。
・患者向けホームページを通じて患者の社会保障、就労支援、思春期から成人期の患者の自立支援を図る。
・「全国心臓病の子どもを守る会」と移行医療に関する情報提供を行い、社会保障システム、就労支援、医療支援の充実を支援する。
・若手外科医の育成と効率的な診療のための施設集約化に関する検討を進め、進捗状況を厚生労働省に報告する。
・Fontan術後患者の心機能および循環動態を経時的に追跡し、患者のQOLの改善を図る。
・女性患者が安心して出産が行えるよう、診療体制の確立に向けた準備を進める。
結果と考察
1. 日本小児循環器学会とともに「小児心血管疾患新規患者の全国調査を」推し進め、令和5年度において、小児慢性疾病および指定難病の全国発生頻度の報告に役立てることができた。
2. DPC診療データ、小児慢性疾患研究事業データ、その他の患者データベースを利用し、小児期から成人期まで一貫した患者データベース構築のための実作業を継続した。この点は完成には至らなかった。
3. 「移行医療支援センター」とともに、各都道府県の医療体制に見合った移行医療の体制づくりの提言をおこなった。
4. 循環器内科拠点施設ネットワーク(ACHDネットワーク)を継続的に支援し、成人先天性疾患学会とともに「患者登録システム」構築を継続して進めた。MRを用いた心機能解析の論文を完成させた。
5. 成人先天性心疾患専門医総合および連携修練施設への実態活動調査結果をもとに、診療体制の改善および見直しをおこなった。
6. 令和4年に引き続き、厚労科研費檜垣班および患者会とともに、ホームページを介して患者の社会保障や就労支援などなどの情報を正確に提供するとともに、思春期から成人期の患者の自立支援をおこなった。
7. 小児心臓外科の専門医制度の確立に向けた活動を日本小児循環器学会とともに実施し、提言を発した。
8. 成人先天性心疾患の術後長期の患者の心機能および循環動態、特にFontan手術後長期患者のさまざまな問題を継続して調査分析し、論文として情報を発信した。
9. 女性患者の妊娠出産に関する観察研究および実態調査結果を分析した。論文発刊には至らなかった。
2. DPC診療データ、小児慢性疾患研究事業データ、その他の患者データベースを利用し、小児期から成人期まで一貫した患者データベース構築のための実作業を継続した。この点は完成には至らなかった。
3. 「移行医療支援センター」とともに、各都道府県の医療体制に見合った移行医療の体制づくりの提言をおこなった。
4. 循環器内科拠点施設ネットワーク(ACHDネットワーク)を継続的に支援し、成人先天性疾患学会とともに「患者登録システム」構築を継続して進めた。MRを用いた心機能解析の論文を完成させた。
5. 成人先天性心疾患専門医総合および連携修練施設への実態活動調査結果をもとに、診療体制の改善および見直しをおこなった。
6. 令和4年に引き続き、厚労科研費檜垣班および患者会とともに、ホームページを介して患者の社会保障や就労支援などなどの情報を正確に提供するとともに、思春期から成人期の患者の自立支援をおこなった。
7. 小児心臓外科の専門医制度の確立に向けた活動を日本小児循環器学会とともに実施し、提言を発した。
8. 成人先天性心疾患の術後長期の患者の心機能および循環動態、特にFontan手術後長期患者のさまざまな問題を継続して調査分析し、論文として情報を発信した。
9. 女性患者の妊娠出産に関する観察研究および実態調査結果を分析した。論文発刊には至らなかった。
結論
令和5年度の政策医療事業、各種データベースを用いた成人先天性心疾患患者の診療実態の解析、若手医師の教育と効率的な働き方を実現するための施設集約化など、順調に進めることができた。今後の班研究につなげてゆく予定である。
公開日・更新日
公開日
2025-05-23
更新日
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