難治性HIV感染症に対する治療法開発の基礎的研究

文献情報

文献番号
200932026A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性HIV感染症に対する治療法開発の基礎的研究
課題番号
H21-エイズ・一般-010
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
滝口 雅文(国立大学法人 熊本大学 エイズ学研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 潟永 博之(国立国際医療センター エイズ治療・研究開発センター)
  • 満屋 裕明(熊本大学 大学院医学薬学研究部)
  • 天野 将之(熊本大学 エイズ学研究センター )
  • 馬場 昌範(鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 松岡 雅雄(京都大学 ウイルス研究所附属エイズ研究施設)
  • 松下 修三(熊本大学 エイズ学研究センター )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
48,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
耐性ウイルスを克服できる新規薬剤[柱1]とHIV特異免疫を用いた治療法を目指した[柱2]研究を行う。
研究方法
柱1:新規HIV-1 PDIsの開発とPDIs耐性機序の解析とCCR5阻害剤のため、構造学的デザインに基づいた新規PDIsの開発をおこなう。in silicoスクリーニングにより選択し254種類の薬剤の抗HIV効果を調べた。
柱2:Gag28-36に対するCTLクローンを樹立し、逃避変異3Rに対する認識を調べた。日本人でのHIV特異的CTLの分布を調べた。抗V3単クローン抗体KD-247を用いて高度耐性ウイルスを誘導し、認識部位のシークエンス解析を行った。
結果と考察
柱1:耐性ウイルス出現の機序の解明と耐性ウイルスを克服する新規薬剤の開発では、GRL-0216A, -0286A等のPDIsが薬剤耐性ウイルスに対して強い活性を示すことがあきらかになった。コンピューター・モデリングの手法を用いたCCR5の微細構造学的解析系の確立、CCR5阻害剤の結合モデル、分子レベルでの機序解析が可能になった。さらにin silicoスクリーニングよりcyclin T1とのドッキングスコアが最適であると選別された254化合物から抗HIV-1活性を有する3種の化合物を同定した
柱2: KI-092から確立したCTLクローンは、WT感染細胞のみに強い細胞傷害活性を示したが、3Rウイルスを感染させた細胞には細胞傷害活性を示さなかった。一方、KI-091から確立したCTLクローンは、両方のウイルス感染細胞に対して細胞傷害性活性を示した。日本の158人の無治療慢性HIV-1感染者におけるHIV-1特異的CTL応答のmagnitudeとbreadthの解析を行い、GagとPolにおけるtotal maginitudeがNefよりも有意に高いことが示された。
結論
1)新薬開発では、新規PI開発で進展がみられた。特にGRL-0216A, -0286A等のPDIsなどの新規薬剤が臨床試験候補として期待される効果を示した。
2)細胞性免疫治療の研究では、新たに逃避変異ウイルスを認識するCTLが明らかになった。また日本人ではPolとGagに対するCTLが強く誘導されていた。

公開日・更新日

公開日
2014-05-26
更新日
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