循環器病に対する複合リハビリテーションを含むリハビリテーションの現状と課題の明確化のための研究

文献情報

文献番号
202308024A
報告書区分
総括
研究課題名
循環器病に対する複合リハビリテーションを含むリハビリテーションの現状と課題の明確化のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22FA1021
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
藤本 茂(自治医科大学 内科学講座神経内科学部門)
研究分担者(所属機関)
  • 益子 貴史(自治医科大学 医学部内科学講座神経内科学部門)
  • 牧田 茂(埼玉医科大学 国際医療センター)
  • 角田 亘(国際医療福祉大学 医学部)
  • 安 隆則(琉球大学大学院医学研究科)
  • 福本 義弘(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 井澤 英夫(藤田医科大学 医学部)
  • 横山 美帆(順天堂大学 医学部循環器内科)
  • 高橋 哲也(順天堂大学 保健医療学部)
  • 古川 裕(京都大学大学院 医学研究科 循環器内科学)
  • 宮脇 郁子(神戸大学大学院保健学研究科 看護学領域)
  • 小幡 裕明(新潟大学 循環器内科)
  • 梅木 陽子(福岡女子大学 国際文理学部)
  • 大山 直紀(川崎医科大学 脳卒中医学教室)
  • 平野 照之(大分大学 医学部)
  • 和田 邦泰(熊本市民病院 脳神経内科)
  • 竹川 英宏(獨協医科大学 医学部)
  • 阿志賀 大和(国際医療福祉大学 成田保健医療学部言語聴覚学科)
  • 原 毅(国際医療福祉大学 保健医療学部)
  • 五味 幸寛(国際医療福祉大学 成田保健医療学部作業療法学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
5,540,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班の目的は,脳卒中および心臓病のリハビリテーションの対象となる患者における,複数の合併症の頻度,複数の合併症を有する患者に対する複合リハビリテーションの実施率,複合リハビリテーションを阻害する要因,複合リハビリテーションの有効性,について調査検証し,脳卒中および心臓病に対する複合リハビリテーションの今後取り組むべき課題を明らかにし,解決策を提案することである.
研究方法
1. 脳卒中,心臓病でリハビリテーションの対象となる患者が,嚥下機能障害や廃用症候群など,複数の合併症を有する頻度に関する研究
試験デザイン:多施設横断前向き観察研究
対象患者:急性期病院に新しく入院した心臓病患者(急性心筋梗塞症,急性心不全,心大血管手術後など)および脳卒中患者で同意の得られた連続例.
研究内容:嚥下障害,認知機能障害などの高次脳機能障害,呼吸器疾患・腎疾患,廃用症候群などの合併率を前向きに調査する.

2.複数の合併症を有する患者に対する,複合リハビリテーションの実施率の調査
 前年度報告済.

3.複合リハビリテーションの有効性の検証
3-1:後ろ向き観察研究
対象患者:新潟南病院に過去3年間に入院した心臓病患者.
目標症例数:600例
研究内容:嚥下障害,認知機能障害などの高次脳機能障害,フレイル・サルコペニア,うつ,呼吸器疾患・腎疾患,骨関節疾患,廃用症候群の有無を確認し,入院時と退院時の身体機能(嚥下機能,筋力,歩行機能など),ADLレベル,QOLレベル,などを比較して複合リハビリテーションの効果を検証する.
3-2:多施設横断前向き観察研究
対象患者:複合リハビリテーションを施行される患者(主たる疾患である心臓病や脳卒中に対するリハビリテーションのみならず,嚥下障害,高次脳機能障害,廃用症候群などに対するリハビリテーションも施行される患者).
研究内容:複合リハビリテーションの効果を評価する前向き調査を行う.回復期リハビリテーション病院の入院時と退院時の時点での身体機能,ADLレベル,QOLレベルを評価することで,複合リハビリテーションの効果と安全性を検証する.
結果と考察
研究1
心臓リハビリテーション対象の心臓病患者において,慢性腎臓病,筋・骨関節疾患・低栄養が併存症として多くあげられ,とくに75歳以上の患者では保有数も多かった.フレイル,サルコペニアを有する患者も多く認められた.言語聴覚士の関与が必要とされる項目(高次脳機能障害,認知症,嚥下障害)は全体で14.3%,75歳以上では19.4%認められた.複合リハビリテーションの適応は58.6%の患者に認められ,廃用症候群,呼吸器リハ,運動器リハの順であり,2つ以上算定可能な者も存在した.
急性期脳卒中患者453例における併存症は、保存期慢性腎臓病が147例(32.5%)で最も多く、次いで低栄養108例(23.8%)、心房細動98例(21.6%)、フレイル82例(18.1%)であった。これらの併存症は、急性期脳卒中患者が高齢であるほど保有割合が高かった。主疾患以外で算定可能と判断された疾患別リハ料は、廃用症候群リハ料が155例(34.2%)と最も多く、次いで心疾患リハ料115例(25.4%)であった。

研究2
 前年度報告済.

研究3
 回復期機能をもつ地域病院において,複合リハビリテーションの現状を後ろ向きに調査した結果,91%が心大血管疾患以外の身体リハビリ適用疾患を有し,54%が摂食嚥下リハビリを要した.生存退院や退院時のADL自立度といったアウトカムには摂食嚥下リハビリの要否が大きく関わることが分かった.さらに,これらの患者のADL改善には,長い入院期間とリハビリ実施が必要となり,回復期機能を持つ病床の積極的な活用が効果的であることが示唆された.
心臓病の前向き調査では,対象79例が登録され,平均年齢は,82 [24-96]歳,女性37例 (47%)であった.主要評価項目である回復期リハビリテーション病院退院時のBarthel IndexおよびFIMともに入院時に比べて退院時には有意に改善した.食状況は退院時にはすべての患者で経口摂取が可能となり,重度の嚥下障害患者数が減少した.
 脳卒中では,最終的に,48人(男性:33人,女性:15人.年齢中央値78歳)が登録された.回復期リハビリテーション病院では、複合リハビリテーションが実施可能であり,複合リハビリテーションによりADL・身体機能・嚥下機能などの改善を認めた.複合リハビリテーションにより高い自宅復帰率が達成できていた.一方で通院リハビリテーションの比率は比較的低かった.
結論
複合リハビリテーションの現状,必要性,課題,有効性が示された.研究成果について,3本の論文が採択され,さらに2本の論文が投稿され査読中である.

公開日・更新日

公開日
2024-08-29
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2024-08-29
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202308024B
報告書区分
総合
研究課題名
循環器病に対する複合リハビリテーションを含むリハビリテーションの現状と課題の明確化のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22FA1021
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
藤本 茂(自治医科大学 内科学講座神経内科学部門)
研究分担者(所属機関)
  • 益子 貴史(自治医科大学 医学部内科学講座神経内科学部門)
  • 牧田 茂(埼玉医科大学 国際医療センター)
  • 角田 亘(国際医療福祉大学 医学部)
  • 安 隆則(獨協医科大学 医学部)
  • 福本 義弘(久留米大学  医学部)
  • 井澤 英夫(藤田医科大学 医学部)
  • 横山 美帆(順天堂大学 医学部循環器内科)
  • 古川 裕(地方独立行政法人神戸市民病院機構神戸市立医療センター中央市民病院 循環器内科)
  • 高橋 哲也(順天堂大学 保健医療学部)
  • 宮脇 郁子(神戸大学大学院保健学研究科 看護学領域)
  • 小幡 裕明(新潟大学 循環器内科)
  • 梅木 陽子(福岡女子大学 国際文理学部)
  • 大山 直紀(川崎医科大学 脳卒中医学教室)
  • 平野 照之(大分大学 医学部)
  • 竹川 英宏(獨協医科大学 医学部)
  • 和田 邦泰(熊本市民病院 脳神経内科)
  • 阿志賀 大和(国際医療福祉大学 成田保健医療学部言語聴覚学科)
  • 原 毅(国際医療福祉大学 保健医療学部)
  • 五味 幸寛(国際医療福祉大学 成田保健医療学部作業療法学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班の目的は,脳卒中および心臓病のリハビリテーションの対象となる患者における,複数の合併症の頻度,複数の合併症を有する患者に対する複合リハビリテーションの実施率,複合リハビリテーションを阻害する要因,複合リハビリテーションの有効性,について調査検証し,脳卒中および心臓病に対する複合リハビリテーションの今後取り組むべき課題を明らかにし,解決策を提案することである.
研究方法
脳卒中および心疾患リハビリテーション現場における複合疾患の頻度調査 (前向き登録研究),複数の合併症を有する患者に対する,複合リハビリテーションの実施率の調査 (アンケート調査),複合リハビリテーションの有効性の検証 (後ろ向き観察研究および前向き登録研究) を実施した.
結果と考察
研究1
前向き登録研究で,心臓リハビリテーション対象の心臓病患者において,慢性腎臓病,筋・骨関節疾患・低栄養が併存症として多くあげられた.フレイル,サルコペニアを有する患者も多く認められた.言語聴覚士の関与が必要とされる項目(高次脳機能障害,認知症,嚥下障害)は全体で14.3%,75歳以上では19.4%認められた.複合リハビリテーションの適応は58.6%の患者に認められ,廃用症候群,呼吸器リハ,運動器リハの順であり,2つ以上算定可能な者も存在した.
急性期脳卒中患者453例における併存症は,保存期慢性腎臓病が147例(32.5%)で最も多く,次いで低栄養108例(23.8%),心房細動98例(21.6%),フレイル82例(18.1%)であった.主疾患以外で算定可能と判断された疾患別リハ料は,廃用症候群リハ料が155例(34.2%)と最も多く,次いで心疾患リハ料115例(25.4%)であった.
研究2
アンケート調査の結果,心臓病では,心臓病・大動脈・末梢動脈疾患専従や専任看護師,脳卒中病棟専従や専任看護師がほぼいないこと,言語聴覚士が少ないこと,がん患者リハビリテーションと認知症患者リハビリテーションに対応ができていないこと,外来リハビリテーション体制が整っていないこと,が示された.
脳卒中では,脳卒中リハビリテーション認定看護師など,脳卒中,心疾患の資格を有する看護師がほぼいないこと,言語聴覚士が少ないこと,がん患者リハビリテーションと認知症患者リハビリテーションに対応ができていないこと,外来リハビリテーション体制が整っていないこと,が示された.  
また両者ともに,様々な疾患管理が可能な施設が少ないことが複合リハビリテーションの妨げになっていることも推察された.
研究3
3-1
回復期機能をもつ地域病院において,複合リハビリテーションの現状を後ろ向きに調査した結果,91%が心大血管疾患以外の身体リハビリ適用疾患を有し,54%が摂食嚥下リハビリを要した.生存退院や退院時のADL自立度といったアウトカムには摂食嚥下リハビリの要否が大きく関わることが分かった.さらに,これらの患者のADL改善には,長い入院期間とリハビリ実施が必要となり,回復期機能を持つ病床の積極的な活用が効果的であることが示唆された.
3-2
心臓病の前向き調査では,対象79例が登録された.急性期病院での入院期間は29(3-90)日であった.日本語版フレイル基準(J-CHS基準)でのフレイル評価で,フレイルと判断された対象が60例(76%),プレフレイル15例(19%),ロバスト6例(5%)であった.主要評価項目である回復期リハビリテーション病院退院時のBarthel IndexおよびFIMともに入院時に比べて退院時には有意に改善した.食状況は退院時にはすべての患者で経口摂取が可能となり,重度の嚥下障害患者数が減少した.
脳卒中では,最終的に,48人が登録された.回復期リハビリテーション病院で複合リハビリテーションを要する脳卒中患者は、高齢で様々な危険因子と併存症を有し,嚥下障害,認知機能障害を有する症例が含まれていた.回復期リハビリテーション病院では、複合リハビリテーションが実施可能であり,複合リハビリテーションによりADL・身体機能・嚥下機能などの改善を認めた.複合リハビリテーションにより高い自宅復帰率が達成できていた.一方で通院リハビリテーションの比率は比較的低かった.
結論
前向き登録研究により,心臓病では低栄養,脳卒中では高次機能障害や嚥下障害の合併が少なくなかった.アンケート調査により,循環器病患者が複合的なケアやリハビリテーションを必要としていることが示唆された.一方で適応があるにもかかわらず算定されていない複合リハビリテーションの項目が複数みられる.前向きおよび後ろ向き登録研究で,回復期リハビリテーション病院では、複合リハビリテーションによりADL・身体機能・嚥下機能などの改善を認めた.

公開日・更新日

公開日
2024-08-29
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-08-29
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202308024C

成果

専門的・学術的観点からの成果
1)研究成果
心臓病や脳卒中患者は高頻度にさまざまな合併症や障害を有し,複合的リハビリテーションの需要が高いことが明らかとなった.また,回復期リハビリテーション病院 (病棟)での複合リハビリテーションにより,ADL・身体機能・嚥下機能などの改善を認めた.
2)研究成果の学術的・国際的・社会的意義
今後,複合リハビリテーションが急性期~回復期~維持期 (生活期) に継続できるための人員育成,体制整備が必要となる.
臨床的観点からの成果
心臓病や脳卒中患者は高頻度にさまざまな合併症や障害を有し,特に高齢者では複合リハビリテーションの必要性が高いことが示された.一方で,心臓病・大動脈・末梢動脈疾患専従や専任看護師,脳卒中病棟専従や専任看護師がほぼいないこと,言語聴覚士が少ないこと,がん患者リハビリテーションと認知症患者リハビリテーションに対応ができていないこと,外来リハビリテーション体制が整っていないこと,が示された.本研究により,複合リハビリテーションの必要性,課題,有効性が示された.
ガイドライン等の開発
本研究では該当なし
その他行政的観点からの成果
本研究では該当なし
その他のインパクト
特になし

発表件数

原著論文(和文)
4件
原著論文(英文等)
2件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
17件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
小幡裕明,和泉 徹,石塚光夫,他
心疾患入院患者に対する複合リハビリテーションの現状と課題 -超高齢患者の回復期リハビリテーションのための病床機能の利活用-
日本心臓リハビリテーション学会誌 , 30 , 187-196  (2024)
原著論文2
原毅、角田亘、阿志賀大和、他
脳卒中急性期リハビリテーションにおける併存症と危険因子の頻度~多施設での前向き登録研究~
脳卒中誌 , 46 , 406-414  (2024)
原著論文3
福本義弘,藤本茂,益子貴史,他
循環器病に対する複合リハビリテーション:複数の合併症を有する患者での実施率調査
日本心臓リハビリテーション学会誌 , 30 , 197-205  (2024)
原著論文4
竹川英宏,宮脇郁子,福本義弘,益子貴史,角田亘,牧田茂,藤本茂
一次脳卒中センターにおける複合疾患を有する脳卒中患者に対するリハビリテーションの現状
脳卒中誌 , 印刷中  (2025)
原著論文5
Obata H, Izumi T, Ishizuka M, Yamauchi K. Hao N, Yagihara N, Abe S, Watanabe H, Inomata T, Makita
Impact and management of integrated dysphagia rehabilitation within cardiac care programs for older patients with cardiovascular disease.
Eur Geriatr Med , 15 , 1657-1668  (2024)
10.1007/s41999-024-01031-9
原著論文6
Miyazawa R, Iso Y, Yamamoto S, Matsuo T, Morisawa T, Takahashi T, Makita S, Fujimoto S.
Impact of Tailored Multidisciplinary Cardiac Rehabilitation on Patients With Cardiovascular Diseases and Multimorbidity in Convalescent Rehabilitation Hospitals in Japan -A Multicenter, Prospective Observational Study-.
Circ Resp , in press  (2025)

公開日・更新日

公開日
2024-06-10
更新日
2025-06-03

収支報告書

文献番号
202308024Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
7,200,000円
(2)補助金確定額
7,200,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 108,887円
人件費・謝金 1,427,747円
旅費 3,292,731円
その他 710,635円
間接経費 1,660,000円
合計 7,200,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2024-12-10
更新日
-