国際的な感染症情報の収集、分析、提供機能およびわが国の感染症サーベイランスシステムの改善・強化に関する研究

文献情報

文献番号
200931045A
報告書区分
総括
研究課題名
国際的な感染症情報の収集、分析、提供機能およびわが国の感染症サーベイランスシステムの改善・強化に関する研究
課題番号
H21-新興・一般-012
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
谷口 清州(国立感染症研究所 感染症情報センター)
研究分担者(所属機関)
  • 永井 正規(埼玉医科大学 医学部)
  • 藤本 嗣人(国立感染症研究所 感染症情報センター)
  • 堀野 敦子(国立感染症研究所 細菌第二部)
  • 中野 貴司(国立病院機構三重病院 臨床研究部)
  • 神谷 信行(東京都健康安全研究センター 微生物部)
  • 小野塚 大介(福岡県保健環境研究所)
  • 蒲地 一成(国立感染症研究所 細菌第二部)
  • 大西 真(国立感染症研究所 細菌第一部)
  • 重松 美加(国立感染症研究所 感染症情報センター)
  • 島田 智恵(国立感染症研究所 感染症情報センター)
  • 中瀬 克己(岡山市保健所)
  • 山本 英二(岡山理科大学 総合情報学部)
  • 多田 有希(国立感染症研究所 感染症情報センター)
  • 安井 良則(国立感染症研究所 感染症情報センター)
  • 神谷 元(国立感染症研究所 感染症情報センター)
  • 山下 和予(国立感染症研究所 感染症情報センター)
  • 森兼 啓太(山形大学 医学部)
  • 野崎 慎仁郎(長崎大学 国際連携研究戦略本部)
  • 倉田 毅(富山県衛生研究所)
  • 池松 秀之(特定医療法人原土井病院 臨床研究部)
  • 鈴木 宏(新潟大学教育研究院 医歯学系)
  • 西藤 成雄(西藤小児科こどもの呼吸器・アレルギークリニック)
  • 小渕 正次(国立感染症研究所 インフルエンザウイルス研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
49,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 個々の疾患に対するサーベイランスの目的と戦略を明確にし、サーベイランス体制とガイダンスを作成し、国際的な情報共有体制と健康危機時の専門的情報共有体制を整備すること。
研究方法
 パンデミック(H1N1)2009に際してのサーベイランスデータと地域での臨床情報を検討すると共に、我が国における感染症サーベイランスについて、特定の疾患や病原体からの視点、あるいはデータの統計学的な解析、そして医療機関からの視点や他のサーベイランスシステムとの比較において、評価を行い、その改良について議論を行った。
結果と考察
 本年度は4月から始まったパンデミック(H1N1)2009のため、本研究班は新型インフルエンザの流行について、その疫学状況、臨床状況、サーベイランス体制、ウイルスの解析など、進行しつつあるパンデミックへの貢献のための研究に多くの時間を割いた。また本研究班で行われている患者数推計やネットワークサーベイランスや地域におけるインフルエンザサーベイランスや入院サーベイランスはパンデミック対策に多くの情報を提供し、ウイルスの病原性の解析や検査診断の開発と迅速診断キットの評価なども行われた。一方、病原体サーベイランスを含む全体の発生動向調査システムについてもパンデミックの経験を活かしてその改善案を検討し、次期システムの仕様を議論した。性感染症、マイコプラズマ、百日咳、淋菌などの個別の疾患/病原体についてパイロットサーベイランスを行い、戦略的に検討すると共に、国内での情報共有ネットワーク、国際情報の収集法についても検討し、国際的なネットワーク会議を開催した。
結論
 2009年春に発生したパンデミック(H1N1)2009に対して、本研究班では、これまでの成果やネットワーク、臨床疫学的研究などから、一定の貢献ができたと考えられるが、多くの課題も指摘された。我が国の感染症サーベイランスを、感染症対策全体としてみると、まだまだ不備な部分も多く、画一的なサーベイランスではなく、一つ一つの疾患に対して、それぞれの目的に応じたサーベイランスを設計していく必要がある。そして、国内のサーベイランスだけではなく、国際的な情報収集や共有を含め、それらの結果に対するレスポンス、国内での情報共有体制とリスクコミュニケーションを含めた、包括的な危機管理体制として、考えるべきものである。

公開日・更新日

公開日
2010-07-15
更新日
-