成人感染が問題となりつつある小児感染症への対応に関する研究

文献情報

文献番号
200931044A
報告書区分
総括
研究課題名
成人感染が問題となりつつある小児感染症への対応に関する研究
課題番号
H21-新興・一般-011
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 達夫(国立成育医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 荒川 宜親(国立感染症研究所 )
  • 浅野 喜造(藤田保健衛生大学)
  • 庵原 俊昭(国立病院機構三重病院)
  • 岡田 賢司(国立病院機構福岡病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
19,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
成人感染が問題となりつつある水痘、百日咳、麻疹等の小児感染症への対応について予防接種を中心に研究した。水痘については、水痘の発生した保育園、主要小児科施設における水痘発生状況等を詳細に分析することにより、水痘ワクチン定期化などの水痘感染症対策を検討する際の参考とする。百日咳については、DT2期接種対象児に対する追加免疫を賦与することの効果を検証する。麻疹・風疹については、MRワクチン3期、4期接種の有用性及び今後の麻疹・風疹対策を検討する際の参考とする。
研究方法
水痘については、全国で水痘の発生した保育園、大規模小児医療施設を対象にアンケート調査を実施した。百日咳については、平成21年度にDT2期接種対象児を対象に、無作為に摂取量を0.2ml群、0.5ml群に分け、接種後の健康状況を調査した。麻疹・風疹については、3期、4期接種者を対象にMRワクチンの免疫原性を、2期、3期、4期接種者を対象に、安全性について妊婦を対象に麻疹風疹血清疫学と移行抗体について検討した。
結果と考察
保育園における水痘患者の約8割が3歳以下だった。70%の保育園で5年以内に水痘の集団発生を経験している。大規模小児医療施設では、対象施設の51%において院内水痘発生が確認され、発症者の83%は水痘ワクチン未接種児であった。百日咳については、0.2ml接種でも0.5ml接種でも同等な効果が見られた。麻疹・風疹については、3期群、4期群ともにMRワクチン接種により血清抗体値は優位に上昇し、接種後の抗体値は妊婦群と同じレベルになること、MRワクチン接種による副反応出現率は低いことが示された。
結論
全国の保育園では水痘の流行が毎年繰り返しており、患児、保育者、保護者の大きな負担となっている。院内水痘発生患者の多くは水痘ワクチン未接種児であり、水痘ワクチン定期接種化の導入などによる接種率の向上が水痘発生予防に寄与する可能性が示唆された。百日咳については、現行のDTに変り、現行のDTPワクチン0.2ml接種は有効であること、成人患者は病気に関わらず低い保菌量を示したことから、成人患者の診断には高感度な遺伝子検査の必要性が指摘された。麻疹・風疹については、MRワクチンの3期・4期補足接種の有用性が示された。今後、麻疹・風疹が流行した時には、乳児へのMRワクチン早期接種が必要と推察された。

公開日・更新日

公開日
2010-07-14
更新日
-